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第15回 通常総会・記念企画 開催報告

 2019年6月4日(火)に第15回通常総会記念企画を開催しました。

1.日 時
2019年6月4日(火) 18時45分~20時10分
2.会 場
主婦会館プラザエフ 地下2階「クラルテ」
3.参加者
84名(事務局を含む)
4.次 第
 テーマ
「集団的消費者被害回復の取り組み状況と課題」

報告概要

 消費者機構日本が特定適格消費者団体として認定を受けて2年半が経過しました。この間、共通義務確認訴訟に至った事案が2件、裁判外の解決が図られた事案が3件あります。一方、相手方資産が確認できない等の理由で取り組めなかった事案もあります。

 今回、消費者機構日本が行ってきた集団的被害回復の取り組みについて、以下の4つの事案を3名の報告者から紹介し、あわせて今後の課題について提起しました。

(1) 事案の報告とその事案に則して考えられる制度上の課題
①東京医大共通義務確認訴訟 報告者 弁護士 本間紀子さん

<事案の概要>

 2018年12月17日、当機構は学校法人東京医科大学を被告として、性別・浪人年数及び高等学校等コードを理由として平成29年度・平成30年度の入学試験において不利益な扱いを受けた志願者(受験生)への受験料等の返還を求める共通義務確認訴訟を提起した。これは消費者裁判手続特例法にもとづく第1号の訴訟である。

 本件訴訟は公正であるべき大学入試における不公平な得点調整という不法行為・債務不履行を司法に問うものであり、単に消費者裁判手続特例法にもとづく第1号の訴訟であることに止まらない社会的意義の大きな訴訟である。

 また、受験料(損害額)は一般入試で6万円、センター試験利用入試で4万円という水準であり、特定適格消費者団体による共通義務確認訴訟でなければ実質的な被害回復は難しいと思われ、この点においても制度の趣旨に合致した事案であると考える。

<制度上の課題>

  • 施行前事案が対象外(平成29年度、30年度に限定せざるをえなかった。得点調整自体は平成18年~行われている。)
    →施行前事案が最初から検討のテーブルに乗らないことが、この制度が活性しなかった要因の一つではないか。施行前事案は国民生活センターADRを活用できるが、被害者は自分でアクションを起こさないといけない。そういった意味で、制度活用のひとつの大きなハードルである。
  • 慰謝料と一定の請求権が対象債権から除外されている。
    →別途、女性差別被害対策弁護団でも訴訟が提起されているが、そちらに参加する場合、提訴の段階で住所、氏名を明らかにしないといけないこともあり、原告になることに二の足を踏む方もいる。そういった方の為にも、共通義務確認訴訟は意味のある訴訟であると考える。慰謝料等の精神的損害についても対象債権として認めることを、今後、検討していくべきである。
②(株)ONE MESSAGE共通義務確認訴訟 報告者 弁護士 瀬戸和宏さん

<事案の概要>

 勧誘ウェブサイトを通じて提供した虚偽あるいは著しく誇大な効果を強調した説明を真実と誤認した消費者が(株)ONE MESSAGEから情報商材を購入。この情報商材に対する購入代金の返還を求める共通義務確認訴訟を提起した。(株)ONE MESSAGEおよび勧誘に関与した泉忠司氏に対し「仮想通貨バイブルDVD5巻セット(VIPコースを含む)」および「パルテノンコース(ハイスピード自動AIシステム及びこれに付帯するサービス)」の購入代金の返還を求めている。

<制度上の課題>

  • 回収可能性(相手方に被害回復が見込めるだけの支払能力、資産が確認できるか)
    →悪質商法の会社は逃げ足が早い。そこからどうやって回収するのか。事業者の預金等については、判決がない段階で当機構が調べる権利はない。
    財産を探知する手段がなければ、このような悪質商法については、この制度は機能しない。仮に財産があったとしても、被害額の方が加害者の財産よりも必ず多いので、破産することになる。破産した段階で当機構は手続きが遂行できなくなってしまう。消費者庁等が最初からそのような業者を破産させてしまった方がよい。
③裁判外で返金がされた大東建託事案 報告者 弁護士 谷合周三さん

<事案の概要>

 アパートの建築工事の注文書(申込書)に「正式な工事請負契約に至らなかった場合、申込金は返金しない。」という趣旨の記載があり、注文(申込み)の後にキャンセルしても申込金(30万円)が返還されなかったが、当機構が大東建託に対してこの申込金不返還条項を是正するよう申入れを行ったところ、大東建託はこの申入れを受け入れて是正した。そこで当機構はさらに大東建託に対し2016年10月1日以降(消費者裁判手続特例法施行以降)の注文を撤回した方へ申込金を返還するよう要請した。また被害実態を確認することを目的に事業者を特定しての情報提供を消費者から求めた結果、最終的には大東建託は申込日に期限を設けず、契約に至らなかった消費者に対して申込金(地盤調査等の費用がある場合はその額を控除した金額)を返金することを表明した。

<課題>

  • 高齢者等の情報弱者に対する情報提供
    →事業者が返金をすることにしたという情報をいかに返金対象者へ届けるかが課題。今回は消費者裁判特例法適用後の事案に関しては、大東建託から連絡が行われたが、適用前の事案は、対象消費者から大東建託に連絡することが必要であった。
④取り組みが困難であったラッキーバンク事案

