消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

意見・提言

「キャッシュカード不正使用対策に関する要請」を提出

 消費者機構日本は、全国銀行協会にあてて、「キャッシュカード不正使用対策に関する要請」を提出しました。

 また、金融庁と警察庁には、全国銀行協会に上記要請書を提出したことをお知らせし、金融庁には「預金者の被害に対する銀行の補償制度実現をはじめとした諸施策」を、警察庁には「キャッシュカードの不正使用の捜査と実態究明、ならびに被害防止などの取り組み」を、それぞれ要請する文書を提出いたしました。

2005年2月15日

全国銀行協会
会長 西川善文 様

消費者機構日本
理事長 品川尚志

キャッシュカード不正使用対策に関する要請

 この間、組織的なキャッシュカード偽造が摘発され、社会問題となっております。また、以前からキャッシュカードの盗難による被害も発生しております。

 犯罪のテクニックは高度化・悪質化する一方であり、盗難カードにせよ、偽造カードにせよ、類推が困難な番号を暗証番号に使用していた場合にも、ATMなどで1回の操作で引き出されているとの被害事例があります。預金者によるキャッシュカードと暗証番号の管理だけでは、これらの不正使用を防御できないことは明らかです。預金の安全の確保は、基本的には銀行の果たすべき責任であるとの観点から、キャッシュカード不正使用に対する防御策の強化と、被害にあった預金者への補償制度の確立について、下記の内容を要請いたします。

1.キャッシュカード不正使用に対する防御策の強化について
(1)
貴協会が1月25日に確認された「偽造キャッシュカード対策に関する申し合わせ」の内容を、速やかに実施されることを要請します。なお、実施にあたって下記の点に留意されることを求めます。
1)
ATM画面の覗き見防止措置については、銀行の店頭設置ATMだけでなく、ターミナルやコンビニエンスストア等に設置されているATMについても十分な対策を講じられるよう求めます。
2)
異常な取引を早期に発見できる体制の整備にあたっては、不正使用の場合の引出しが、銀行の店頭営業時間外に店頭設置ATMで行なわれたり、コンビニエンスストア等に設置されているATMが悪用されたりしている実情をふまえた対応を求めます。
(2)
暗証番号の管理について
1)
上述したように、類推が困難な番号を暗証番号に使用していた場合にも、ATMなどで1回の操作で引き出されているとの被害事例があります。どのような方法で暗証番号が認知されたのか、捜査当局との協力により検証をすすめることを要請します。
2)
ATMと銀行を結ぶ回線から、直接データを盗まれる「ラインタッピング」について、被害の状況と現状での対応策に関する情報を犯罪に悪用されない範囲で公開するとともに、万全の対策を講じるよう求めます。
2.被害にあった預金者への補償制度の確立について

 カード約款では、「カードまたは暗証につき、偽造、変造、盗用その他の事故があっても、そのために生じた損害については、銀行は責任を負わない」旨の規定となっています。ただし、偽造の場合には「カードおよび暗証の管理について預金者の責に帰すべき事由が無かったことを銀行が確認できた場合の銀行の責任は、この限りではない」と定められています。
 この規定では、カードの偽造以外は、一切補償がされません。また、偽造カードについては、預金者自身が過失がないことを立証しなければなりません。

 上述したように、預金者によるキャッシュカードと暗証番号の管理だけでは、その不正使用を防御できないことが明らかであり、銀行は責任をもって預金の安全を確保する責任があります。カードまたは暗証の偽造、変造、盗用その他の事故による預金者の被害について、銀行が補償する仕組みを早急に検討されることを要請します。

以上

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