消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

~消費者機構日本としての第1号訴訟~
三井ホームエステート(株)に対して、本日、差止請求訴訟を提起!

 消費者機構日本は本日(2010年9月6日)午前、不動産賃貸事業者の三井ホームエステート(株)(※)に対して、当該事業者が使用する賃貸借契約条項の差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起しました。本差止請求訴訟は当機構の第1号訴訟です。また、本日午後2時からは、本訴訟に関する記者説明会を開きました。

※三井ホームエステート・・・東京都千代田区に本社を置く、三井ホーム(株)の100%出資会社です。

訴状【PDF 170KB】

差止請求した内容

 当機構は当該事業者に対して、当該事業者が賃貸借契約を締結・合意更新する際に、下記内容の意思表示を行わないことを求めました。

①貸室の損傷原因が賃貸人にあるか賃借人にあるか不明確または判定困難な場合には、賃借人が壁・天井・床、玄関ドアの鍵等の修繕費用の全部又は一部を負担する。

②賃借人が後見・保佐・補助開始の審判を受けたとき及び破産・民事再生手続の申立があったときは、賃貸人は催告することなしに賃貸借契約を解除並びに更新拒絶できる。

③賃貸借契約終了時、経年変化・自然損耗の場合でも、重量物の設置による床材等のへこみや冷蔵庫の後ろ等の電気焼け、基本クリーニング代やカーペットシャンプー代等の原状回復費用は、賃借人の負担とする。

④賃貸借契約の更新に際しては、更新の種類を問わず、賃借人は更新料を賃貸人に支払う。

⑤賃貸借契約の終了ないし解除により賃借物件を明渡さなければならないとき、同物件の明渡しを遅滞した場合には、賃借人は、契約終了ないし解除の意思表示の到達した日の翌日から明渡し完了までの期間につき、賃貸人に生じた実際の損害額に賃料等相当額の2倍の金額を加えた損害金を支払う。

差止請求訴訟提起までの経過概要

 当機構は2008年10月7日、当該事業者が使用する賃貸借契約書[PDF 704KB]の条項に消費者契約法に反する条項等があるとして裁判外の申入れ[PDF 443KB]を行ったところ、当該事業者からは、当機構の申入れ事項を概ね受け入れ、2009年4月ごろには賃貸借契約書を見直す旨の回答(2008年12月15日)[PDF 88KB]を得ていました。

 上記回答を受け、当機構は当該事業者に対して、合意書締結の申入れを2度(1回目は2009年7月10日、2回目は同年10月29日)行いましたが、最終的に当該事業者からは、「関係各所との調整がつかなかったので合意書締結はできない。同様の理由から改定賃貸借契約書の使用開始時期も本年7月以降でないと回答できない」旨の連絡がありました。

 当該事業者が当機構に対して是正する旨の回答を寄せてから1年8ヶ月が経過しましたが、当該事業者が具体的な改善内容・改善時期を明示しないことから、当機構は当該事業者に対して、裁判外の差止請求書面である41条請求書面(2010年8月24日)[PDF 205KB]を発送しました。(是正を申入れた事項は上記①~⑤の内容です。)

 同書面に対しては、当該事業者は、上記④⑤については是正しない、上記①②③については是正する旨と是正内容・時期を回答[PDF 113KB]しましたが、是正後の改定賃貸借契約書の提供もなく実施状況は不明でした。そこで、①~⑤の事項についても、差止請求訴訟を提起することとしました。


~記者説明会の様子~