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差止請求訴訟

三井ホームエステート(株)に対する差止請求訴訟 控訴のご報告

 当機構は三井ホームエステート(株)に対して、2010年9月、差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起し、審理がなされてきましたが、2012年7月5日、判決が言い渡されました。既にご案内のとおり、三井ホームエステート(株)は、訴訟中に契約条項の変更をし、本訴訟において、最後まで争っていた条項は「更新料支払い条項」と「明渡し遅延時の使用損害金条項」でしたが、残念ながら第一審においては、両条項とも差し止めが認められませんでした。

 しかし、三井ホームエステート(株)は契約条項に更新料について「賃借人が本契約を借地借家法第38条の規定する定期借家とせず、普通借家契約を選択したことを確認した上で、当該選択権を行使した場合に、選択権行使対価として支払う金員」と規定していますが、これは消費者にとって理解が困難で、しかも合理的とは考えられない特異な性格付けをしているにもかかわらず、同判決は「更新料は、賃貸借契約を継続するための対価として、賃借人が賃貸人に支払うものであることを予定して契約書の条項に記載しているものと解するのが相当である」と判断したこと、また、明渡し遅延時の使用損害金条項についても賃料の2倍の水準が妥当であるのか、必ずしも合理的な理由付けをしていないこと等承伏しかねる内容だったことから、7月19日に東京高等裁判所に控訴しました。

 今後、東京高等裁判所において審理が行われます。

 本訴訟提起から控訴に至った詳細な経過は、コチラからご確認ください。

【表】
第一審判決の対象となった契約条項(現在、当該事業者が使用している条項)
第7条(更新料)
  1. 乙は、甲が本契約を借地借家法第38条の規定する定期借家とせず、期間満了時において、甲に正当事由がなければ乙が賃貸借契約継続を選択することができる普通借家契約を選択したことを確認した上で、乙は甲に対して、当該選択権を行使した場合には、選択権行使対価として、契約要目表記載の金員を支払う。
  2. 前項における金員の支払名目は更新料とし、甲乙は、新たな契約期間内に甲の責めに帰すべからざる事由によって本契約が終了した場合でも、甲は乙に更新料の一部を返還する必要のないことを確認した。
  3. 更新料については、第2条所定の契約期間経過の際にその都度当然に発生するものであって、乙は甲に対して、本契約が法定更新された場合でも当該期間経過の都度更新料を支払う。
第23条(明渡し遅延による使用損害金)
  1. 乙が第21条に違反して本物件の明渡しを遅延した場合には、乙は甲に対して、賃貸借契約終了日の翌日から明渡完了日までの期間について、賃料等相当額の2倍相当の使用料相当損害金を支払う。但し、乙は当該使用料相当損害金と別に賃料を支払う必要はない。
  2. 乙の本物件明渡し遅延により、甲において賃料等1ヶ月分相当額を上回る損害が特別に発生した場合、これを特別損害分として、乙は甲に対して前項の使用料相当損害金に加えて、当該特別損害分の賠償をしなければならない。