消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

被害回復訴訟

株式会社ONE MESSAGEおよび泉忠司氏に対する共通義務確認訴訟における主な争点と原告・被告の主張(概要)
~被害者ご本人が訴訟を提起されるか、当機構の裁判の結果を待つか、判断のための参考資料のご提供~

 この記事は、消費者裁判手続特例法(以下、「特例法」と言います。)の下記規定に基づき、訴訟の主な争点と原告・被告の主張(概要)を対象消費者(被害者)の皆様にお知らせするものです。

(情報の提供)

第八十二条 特定適格消費者団体は、対象消費者の財産的被害の回復に資するため、対象消費者に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。

~目次~

  1. 特例法による訴訟について
    1. (1) 特例法による訴訟の仕組み
    2. (2) 本件訴訟で請求できる金額
    3. (3) 共通義務確認訴訟の判決の時期
  2. 注意喚起 消滅時効にご注意下さい
    1. (1) 消滅時効について
    2. (2) 特例法による消滅時効の中断
    3. (3) 消滅時効の中断が認められない場合
    4. (4) 当機構が敗訴する場合と皆さまの請求権について
  3. 訴訟の主な争点(2020年1月7日時点)

1. 特例法による訴訟について

  1. (1) 特例法による訴訟の仕組み
     特例法による訴訟は第一段階である共通義務確認訴訟と第二段階である簡易確定手続の二つを経て被害回復を図る仕組みです。
    「消費者団体訴訟制度とは」の「被害回復」ご参照
     現在進行中の訴訟は第一段階の共通義務確認訴訟です。この訴訟は当機構のみが原告となるもので、被害を訴える皆さまに参加していただくものではありません。皆さまには共通義務確認訴訟で当機構の請求を認容する判決が確定した場合に当機構から簡易確定手続への参加(債権届出の当機構への依頼)を呼び掛けます。(請求が認容されなかった場合〔当機構が敗訴した場合〕には、呼び掛けはしません。)
  2. (2) 本件訴訟で請求できる金額
     当機構が共通義務確認訴訟で勝訴した場合に皆さまが第二段階で請求できる金額は仮想通貨バイブルDVD5巻セット、VIPコース及びパルテノンコース(自動AIシステム)の各購入代金です。 その他の損害(慰謝料、仮想通貨〔暗号資産〕の購入代金など)を請求することはできません。
  3. (3) 共通義務確認訴訟の判決の時期
     共通義務確認訴訟の判決が確定する時期についてご質問をいただくことがありますが、見通しは立っていません。被告らは全面的に争う姿勢であり、共通義務確認訴訟は通常の訴訟と同じく三審制ですので控訴・上告となる場合があります。そのため、時期の見通しをお伝えすることはできません。

2. 注意喚起 消滅時効にご注意下さい

  1. (1) 消滅時効について
     不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は被害者が損害及び加害者を知った時から3年間です。その消滅時効期間が開始する時期は各被害者ごとに判断されます。ただ、判例(※)によれば、当機構が訴えを提起したことを知っていれば、遅くともその時(=当機構が訴えを提起したことを知った時)から消滅時効が進行すると考えられます。
    ※最高裁判所平成23年4月22日判決
    概要 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81267
    本文 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/267/081267_hanrei.pdf
  2. (2) 特例法による消滅時効の中断
     共通義務確認訴訟で勝訴し判決で認められた対象債権(上記〔本件訴訟で請求できる金額〕を参照)については、第二段階で参加する(債権届出を当機構に依頼する)ことにより、当機構の訴え提起時(2019年4月26日)に遡って消滅時効が中断したものと扱われます。
  3. (3) 消滅時効の中断が認められない場合
     しかし、対象債権でも以下の場合には消滅時効の中断は認められません。
    1. ①当機構が敗訴した場合
    2. ②被害者が第二段階で参加しない場合
     また、当機構が求めている対象債権(仮想通貨バイブルDVD5巻セット、VIPコース及びパルテノンコース〔自動AIシステム〕の各購入代金)以外の請求権については、当機構の訴訟提起と無関係に消滅時効が進行します。
  4. (4) 当機構が敗訴する場合と皆さまの請求権について
     当機構が敗訴しても、個々の被害者の個別請求権が否定されるものではありません。なお、当機構が敗訴する場合として次のようなことが考えられます。
    1. ①訴訟自体が特例法上の訴訟要件(多数性、共通性、支配性、被告泉忠司氏との関係で被告泉忠司氏の被告適格)を欠いていると判断される場合。これは当機構の訴訟提起が不適法であったという意味であり、皆さまの個別請求権が否定されるものではありません。
    2. ②当機構が確認を求めている被告らの不法行為に基づく損害賠償義務が認められない場合。この場合も皆さまの個別請求権まで否定されるものではありませんが、皆さまが同じ内容の請求をすると、認められない可能性があります。
     ①、②のいずれの場合であっても、当機構が敗訴することになれば、判決が確定するまで待っていただいた皆さまの請求権が時効により消滅してしまうおそれがあります。つきましては、個別に訴訟を提起するかどうかについて皆さまご自身でご判断いただけるよう、その参考となると思われる主な争点をお知らせします。

3. 訴訟の主な争点(2020年1月7日時点)

 2020年1月7日時点における訴訟の主な争点は以下のとおりで、これらについて被告らは全面的に争う姿勢を示しています。

  1. (1) 特例法による訴訟要件のうち、特に「支配性」と「被告適格」について
  2. (2) 不法行為の成立について
    1. ①仮想通貨バイブルDVDの勧誘が虚偽又は著しく誇大であり、違法であること
    2. ②VIPクラスの勧誘が虚偽又は著しく誇大であり、違法であること
    3. ③仮想通貨バイブルDVD及びVIPクラスの価格の欺瞞性
    4. ④仮想通貨バイブル・VIPクラスの違法な勧誘に故意・過失があること
    5. ⑤パルテノンコース勧誘が虚偽又は著しく誇大であり、違法であること
    6. ⑥パルテノンコースの価格の欺瞞性
    7. ⑦パルテノンコースの違法な勧誘に故意・過失があること

 これらの争点についての原告・被告らの主張は【主な争点(概要)】のとおりですのでご参照ください。