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学習会・セミナーのご案内/ご報告

第13回消費者志向経営セミナーを開催しました!

 ISO26000(社会的責任規格)が昨年11月に発行され、我が国でも、現在、JIS化の検討が進められています。この規格は、他の規格と違ってマネジメント規格ではないことから、企業・団体などの組織にとって捉えどころが今ひとつ掴みづらいとされており、なかでも「消費者課題」については、どのような視点で、どのような角度から、どのような手順で実践に踏み出したらよいのかに戸惑いがある、との声を多く聞きます。今回のセミナーはこうした声に応え、現時点でのベスト・プラクティスと思われる先進事例に学びながら、ともに実践方向を探っていくことを目的に開催しました。

 以下にその開催概要を報告します。なお、今回のセミナーは(社)消費者関連専門家会議(ACAP)の後援を得て開催しました。

1.日時・会場
2011年9月29日(木)13:30~17:00
主婦会館プラザエフ5階会議室
2.開催テーマ
「ISO26000『消費者課題』とその実践方向」
3.参加者構成
38組織、46名(ゲスト・オブザーバー含む)
4.セミナー内容

講演1「ISO26000をいかに受け止め、実践すべきか」

一橋大学教授 ISO/SR国内委員会元委員長 松本恒雄 様

 松本様からは、2001年オスロの消費者政策委員会(COPOLCO)総会に端を発した足かけ10年にわたるISO26000の策定プロセス自体が、いわば壮大な社会実験であったこと、民間組織の規格と政府間組織の方針とが相互に影響力を発揮し合う稀有な取組みになっていること等を紹介いただいた上で、規格の全体像について詳しく紹介いただきました。あわせて、ステークホルダー・エンゲージメントやサプライチェーン・マネジメント、デューディリジェンス、加担の回避等のキーワードの意味するところや、社会的責任や消費者課題の実践は組織(企業)とステークホルダー(消費者)の双方向で取組むべきこと等についても深めていただき、こうした考え方や取組みが国際社会の到達段階を反映したものであることを、事例を交えながら簡潔に解説いただきました。

事例報告1「ISO26000の企業へのインパクトと活用について」

日本電気(株)CSR推進部長兼CS推進室長兼社会貢献室長 鈴木 均 様

 鈴木様からは、規格策定に関与されてきた立場から、ISO26000の企業へのインパクトを、グローバル共通規範の進展等(OECD多国籍企業ガイドラインなど)によるCSR経営の実践的再構築にある(CSR経営の基本を消費者を含むステークホルダーの声や評価を起点に事業経営を改善することに置く)と捉え、その上で、認証規格ではないからこそ実効性向上の鍵がステークホルダー・エンゲージメント(対話と関与)にあると認識されたこと、そうした認識から、実際にISO26000の観点によるステークホルダー・レビューを実施してその結果をCSRレポート2011に反映させてきた取組みを、レポートの実物をご提供いただきながら具体的に紹介いただきました。

事例報告2「ISO26000『消費者課題』に向けての取組み」

味の素(株)CSR部 部長 中尾洋三 様

 中尾様からは、同社の海外事業展開が発展途上国中心であることから、組織的にはISO26000の「人権」などをベースにこれら海外事業の標準化を進めることが経営課題とされ、国内的にはSR規格の要求水準に一定に応えているとの認識で特段の方針は持っていなかったが、改めて規格の背景にある基本原則や固有原則などを学ぶとそれだけでは不十分であると痛感し、自社の取組みを改めて見直しする必要があるのではとの問題意識をもったことが率直に述べられました。その上で7つの消費者課題それぞれについて現在取組んでいることを具体的に例示いただきながら、今後の課題(規格が求める社会的要請に応え、それを既存システムと連携しつつ具体化し、テーマ別のステークホルダー・ダイアログを実施する)についても報告いただきました。

事例報告3「ISO26000-消費者対応部門としての取組み基本方向を考える」

ACAP研究所 所長 川野洋治 様

 川野様からは、自らのサントリー(株)におけるCSR実践の経験も踏まえ、企業がISO26000に取組むにあたっての留意点(考動とパフォーマンス)を7点にわたってご提示いただきました。また、現在ACAPで実施している会員企業・団体における「ISO26000取組み状況調査」の直近(中間的)情報をご紹介いただきました。そこでは何らかの取組みを実践されようとしている企業は現時点では40%弱に過ぎないことが示され、他方で、消費者対応部門としてとりわけ「消費者課題」には積極的に関与していく必要性があるとの問題意識も示されていました。更に、全般的に取組みの着手が遅れている実態を踏まえて、実際の消費者課題への取組み手順をチェックマトリクス表の提案を含めて紹介いただき、最後にISO26000に取組むにあたっての消費者対応部門のミッションについても提示いただきました。

講演2「ISO26000消費者課題と消費者志向経営のあり方」

(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事 古谷由紀子 様

 古谷様からは、はじめにISO26000の社会的背景や規格概要についてレビューいただき、中心的には、消費者志向経営に規格を導入するための視点について、従来型のCS理解とSR規格の要求とを対比する形で問題提起いただきました。具体的には、◇企業はCSをお客様対応と理解してきたが、SR規格の対象は顧客ではなく消費者であり、消費者の権利の確保であること、◇従来型の取組み範囲は顧客の不満・苦情・要望の解決にあるが、SR規格が求めるのは持続可能な消費であり、そのための7つの実践課題には消費者教育なども含まれること、◇従来型CSでは顧客とのコミュニケーションが重視されるが、SR規格が求めるのはステークホルダー(消費者)とのエンゲージメント(対話)であること等、パラダイム転換が必要だと提起いただきました。

全体を通して

 参加者の中には初めてISO26000を耳にする方もおられ、そうした方々にとっては、松本様・古谷様のご講演や3つの事例報告は、SR規格の背景認識を深め、取組みの方向を焦点化する上でたいへん参考になったものと思われます。

 これからISO26000の取組みを具体化しようとしている参加者には、3つの事例報告が既存のマネジメント・システムと整合させる形で無理のない導入方向を示唆していること、古谷様の問題提起で導入にあたっての基本視点が明確にされたことなどにより、自組織における取組みに何らかの示唆が得られたのではと思われます。

 全体を通じて、捉えどころが今ひとつ掴みづらいとされているISO26000(社会的責任規格)「消費者課題」の実践方向について、モデル的にではありましたが具体的に示すことができ、所期の開催目的はほぼ達成できたのではと思われます。