消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

クローバー・ジャパン株式会社(宅配洗濯代行&コインランドリーのWASH&FOLD)の「利用規約」が改善されました。

 消費者機構日本に対して、クローバー・ジャパン株式会社(群馬県高崎市)(以下=事業者)が運営する宅配洗濯代行&コインランドリーのWASH&FOLDの「利用規約」にて、「お洗濯物の縮みや色落ち、破損、紛失等に関する一切の弁償や返金などはできません。」との記載があるとの情報提供がありました。
 これは、事業者の損害賠償の責任を免除する条項に該当するため、消費者機構日本は、事業者に対して、規約の見直しについて申入等を行いました。その結果、一定の改善が図られたとことを公表いたします。

1.協議の経過

(1) 当機構からの申し入れ(1回目)

利用規約第6条の[洗濯代行]の7の削除
7.WASH&FOLDでは、縮みや色落ち、破損、紛失等に関する一切の弁償や返金等はいたしません。

 利用規約第6条の[洗濯代行]の7の規定からすると、洗濯代行に出したものについて、縮みや色落ち、破損、紛失等に関する一切の弁償や返金しないという規定ですから、この洗濯代行によって発生した損害について、事業者が一切の損害賠償責任は負わないと読めます。その趣旨が規定の文言どおり事業者の故意若しくは過失又は帰責事由の有無を問わず一切責任を負わないという趣旨であれば、消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号の事業者の損害賠償責任を免除する規定に当たり、同条項同号に反する無効な規定ですので、削除を求めました。

(2) 事業者からの回答(1回目)

利用規約第6条の[洗濯代行]の7について、修正するとの回答がありました。

利用規約第6条の[洗濯代行]の7(修正後)
7.WASH&FOLD では、縮みや色落ち、破損等に関する一切の弁償や返金はいたしません(ただし、当社の責めに帰すべき事由によって生じた損害については、第8条に基づいて補償いたします。)。

(3) 当機構からの申し入れ(2回目)

 申し入れ1回目の事業者の回答である「紛失」の文言の削除、但書きの追加という対応によると、形式的には、「縮みや色落ち、破損」について、事業者の責めに帰すべき事由によって生じた損害については、第8条に基づいて補償すると読めます。
 他方、事業者の第8条についての説明からすると、第8条1項は洗濯代行、宅配ふとんクリーニング、スニーカーウォッシュの紛失などの事故が生じた場合の補償限度額を規定したもの、第8条2項はクリーニング(=ドライクリーニングの意味)、リペアによる破損や事故の補償額を規定したものだと思われます。

利用規約第8条1項
(修正前)当社の責めに帰すべき事由に基づき、お預かりした洗濯物の紛失などの事故が生じた場合、当社の補償限度額は以下のとおりとします(ただし、当社の故意又は重大な過失によって生じた損害については、この限りではありません。)。

 しかしながら、事業者が当機構の申入れ等に対して、利用規約第6条の[洗濯代行]の7項からあえて「紛失」を削除され、削除された紛失については第8条1項で対応するという事業者の説明からすると、第8条1項の「紛失などの事故」の「など」に「縮みや色落ち、破損」が含まれないと思われ、結局、洗濯代行においては、但書きで「紛失などの事故」については第8条1項で補償されますが、本文の「縮みや色落ち、破損」については一切の弁償や返金等はしないということはそのままですから、洗濯代行によって発生した「縮みや色落ち、破損」の損害について、事業者は一切の損害賠償責任を負わないことになります。
 そのため、「縮みや色落ち、破損」について事業者の故意若しくは過失又は帰責事由が認められる場合にまで一切責任を負わないことは、消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号の事業者の損害賠償責任を免除する規定に当たり、同条項同号に反する無効な規定ですので、削除を求めました。

(4) 事業者からの回答(2回目)

利用規約第8条1項について、修正するとの回答がありました。

利用規約第8条1項
(修正後)当社の責めに帰すべき事由に基づき、お預かりした洗濯物について縮み、色落ち、破損及び紛失その他一切の事故が生じた場合、当社の補償限度額は以下のとおりとします(ただし、当社の故意又は重大な過失によって生じた損害については、この限りではありません。)。

※この他の条項の申し入れ等は、添付のファイルをご参照ください。

2.協議の結果

 利用規約第8条1項にて、補償対象が明らかにされたことから、当機構が指摘した免責条項に一定の改善が図られたと判断し、協議を終了することとしました。

 なお、利用者(消費者)とのトラブル防止の観点から、以下の2点ついては、検討をお願いして、事業者との協議を終了しております。

  1. ①利用規約第8条1項における補償限度額をサービスの内容から料金の10倍という倍率設定をしていることについては、洗濯代行は1バッグの中にたくさんの洗濯物が入ること、また、そのバッグの中に高額な商品が含まれる可能性もあることから、原則として補償限度額が規定されているとしても、事案によって個別対応等の柔軟な対応をして消費者とトラブルのないように努めていただくこと。
  2. ②各サービスの補償限度額について、ホームページ上の利用方法の説明やサービスの案内に明確な表示はなく、利用規約を細かく見てはじめてわかる体裁になっています。これでは消費者との間で無用なトラブルが発生することになりかねないので、利用する消費者が利用する際(店舗の受付窓口及びホームページ上)にわかりやすく明示して(例えば、事故が起きた時のQ&Aなど)、補償限度額があることがわかるようにしていただくこと。

 今回の協議における当機構の申入等と事業者の回答は別紙のとおりです。なお、改定後の「利用規約」は、2024年5月1日から使用するとの連絡がありました。