消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

【三井ホームエステート差止請求訴訟の進捗状況】
契約条項の一部が是正されました!「今後、同様の契約条項は使用しない」等の合意書を締結しました!

<是正ポイント>

○賃借人に責任がない場合、契約期間中の修繕費用を負担する必要はなくなりました。

○賃借人が破産・民事再生の申立てを行ったとき、また、後見・保佐開始・補助開始の審判を受けたときでも、賃貸借契約は解除されなくなりました。

○通常の重量物の設置や冷蔵庫の後ろ等の電気焼けの原状回復費用は、賃借人が負担する必要はなくなりました。

○当機構(原告)と不動産事業者である三井ホームエステート㈱(被告)間の差止請求訴訟において、差止請求訴訟の対象となっていた契約条項の一部を当該事業者が是正しました。

○是正された契約条項につき、当機構は当該事業者と裁判外で合意書を締結(「合意書」2011年9月22日付)し訴えを取下げました(「取下書」2011年9月28日)ので公表します。

○当機構が「本訴訟の対象とした契約条項」(今回、訴えを取下げた条項)「是正後の契約条項」「是正のポイント」については、下記【表】にまとめましたので、ご覧ください。

○今回、訴えを取下げた条項と類似の契約条項を使用している不動産事業者は多いかと思われます。大手不動産事業者である当該事業者が、当機構と「今後、同様の契約条項を使用しない」等の裁判外の合意書を締結したことは、不動産業界一般に、類似の契約条項は使用できないということを広く認識させることにつながりますので、合意書を締結した成果は大きいと思われます。

差止請求訴訟の対象とした契約条項
(今回、訴えを取下げた条項)
是正後の契約条項 是正のポイント

 賃貸借契約期間中、貸室の損傷原因が賃貸人にあるか賃借人にあるか不明確または判定困難な場合には、賃借人が壁・天井・床、玄関ドアの鍵等の修繕・原状回復費用を負担する。

 賃借人から修理・取替え等の通知を受け、賃貸人が必要と認めた場合、賃借人の責に帰すべき事由による場合を除き、賃貸人の負担により行う。

○賃貸人への通知・承諾が要件となったが、損傷原因が自然損耗・通常損耗の場合、損傷原因の所在が判然としない場合には、賃借人は費用負担をする必要がなくなった。

 賃借人が後見・保佐・補助開始の審判を受けたとき、また、破産・民事再生の申立てがあったときは、賃貸人は何らの通知・催告することなしに、賃貸借契約を解除並びに更新拒絶できる。

※削除された。

○賃借人が後見・保佐・補助開始の審判を受けたとき、また、賃借人に破産・民事再生の申立てがあっても、契約解除されなくなった。

 賃貸借契約終了時、経年変化・自然損耗の場合でも、重量物の設置による床材等のへこみや冷蔵庫の後ろ等の電気焼けは賃借人の負担により原状回復する。

 例外的重量物で、かつ事前に申告のない物の設置による床材等のへこみ、の場合は、修繕・原状回復費用は賃借人の負担とする。
※「冷蔵庫の後ろ等の電気焼け」は削除された。

○通常の重量物の設置による自然損耗・経年変化の場合は、賃借人に原状回復費用の負担はなくなった。

 なお、本公表は、当機構の差止請求関係業務規程第17号1項に基づいて、内閣総理大臣が消費者契約法第39 条第1項の規定に基づき公表した「差止請求に係る判決等に関する情報の公表について(消費者機構日本と三井ホームエステート株式会社との間の裁判外の和解について)」(2011年10月7日公表)の範囲の公表となります。