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総会記念シンポジウム「集合訴訟制度のあり方を考える」開催報告

 消費者機構日本は、去る6月11日(土)、第7回通常総会を開催し、2010年度事業報告と2010年度決算を承認するとともに、今年度は、着実に差止請求関係業務を展開しつつ、新たな集合訴訟制度を活用するための組織財政基盤の強化に主体的に取組んでいくことを確認しあいました。

 そして、第7回通常総会の記念企画として、シンポジウム「集合訴訟制度のあり方を考える」を開催しました。シンポジウムは、主婦会館プラザエフ「クラルテ」にて、総会終了後の14時30分~17時00分に開催され、消費者機構日本の正会員、協力会員、賛助会員をはじめ、各地の消費生活センターや行政の関係者など62名のご参加をいただきました。

 現在、消費者委員会において、共通の原因で多数の被害が発生する消費者被害を集団的に救済できる集合訴訟制度の創設が検討されており、ようやく一巡目の議論が終わり、いよいよ、制度の具体的な設計が検討される段階となっております。

 このシンポジウムは、消費者委員会における制度検討の状況をお知らせするとともに、特に、制度の実効性を担保するためにはどのようなあり方が望ましいのか、また、集合訴訟制度の担い手として考えられている適格消費者団体の課題はどのようなものなのかなどを議論し、ともに考えあうとの趣旨で企画したものです。

 シンポジウムは2部構成としており、第1部では、冒頭、青山 佾会長が開会挨拶を、中村年春理事より、総会終了後の理事会において新たに副理事長に選任された旨の挨拶を行いました。

 続いて、被害情報対応委員会の委員長である唯根妙子常任理事が、消費者機構日本の2010年度差止請求事案の紹介を行いました。会員の活動参加並びにご支援によって、2010年度の約款・勧誘行為の是正の取組みでは、11件をホームページで公表することができました。そのうちの1件は消費者契約法に基づく差止請求訴訟です。これらの事案の概要と要点についてご紹介させていただきました。

 第2部では、まず、「集団的消費者被害救済制度の必要性と検討状況」について、消費者庁企画課の加納克利企画官からご講演をいただきました。

講演する加納企画官
講演する加納企画官

 加納様からは、消費者委員会「集団的消費者被害救済制度専門調査会」(以下、「専門調査会」とする)での論議状況と、そこで検討されている2段階型集合訴訟制度の概要について、詳細な資料をもとに要点を解説いただきました。また、会場からの質問にも丁寧にご回答いただきました。

 続いて、パネル・ディスカッションを行い、論点ごとに具体的なあり方や課題を一つ一つ深めていきました。パネル・ディスカッションは、コーディネーターを佐々木幸孝常任理事(弁護士)が務め、パネリストには山本和彦氏(一橋大学大学院教授、NACS会長)、野々山宏氏(弁護士)、磯辺浩一(消費者機構日本専務理事)が就きました。

 パネル・ディスカッションでは、まず始めに、集合訴訟制度の類型をめぐって意見交換されました。最初に、「専門調査会」でA案(2段階型)とC案(1段階オプトアウト型)を接合していく制度提案をされた野々山様から、その趣旨について説明されました。これについて磯辺は、対象事案の幅が広がり、一回的解決もはかれる有効な提案だと考えていると賛意を述べ、山本様からは、現実に導入していく場合の問題点等について、専門家のお立場からの論評を加えていただきました。3者の意見交換の後、コーディネーターの佐々木弁護士から、「専門調査会では、制度の早期実現の観点からA案を軸にとりまとめていくこととし、C案的な手続きを接合させるべきかどうかは今後の検討課題とする方向である」との補足がなされました。

 次に、訴訟手続の追行主体をどのような者に認めるかについて意見交換されました。この点については、適格消費者団体にだけ原告適格を認めるのか、あるいは適格消費者団体以外の被害者(被害者団体)、弁護団にも訴訟追行を認めるのかという点が大きな論点になっています。まず、「専門調査会」で訴訟追行主体を適格消費者団体に限らず、一定の要件を備えた消費者団体等にも認めるべきと発言してきた磯辺から、その理由が述べられました。山本様からは、訴訟を担うに足りる一定の適格性要件は必要である、適格消費者団体はそれを具備しているが、その他の団体に適格性が備わっているかどうかの判断は多方面からの検討が必要で、現時点でそこまで詰めるのは困難ではないかとの説明がなされました。野々山様からは、日弁連として適格消費者団体以外の訴訟追行主体の要件に関する見解が出されるようだが、どのような内容になるのかとの質問が出され、コーディネーターの佐々木弁護士から、日弁連での論議状況について紹介されました。

 続いて、集合訴訟の対象となる範囲をどのような被害事案とすべきかについても意見交換されました。この点については、「専門調査会」で「他の手続きに対する優越性」や「共通争点の支配性」の問題として論議されているところです。まず、これについての考え方を3者(山本様、野々山様、磯辺)が述べ、更に、どういう被害類型が対象となるか(情報漏洩・有価証券虚偽報告・製造物責任・薬害などが対象となるか)についてそれぞれの意見が述べられました。そこでは、多数性、共通性のある消費者被害事案を対象とすることでは一致しているものの、他の手続きに対する優越性や共通争点の支配性までを過度に要件化することへの疑問が出されました。更に、その結果、制度が対象とする事案が狭くなり汎用性が期待される2段階型の特徴が生きない制度となってしまうのではないかとの懸念が、磯辺と野々山様から出されました。

 最後に、新たな集合訴訟制度の手続追行主体として期待される適格消費者団体への支援策等について意見交換されました。まず、磯辺から、現状の支援策と今後のあり方に関する問題意識(一定の報酬を認めるべきである)を述べ、野々山様からは、弁護士会での論議状況の紹介がありました。山本様からも、今回の集合訴訟制度の制度的枠組みとして適格消費者団体が一定の報酬を得ることへの理解が示されました。

 以上がパネル・ディスカッションの概要です。コーディネーターのわかりやすい解説や、具体的な事例を引きながらご説明いただいたパネリストのご努力で、専門家だけでなく消費者や企業・団体の皆様にも、集合訴訟制度のあるべき姿と今後の課題が何かを掴むことができるたいへん有意義なパネル・ディスカッションとなったと思われます。

 最後に、消費者機構日本の芳賀唯史理事長が閉会の挨拶を行い、総会記念シンポジウム「集合訴訟制度のあり方を考える」を終了しました。

左から、コーディネーター佐々木幸孝弁護士(COJ常任理事)パネリスト山本和彦一橋大学大学院教授、野々山宏弁護士、磯辺浩一(COJ専務)
左から、コーディネーター佐々木幸孝弁護士(COJ常任理事)パネリスト山本和彦一橋大学大学院教授、野々山宏弁護士、磯辺浩一(COJ専務)