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意見・提言

「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会 中間とりまとめ案」に関する意見

 総務省が、「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会 中間とりまとめ案」について意見募集を行っていましたので、12月10日に下記意見書を提出しました。

2004年12月10日

総務省総合通信基盤局
電気通信事業部消費者行政課 御中

消費者機構日本
理事長 品川尚志

「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会 中間とりまとめ案」に関する意見

1.迷惑メールの規制は、「オプトイン」を原則として制度設計の議論を行なうべきです。

 「中間とりまとめ案」では、事前に消費者からの同意を得てメールを送信する「オプトイン」規制を導入している諸外国での効果が、未だ明確でないことを理由に、「オブトアウト」原則での対策強化が選択されています。

 しかし、迷惑メールの規制については、「オプトイン」を原則とすることが妥当と考えます。これは、迷惑メールには、メール受信にあたって受信側も一定のコストを負担しなければならないといった特性があるからです。また「オプトアウト」方式では、受信拒否をしたい場合、受信者が受信拒否のメールを送らなければならず、適当な記号・数字の組み合わせで架空のアドレスを設定してランダムに送信してくる見ず知らずの相手に対して、自らのメールアドレスが確定していることを知らせる結果となるからです。

 現状の「オプトアウト」規制が、十分な効果をあげていないことから考えると、「オプトイン」を原則とした場合に、どのような規制が可能であるのか、諸外国の制度の調査をふまえ具体的な検討をすすめるべきと考えます。

2.次善の策として、「一度目は『広告宣伝メール』を本人の承諾なしに送信できるが、二度目以降の送信については、本人から承諾があった場合にのみ許容する」という仕組みの検討を要請します。

 「中間とりまとめ案」では、オプトイン方式の弊害について、「営業の自由度に大きな制約をもたらすものとなると考えられる」としています。この点に、一定の配慮をしつつ、「オプトアウト」における受信拒否の意思表示のリスク(送信者に、受信者のアドレスが確定していることを知らせることになる)を回避するために、上記のような「擬似オプトイン」ともいうべき制度が有効ではないかと考えます。ご検討下さいますようお願いします。

3.法制度に係る具体的な対応方策についての基本的方向性について

 以下、「中間とりまとめ案」で記述されています具体的な論点について意見を申し述べます。

  1. (1) 特定電子メールの定義の見直しについて
  1. ショートメッセージサービス(SMS)を特定電子メール法の対象に加えることに賛成いたします。また、SMSの表示項目について一部免除を行なわないことにも賛成します。
  2. 事業用メールアドレスに対して送信を行なう場合も、特定電子メール法の対象とすることに賛成します。
  1. (2) 架空アドレスあてメール送信を禁止する範囲について
    「広告・宣伝」に限らす、実在するアドレス割り出しのためのメールや、有料サイトへの誘引のためのメールなども対象とすることに賛成です。
  2. (3) 悪質な違反行為への取り締まり強化について
    悪質な違反行為について、直接刑事罰を課すことの検討をすすめることに賛成します。その検討にあたっては、「電子メールの送受信上の支障」といった観点に限らず、「受信者の平穏な生活等を乱す」といった観点も考慮されることを要請します。
4.迷惑メールに関する相談・情報提供窓口に関する広報強化と相応した体制の充実

 「オプトアウト」にせよ「オプトイン」にせよ、迷惑メールの削減をすすめるためには、相談や情報提供が円滑に行なわれることが重要です。現在、(財)日本産業協会と(財)日本データ通信協会内の迷惑メール相談センターの2ヶ所が、迷惑メールに関する相談や情報提供を受け付けています。これらの相談・情報提供窓口に関する広報をいっそう強め、さらに多くの相談や情報提供にもとづいて、総務省・経済産業省両省が事業者への指導を積極的にすすめられることを要請します。

 なお、迷惑メール相談センターの場合、パソコンに届いた迷惑メールの情報は指定のフォームに入力・貼り付けをして情報提供するようになっていますが、より手軽に行なえるよう転送による情報提供も行なえる様に案内してください。

以上

この件に関する連絡・問い合わせ先:消費者機構日本(担当 磯辺)
電話:03-5212-3066 FAX:03-5216-6077 E-mail:isobe@coj.gr.jp