消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

お知らせ

<受験料返金に関する調査を開始>
資格・検定試験の受検辞退者に対する受験料等返金に関する調査を開始しました。

 現在、自己啓発や就業機会の拡充などの目的で、多様な資格・検定試験が企画されています。これらの資格・検定試験は、広く消費者に支持され、普及がすすんでおり、消費者の暮らしを豊かにすることに資していると考えられます。
 一方、資格・検定試験の解約規定については、一度受験を申込むとその後解約しても、解約の時期にかかわらず受験料の返還を一切認めないとするものが散見されます。
 このような規定は、消費者契約法9条1号に該当する不当条項にあたる可能性があると当機構では考えております。(詳細は下記の<参考>を参照)
 そこで、当機構では、6分野(医療/福祉、会計/金融、司法、不動産、パソコン、語学)等で実施されている、資格・検定試験について、受験料返金の有無や返金する場合の金額の定めについての内容、それらの事項の受験説明資料への記載の有無等について下記要領にて調査することに致しました。

調査対象

インターネットに公開されている情報を参考に、6分野(医療/福祉、会計/金融、司法、不動産、パソコン、語学)等において受験料5,000円以上の資格・検定試験を行なっている172団体に依頼

調査目的

資格・検定試験における受験キャンセルと返金対応の実状把握

公表について

  1. アンケート送付先一覧と回答の有無を公表します。
  2. アンケートの回答内容につきましては、個々の内容は公表せず回答内容を統計的に集計しその結果を公表します。
    (個々の団体の回答情報は、第3者への情報漏洩がなきよう適切に管理いたします。)
    アンケート票 【PDF 132KB】

参考

※解約の時期にかかわらず、受験料の返還を一切認めないとする規定の問題点について

 能力検定試験や資格試験は、実施者が問題を提供し、これに申込者が回答をし、その回答を提供者が採点をすること、資格試験の場合にはさらに一定の資格を付与するに足りる能力を有しているかどうか決定することを内容としています。したがって、これらの試験は、能力の調査、一定の資格を付与するに足りる能力を有しているか否かの判断をするという事務処理を目的とする準委任契約類似の無名契約と考えられます。
 受験契約は、申込者が受験をするか否かは、その性質上、申込者の意思にかかっているので、申込者は、受験料支払い義務を負っても、受験をしなければならない義務を負うものではないと考えられます。
 従って、申込後、申込者に受験を強制する合理性はないので、申込者は、理由の如何を問わず、受験契約を一方的に解消することができると考えられ、損害を賠償して契約を解除することが認められます。申込者が受験を辞退(解除)した場合に、実施者が受験料を返金しないというのは、実質上、受験料を損害賠償と定めていることとなります。
 この損害賠償の定めについては、消費者契約法9条1号が適用されます。
 実施者には、受験料を超える損害はありませんが、どのような段階においても、受験料が損害賠償の額とされるというのは、その時期に応じて、通常生じる損害を超える可能性があります。

<消費者契約法第9条1号>

当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の理由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの、当該超える部分を無効とする。