申入れ・要請等
【2021年1月29日:公表】
学校法人聖マリアンナ医科大学から、医学部医学科の平成27年度から平成30年度の一般入学試験の全出願者(第2次試験合格者及び辞退者を除く)に対し、入学検定料等相当額(入学検定料、当該年度の出願に要した受験票送料、送金手数料及び出願書類郵送料)を返還するとの回答が届きました。
返還対象となる方で、入学検定料等相当額の返還を求める方は、自ら当該医科大学への申し出が必要です。当該医科大学のホームページから返還手続きを行ってください。
経過
- 消費者機構日本では、2020年5月18日、当該医科大学に対して、受験生の属性により不適切な選考が行われていたとして、平成29年度及び平成30年度に医学部医学科の一般入学試験を志願して受験料を支払った女性及び浪人生に対して、入学検定料相当額の返還をするよう、裁判外での申し入れ等を行いました。(申し入れ及び要請書 2020年5月18日)
- 当初、当該医科大学からは、平成29年度及び平成30年度における一般入学試験において、「受験生の属性による一律的な得点調整を実施したことはない」として、当機構の求めには応じられない旨の回答が届きました。(回答書 2020年8月4日)
- 上記回答を受けて当機構では、近日中に共通義務確認訴訟を提起する予定であることを伝えながら、簡易確定手続時に必要となる当該両年度の受験生の連絡先が記載された出願書類等の資料の開示等を求めました。
- そうしたところ、当該医科大学から、医学部医学科の平成27年度から平成30年度の一般入学試験の全出願者(第2次試験合格者及び辞退者を除く)に対し、入学検定料等相当額(入学検定料、当該年度の出願に要した受験票送料、送金手数料及び出願書類郵送料)を返還するとの回答が届きました。(回答書 2020年11月13日)
また、本件返還に関する内容は、既に、当該医科大学の公式ホームページでも公表(「平成27年度から平成30年度までの本学一般入学試験出願者への入学検定料等相当額の返還について(お知らせ)」(令和2年12月10日)されています。
被害回復制度に基づく申し入れの成果
今回、当該医科大学が、上記のように、いったんは当機構の申し入れを拒否しながら、最終的に返還に応じたのは、当機構が、集団的な消費者被害の回復を可能とした消費者裁判手続特例法(※1)に基づき、本件と同様の事案である学校法人東京医科大学を提訴し、勝訴判決(※2)を得ていたことも影響したと考えられます。
(※1)消費者庁:消費者団体訴訟制度とは
(※2)当機構の東京医科大学の共通義務確認訴訟
:当機構では、受験者の属性により不適切な選考を行っていたとして、2018年12月に東京医科大学に共通義務確認訴訟を提起し、2020年3月には、「当該大学は、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、入学検定料等を対象消費者に支払う義務を負う」旨の判決をえています。
聖マリアンナ医科大学に対して
- 当機構は、今回、当該医科大学が医学部医学科の平成27年度から平成30年度の一般入学試験の全出願者(第2次試験合格者及び辞退者を除く)に対し、入学検定料等相当額(入学検定料、当該年度の出願に要した受験票送料、送金手数料及び出願書類郵送料)を返還するとしたことを評価します。
- また、当機構は当該医科大学に対して、全対象者に入学検定料等相当額(入学検定料、当該年度の出願に要した受験票送料、送金手数料及び出願書類郵送料)が返還されるよう努力されること、逐次、返還の進捗状況をホームページに公表されることを要望しています。
当機構は、当該医科大学による対象者への返還が確実に行われるかの状況を注視していく所存です。