消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

駅すぷれす(カーシェアリング型レンタカー)の会員規約及び利用規約約款が、改善されました。

 消費者機構日本は消費者からの情報提供を受け、ILC株式会社(福岡市博多区)に対して、当該事業者が運営するカーシェアリング型レンタカー「駅すぷれす」の会員規約及び利用規約約款(以下規約という)について、問合せ及び要請を行いました。その結果、一定の改善が図られたと判断し、協議を終了しました。

 今回の協議における当機構の問合せ・要請とILC株式会社の対応は下表のとおりです。

運営加盟店の責任を免責する規定
「要請」の内容及び改定前の規約 改定後の規約
第20条の「なお、これにより会員に生ずる損害について、加盟店は責任を負わないものとします。」の規定を削除してください。 これらは、貸渡期間中の会員側の責によらない解除の場合も含んでいると解されるところであり、全部免責を定めた部分は削除すべきです。  
【第20条】(日常点検整備)
~なお、当該異常により、当該レンタカー車両の貸渡ができなくなった場合において、他のレンタカー車両の案内ができないとき、他レンタカー車両の借受を会員が承認しないときは、貸渡契約は解除となります。なお、これにより会員に生ずる損害について、加盟店は責任を負わないものとします。
【第20条】(日常点検整備)
~なお、当該異常により、当該レンタカー車両の貸渡ができなくなった場合において、他のレンタカー車両の案内ができないとき、他レンタカー車両の借受を会員が承認しないときは、貸渡契約は解除となります。(以下、削除)
貸出時より変化のあった部分は、すべて会員の責任としと定めているが、不可抗力など、会員の責に帰すべき事由でない場合も考えられ、これを一律に会員の責任とするのは、不当と考えます。通常、車両の内外装の傷や汚損等の損害には、車両保険等でカバーするのではないかと考えますが、貴社が付保している保険には、車両保険が含まれていません。なぜ付保していないのか、ご教示ください。 当社ではコスト削減のため車両保険は付保していません。
また貴社は、カーシェアリング型レンタカーであることから、返却を受けた車両を毎回、点検できていないと考えますが、貸出時より変化のあった部分というのは、どのように確認しているのでしょうか。併せてご教示ください。 変化のあった部分に関しては、当社および委託スタッフの定期的な巡回があるとともに、お客様に出発、返却時にチェックを依頼しています。
【第21条】(会員の管理責任)
~また、車両の内外装の傷や汚損等については、会員の記憶の範囲にあるなしに関わらず、貸出時より変化のあった部分は、すべて会員の責任とし、運営加盟店は、会員に対して賠償請求でき、会員はこれに速やかに従うものとします。さらに損傷等未報告の場合については、別途ホームページ内で定める未報告ペナルティも加算されるものとします。~
【第21条】(会員の管理責任)
左記箇所を削除
~加盟店はレンタカー車両に損傷を加えられた会員に損害費用を請求できるものとし~ (修正)~運営加盟店はレンタカー車両に損傷を加えた会員に損害費用を請求できるものとし~
(追加)車両の異常を感知した場合は速やかに運営加盟店に連絡をするものとし、運営加盟店がこれ以上の走行は難しいと判断した場合は即時運営加盟店の指示に従うものとします。
残置物の取り扱いに関する規定
「要請」の内容及び改定前の規約 改定後の規約
残置物の取り扱いについて、価値ある金品であった場合は、拾得物として警察に届けるようにしてください。  
【第32条】(残置物の扱い) 【第32条】(残置物の扱い)
(追加)~但し、運営加盟会社及び委託先が、所有者不明かつ有価物であると判断した場合には原則として、警察に届け出ます。
残置物が乗り逃げした借主の所有物と特定できない場合は、拾得物として警察に届けるように規定して下さい。また、残置物が乗り逃げした借主の所有物と特定できても、法的手続きをとった上で処理する旨に修正してください。  
【第49条】(残置物について)
加盟店が乗り逃げされたと判断した車両を発見し借主と連絡が取れない場合は、加盟店判断にて合鍵、その他開錠手段、レッカー等を用いて借主に無断でも車両を引き上げることができるのとし、車内の残置物は、即日処分するものとします。
但し、貨幣、紙幣、有価証券等、加盟店で価値があるものと判断した場合には、未払金や違約金があった場合には充当できるものとし、なかった場合には最大24時間保管するものとし、以降は加盟店判断にて処分できるものとします。
【第48条】(残置物について)
運営加盟店が乗り逃げされたと判断した車両を発見した場合は、運営加盟店判断にて合鍵、その他開錠手段、レッカー等を用いて借主に無断でも車両を引き上げるものとします。その際に車内に残置されている残置物は処分します。
但し所有者の特定できない有価物は原則として警察に届け出ます。また借主の所有物と特定できる有価物の場合には、運営加盟店に対し未払金をご精算いただいた上で返却いたします。清算ができない場合は法的手続きを取ったうえで有価物を未払金や違約金があった場合には充当できるものとします。
運営会社と会員の権利関係
「問合せ」の内容及び改定前の規約 回答及び改定後の規約