<事案の概要>

 匿名組合を利用したソーシャル・レンディング、不動産担保貸付ファンド。「貸付先の審査は慎重に行っており、担保評価に問題はない」というを表示で多くの投資家から資金を集めながら、実際には担保不動産をきちんと取らずに親族経営の財務状況の悪い会社(A社)に資金を横流していた。そのA社からの返済が滞ると、担保として押さえてある不動産を投資額の3割程度で別会社(B社)に売却。結果として融資額の大部分が回収不能となり、投資額の大半を毀損した。

<制度上の課題>

  • 回収可能性(相手方に被害回復が見込めるだけの支払能力、資産が確認できるか)
    →当機構に多数の被害情報が寄せられたが、事業者の資産がすでに消費者裁判手続特例法での被告適格が認めらない第三者に譲渡されており回収できる見込みないため、取組みがすすめられないと判断せざるを得なかった。
(2) 団体連名意見書(案)の紹介と行政機関による財産保全制度及び情報提供支援の必要性     報告者 弁護士 鈴木敦士さん

 報告のあった4事案を踏まえ、特定適格消費者団体3団体で検討している団体意見書について、弁護士の鈴木敦士さんより紹介いただきました。消費者裁判手続特例法施行から3年を経過した場合に、施行状況を踏まえて見直しを検討することになっていることから、制度を活用している特定適格消費者団体の側から問題点を提起した団体意見書を作成しました。意見の趣旨として、本制度の改善を求めた6つの意見の他、本制度以外の制度整備の必要性について説明されました。

意見の趣旨
  1. 慰謝料や拡大損害を含め救済対象範囲を拡大すべき。
  2. 通知公告費用負担を事業者が負担すべき。
  3. 法改正を待たず運用により、簡易確定手続きを不要とする類型、簡易確定手続きをするが通知を不要とする類型を認める。
  4. 相手方事業者に資力がない場合の対応として、①事業者の役員も被告適格を有するようにすべき、②団体に破産申立権を付与すべき。
  5. 裁判外で返金が合意できた場合に返金の履行状況を団体が確認できるように制度的な手当てをすべき。
  6. 個々の消費者への返金が困難な場合に、スマイル基金等の公益的な団体に寄付を求められるような制度にすべき
本制度以外の制度整備

 世の中の消費者被害が集合訴訟だけで解決できるわけではない。集合訴訟に向く事案、向かない事案があるということや団体のキャパシティーの問題もある。もともと行政が財産を保全するとか消費者被害に対して行政側で被害回復をはかる制度は必要であり、検討をしてほしい。また行政の保全制度と本制度の裁判手続とが連携をする枠組みを検討すべき。

 事業者の財産の仮差押えを検討したことがあるが、どの財産を押さえたらよいかがわからない。事業実態がわからないと事業が違法であるかもわからない。行政が処分をしているケースもあり、行政が処分をするからには根拠となる資料を持っていると推測される。そういった資料を活用して消費者への被害回復ができないか。

 行政は行政処分をして将来の不法行為を止めさせる。過去の不法行為については、特定適格消費者団体と協力しながら被害回復をするというというようなことが考えられてもよいのではないか。以前、消費者庁内に設置されていた「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」では、「消費者に対し、行政が保有する情報を提供する制度」が例示されているが、こういうことをすると目的外利用になるのではないかということが個人情報との関係で書かれている。しかし個人情報は、法で別に定める場合には第三者に提供できる筈である。単に目的外利用だから駄目ということではなく、どういう要素でどういう情報なら提供できるのかということをもう少し立法論として検討する必要がある。団体は守秘義務がある。また、被害回復以外の一般の事業活動をしていないから、団体が営業秘密を知っても競業することがないので、事業者の営業上の地位は害されないから、事業者の情報を行政が開示しても弊害が少ないのではないか。団体が被害回復のために使用する場合というのは基本的には民事の裁判手続に情報を使用するということになる。民事訴訟では、証拠については文書提出命令がある。行政が法的手続に従って集めた事業者の秘密で、情報提供者が特定されないようなものが記載された文書は文書提出命令の対象になるという裁判例がある。そうすると、例えば、文書提出命令の対象になるような行政の有している文書は、団体が提出を求めれば、提出されるというような枠組みを立法することが考えられる。

主な質疑

Q. 東京医科大の件。2段階目の簡易確定手続の際に、受験料以外の請求については、どのように算定されるのか。
A. 個々に、どういった手段で受験会場に行き、どういったところに宿泊したのかというのは、算定できると考えている。どこに泊まったか立証できない場合でも、旅費法で国家公務員が宿泊した場合の基準があり、それにより請求することができると考えている。精神的苦痛に対する慰謝料については、この制度では請求できない。
Q. ONE MESSAGEの件。共通義務確認訴訟で敗訴した場合、控訴するのか。
A. 敗訴するとは考えていない。勝訴した後、被害回復の見込みがなくても、第2段階目の簡易確定手続きにすすまないといけないのかという点については、まさに今回問題提起したところであり、改善を求めたい点である。
Q. 視覚障害の場合は、契約書を読めない。契約時にトラブルに巻き込まれない為には、どういうところに気を付けていったらよいのか、
A. 理解できないような商品を買わされているという悪質被害を念頭におくとすれば、視覚障害者であれば、細かく記載されているのを読めないので、契約内容に入っていないとか、契約していないという主張ができると思う。契約を勧誘する側としては、それぞれの消費者の状況に見合った説明をしないといけない。視覚障害者に限らず、このロジックで悪質商法に対しては、毅然とした態度で望んでよいと思う。