申入れ・要請等
【2021年2月17日：掲載】
(株)サイトビジット（資格スクエアを運営）は、オリジナルテキスト制作において著作権侵害を行っていたことを理由として契約解除を申し出た消費者に対する返金基準について、是正し、追加返金対応を行っています。
経過
予備試験、司法試験等のオンライン資格講座（資格スクエア）を運営している(株)サイトビジットは、2020年8月に、同社の制作したオリジナルテキストにおいて、著作権侵害の事実があったことを公表しました。
そのことを理由に、契約解除の申出や問合せを行ったものに対し、同社は、これまでは利用者が自己都合で解約する場合のものと考えられる利用規約第7条第5項を適用して、解約時から利用可能期間満了時までの利用料金の半額しか返金していませんでした。
当機構からの申入れ
消費者の方々からの情報提供を受け、当機構は、同社に対し、他社の書籍を不正利用してテキストを作成していたことなどから信頼関係が失われたとして契約の解除を申し出た受講生に対して、少なくとも契約解除時以降の未受講授業料全額を返還することを申し入れました。
協議経過
- この申入れに対し同社からは、受講生の信頼回復を図るべく、解約に際しては、次の対応をしているとの説明がある一方、申入書記載事項については、法的責任を生じさせるものではないとの見解を示しました。
- (1) 音声ダウンロードというオプションを利用している受講生については、中途解約ができない規定としているが、解約に応じている。
- (2) 解約日については、一律に2020年8月31日とすることとして対応している。
- 当機構は、上記1の対応だけでは、契約して数か月しか経過していない受講生にとっては、不返還となる額が大きく、未受講の講義分に関しては、少なくとも消費者契約法9条1号の趣旨に従ってその授業料を返すことを決断いいただきたいと、改めて求めました。
結論
同社は、以下の内容にて追加して返金する旨、回答しました。
2020年8月31日に公表した他社書籍の不正利用（以下「本件」といいます。）に起因する弊社司法試験予備試験講座（以下「予備試験講座」といいます。）の解約に関しましては、以下の計算式で計算される解約金の支払いを行う。
[受講料]－（［受講料を12で除した金額］×［受講開始から解約日までの月数］）
なお、2020年8月31日以降12月31日までに本件に起因する解約の意思を示された受講生につきましては、解約日を2020年8月31日として対応する。
また、解約金について弊社利用規約に基づく解約金の方が高額となる場合には、規約に基づく解約金を返還する。※
※第5期生については、2019年12月受講開始の方のみ、今回の算定方法で計算した方が返金額が高くなるとの説明でした。（第6期生については、今回の算定方法の方が有利な解決となります。）
評価
当機構から年末の差し迫った時点で申入れを行ったにもかかわらず、同社には迅速に対応いただき、追加の返金対応を決断されたことを率直に評価いたします。
個々の消費者にとっては、なお、不満が残る点はあろうかと思いますが、上記返金対象の消費者及び返金額以外に関しては、オリジナルテキストの著作権侵害の程度が期によってことなることや、役務である講義は行われていることなどを勘案すると、消費者団体訴訟制度（被害回復）の要件である共通性・多数性・支配性を満たす事案であるとの判断がたちにくく（なお、これは消費者団体訴訟制度(被害回復)を前提とする判断であり、個々の事例においては判断が異なる可能性があります）、また早期の返金対応が求められる案件であることから特定適格消費者団体としては、今回の回答をもって同社との協議を終了し、今後は同社の言明した返金状況を見守っていきたいと考えています。
対象となる消費者の方々へ
今回追加返金等の対象となるのは、2019年12月より2020年8月までに受講開始した5期生と6期生のうち、2020年8月に著作権侵害の事実があったことが公表されて以降、そのことを理由に解約の申出・相談を同社に対しされた方となります。
同社では、解約の申出・相談を受けた方については、個別の記録が残っており、追加返金や返金できる額の変更の案内は、個別に行うとのことです。
しかしながら、軽く問合せしたけれど返金額の提示が少なく、それ以上の申出をしなかった等、今回の措置がとられていたら返金を強く求めていたと考える方は、同社に相談されることをお勧めします。
本件に関する、(株)サイトビジットの相談先
メールアドレス：info@shikaku-square.com
電話03-6459-3975 （平日10:00～18:00））