消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

消費者団体訴訟制度

 消費者団体訴訟制度は、消費者契約法等に違反する事業者の不当な行為(不当勧誘、不当条項、不当表示)に対して、差止を請求することができる制度(差止請求)と、消費者の財産的被害等を集団的に回復するための裁判手続を追行することができる制度(被害回復)を総称したものです。

 いずれの場合も、消費者団体(適格消費者団体・特定適格消費者団体)に訴訟を提起する権利を認めています。

差止請求

 消費者団体訴訟制度の差止請求は、消費者被害の未然防止・拡大防止を目的に2007年6月にスタートしました。

 この制度は内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体が、差止請求訴訟を提起する権利を背景に、事業者に対して将来に向かって不当行為(不当勧誘、不当条項、不当表示)をやめるよう申入れ(差止請求)を行うものです。

「適格消費者団体による『差止請求』って、何だろう」(令和3年2月)(消費者庁HPより)~

 当初、差止請求が導入された法律は消費者契約法だけでしたが、現在は景品表示法、特定商取引法、食品表示法に広がっています。

法律名 差止請求の対象行為
消費者契約法 不当な勧誘行為・不当な契約条項の使用
景品表示法 優良誤認表示・有利誤認表示
特定商取引法 不当な勧誘行為・不当な契約条項の使用・虚偽誇大広告
食品表示法 虚偽表示

 適格消費者団体には内閣総理大臣による監督(認定更新制、立入検査、認定取消等)や徹底した情報公開措置(財務諸表等、判決・和解等の概要の公表)がとられており、消費者機構日本は2007年8月に第1号の適格消費者団体として認定されました。2024年6月現在、全国には26の適格団体が誕生しています。

被害回復

 2016年10月からは消費者裁判手続特例法の施行により、消費者団体訴訟制度に消費者トラブルを救済する新しい「被害回復」が加わりました。

 今までの差止請求では、適格消費者団体は消費者の金銭的被害を回復することができませんでした。しかし、適格消費者団体のうち、一定の基準を満たして内閣総理大臣から認定を受けた「特定適格消費者団体」であれば、消費者に代わって金銭的な被害回復を図る訴訟を提起することができるようになりました。

 なお、通常の民事訴訟とは異なり、被害回復の訴訟の対象範囲は下記の①~④のすべてあてはまるものとさています。

被害回復訴訟の対象となる消費者被害

  1. ①2016年10月1日以降に締結された消費者契約または2016年10月1日以降の事業者の不法行為によるものであること。
  2. ②事業者による消費者被害が同じ原因で、数十人以上の被害が発生したものであること。
  3. ③消費者契約に関する金銭支払義務のうち以下の請求に係るものであること。
    • 契約上の債務の履行の請求
    • 不当利得に係る請求
    • 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求(※)
    • 不法行為に基づく民法の規定による損害賠償の請求(※)

(※)いわゆる拡大損害、逸失利益(目的物の提供があれば、得られたはずの利益)、人身損害(人の生命・身体を害した損害)は除くとされているが、一定の慰謝料は対象となる。

消費者裁判手続特例法 概要 [PDF:334KB](消費者庁HPより)~

 特定適格消費者団体には内閣総理大臣による監督(認定更新制、立入検査、認定取消等)や徹底した情報公開措置(財務諸表等、判決・和解等の概要の公表)が求められており、消費者機構日本は、2016年12月27日に内閣総理大臣より第1号の認定を受けました。2024年6月現在、全国には4つの特定適格消費者団体が誕生しています。