貴社と会員の権利関係を規定した約款等は作成していますか。ウェブサイトに掲示されている「会員規約及び利用規約約款」は主に加盟店と会員との権利義務関係について規定しており、第11条を除き、貴社と会員との権利義務関係を規定した約款等は提示されておりません。駅すぷれすのウェブサイトの不備により、会員が損害を被るようなケースも考えられるところであり、貴社と会員の権利義務関係についても約款等において定め、あらかじめ提示しておくことが必要と思われます。 現在、加盟店はありません。
  以下、加盟店は~を運営加盟店は~に変更。
【第1条】(約款の適用)
駅すぷれす加盟店(以下「加盟店といいます」)は~
【第1条】(約款の適用)
駅すぷれす運営会社及び加盟店(以下「運営加盟店といいます」)は~
会員と貸渡契約を締結した際に交付する契約書はありますか。 貸渡証をメールで送付しています。
事業者側の債務不履行の場合の事業者側の損害賠償責任
「問合せ」の内容及び改定前の規約 改定後の規約
第7条(予約)、第8条(貸渡)、第15条(貸渡契約の解除)は、それぞれ事業者側が債務不履行の場合についても事業者の賠償責任を全部免責する趣旨になっています。一方、第16条(不可抗力事由による貸渡の中途終了)の定めでは、会員の責に帰さない事由により使用不可能となった場合のサービス利用料の返還を定めていまする。賠償責任の対応について、このような違いを定めていることの理由は何ですか。  
【第7条】(予約)
~さらには予約完了後でご利用当日に利用不可となった場合についても、これにより会員に生ずる損害について、加盟店は賠償責任を負わないものとします。また、貸出前や貸出後の時間の損失についても同様に加盟店は賠償責任を負わないものとし、会員は併せて一切の損害を加盟店に請求できないものとします。
【第7条】(予約)
~さらには予約完了後でご利用当日に利用不可となった場合についても、これにより会員に生ずる損害について、運営加盟店は賠償責任を負わないものとします。また、貸出前や貸出後の時間の損失についても同様に運営加盟店は支払済み利用料金以外の賠償責任を負わないものとします。
【第8条】(貸渡)
~なお、これにより会員に生ずる金銭や時間等全ての損害について、加盟店は一切賠償責任を負わず、会員も請求しないものとします。~
【第8条】(貸渡)
~なお、これにより会員に生ずる支払い済みの利用料金以外の金銭や時間等全ての損害について、運営加盟店は賠償責任を負わず、会員も請求しないものとします。~
【第15条】(貸渡契約の解除)
~この場合も第7条、第8条同様に、会員は加盟店に対して、金銭、時間等、一切の損害を請求しないものとします。
【第15条】(貸渡契約の解除)
~この場合も第7条、第8条同様に、会員は運営加盟店に対して支払い済み料金以外の金銭、時間等、損害を請求しないものとします。
サービス利用料を改定する場合の告知
「問合せ」の内容及び改定前の規約 改定後の規約
サービス利用料を改定する場合の告知は、改定日の何日前に行われたのか。平均日数及び最短だった日数を教えてください。本サービス利用料の額については、契約における重要事項であり、予約後、決済後または貸渡後に、消費者に不利益に変更される場合には、すでに合意した契約内容が一方的に変更されることになるため、緊急に変更するだけの合理的理由が必要になります。  
【第10条】(本サービス利用料改定に伴う処置)
加盟店は、本サービス利用料を改定する場合、改定日の1日以上前に第35条に定める運営加盟店ホームページに掲載する等により、会員に告知するものとします。~
【第10条】(本サービス利用料改定に伴う処置)
運営加盟店は、本サービス利用料を改定する場合、改定日の30日以上前に第40条に定める運営加盟店ホームページに掲載する等により、会員に告知するものとします。~
当機構は指摘しなかったが、協議の中で事業者が対応した事項
改定前の規約 改定後の規約
【第3条】(入会)
レンタカー車両の運転に必要な日本国発行の運転免許証を有していないとき。
【第3条】(入会)
レンタカー車両の運転に必要な日本国発行の運転免許証を有していないとき。※1
※1 但し当社が利用可能と判断した場合にはその限りではない
【第48条】(サービスが提供できない場合)
 加盟店は次のいずれかに該当する場合、加盟店の判断により、利用者に事前に通知することなく本サービスの一部又は全部を一時中断又は中止することがあります。
  1. 貸出車両に何らかの不具合が生じ加盟店が貸出できないと判断した場合
  2. 加盟店のシステムトラブル等により貸出しが出来ないと判断した場合
  3. 機械式駐車場の機械トラブル等により出庫が出来ない場合等。
  4. 天変地異、戦争、テロ等不可抗力により本サービスを提供できない場合
  5. その他加盟店が本サービスの提供を一時中断又は中止する必要があると判断した場合
なお、本サービスが提供できない場合には、会員が支払った利用料金の全額もしくは一部を返金するが、被った損害について、加盟店は一切の責任を負わないものとします。
削除
【第51条】(物品の盗難、紛失について)
加盟店は、車両貸出中に起こった物品盗難や紛失に関しては一切の責任を負わない。車両ドアロック故障等によるキーロックが出来ない場合も考えられることから、会員は毎回必ず自らの手ですべてのドアが閉まっているかを施錠を確認して車両を離れる義務がある。
(削除)