申入れ・要請等
【2021年1月29日:掲載】
昭和大学から、令和2年12月31日現在、入学検定料の返還対象者:5738人のうち、5232人(返還率91.2%)への返還を行ったとの回答をいただいています。
経過
- 消費者機構日本では昭和大学に対して、2020年5月18日付で「平成29年度・平成30年度の医学部入学試験において、次の①②に対し、入学検定料等相当額の損害賠償金を返還すること」を求める旨の裁判外の再申し入れ(※1)を行いました。
- ①一般選抜Ⅰ期・Ⅱ期、大学入試センター試験利用入試に出願し入学検定料等を支払った浪人生(但し当該年度の最終合格者及び現役生を除く)
- ②一般選抜Ⅰ期・Ⅱ期に出願し入学検定料等を支払った女性(当該年度の最終合格者を除く)
- 本再申し入れに対して昭和大学からは、「消費者機構日本の申し入れに沿って入学検定料を対象者に支払う」旨の回答書(令和2年6月26日付)が届きました。
- その後、昭和大学は、「平成29年度・平成30年度昭和大学医学部入学試験出願者(該当者)への入学検定料の返還について(お知らせ)」(令和2年7月3日付)(以下「お知らせ」)を公表し、「平成29年度・平成30年度の医学部入学試験(一般選抜Ⅰ期・Ⅱ期)に出願し、入学検定料を支払った受験生(但し、当該年度の最終合格者及び男子現役生を除く)に対し、入学検定料を返還することとした」を正式に発表しました。(※2)
また、昭和大学は「お知らせ」で、入学検定料の返還を決めた理由を「この度、特定適格消費者団体特定非営利活動法人消費者機構日本より、標題に関わる申し入れがありました。本学では、上記申入れの趣旨を尊重するとともに、他大学の判決および第三者委員会の指摘も勘案して、(略)」と述べています。 - 昭和大学の回答と「お知らせ」の発表を受けて、当機構が返還手続きの進捗等を問い合わせたところ、昭和大学からは、「令和2年12月31日現在、5232人(91.2%、対象者5738人)に対して返還手続きが完了した。」旨の回答がありました。
被害回復制度に基づく申し入れの成果
昭和大学は当機構の裁判外の申し入れ等を勘案して、入学検定料の返還に応じました。昭和大学も「お知らせ」にて「他大学の判決および第三者委員会の指摘も勘案して」と述べておりますが、当機構が、集団的な消費者被害の回復を可能とした消費者裁判手続特例法(※3)に基づき、本件と同様の事案である学校法人東京医科大学を提訴し、勝訴判決(※4)を得ていたことも影響したと考えられます。
(※1)当初、当機構が昭和大学に対して申し入れていた返還対象者は「平成29年度・平成30年度の医学部の入学試験を受験した2浪以上の志願者(合格者を除く)」でした。しかし、昭和大学が設置した第三者委員会の「中間調査報告書」(平成31年1月18日付)及び「最終調査報告書」(令和元年8月2日付)によれば、該当年度の医学部の入学試験において不当な差別的取扱いを受けた受験生は、当機構が昭和大学へ当初の申し入れを行った時点で判明していたよりも広範にわたることが確認できたことから、返還対象範囲を広げて再度の申し入れを行ったものです。
(※2)返還対象試験から大学入試センター試験名がないのは、昭和大学では、大学入試センター試験を利用した入試については、入試要項にて出願資格を現役生に限定していることによります。
(※3)消費者庁:消費者団体訴訟制度とは
(※4)当機構の東京医科大学の共通義務確認訴訟
:当機構では、受験者の属性により不適切な選考を行っていたとして、2018年12月に東京医科大学に共通義務確認訴訟を提起し、2020年3月には、「当該大学は、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、入学検定料等を対象消費者に支払う義務を負う」旨の判決をえています。
この間の協議経過
- 2020年7月9日
- 昭和大学が浪人生・女性に医学部の入学検定料を返還すると回答しました
- 2019年10月25日
- 昭和大学に医学部受験料の返還を申入れましたが、現在検討中との回答に止まっています。