消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

株式会社イオン銀行がカードローン規定から、相続開始時の期限の利益の喪失条項を削除する方針であることを確認しました。

協議結果

 株式会社イオン銀行(以下「イオン銀行」)は、概ね2020年9月末までには無担保カードローンである「イオン銀行カードローン規定」から、相続開始時の期限の利益の喪失条項(以下、「本件条項」)(※)を削除するとのことです。

 また、イオン銀行は、下記回答②のとおり、本件条項を削除するまでの期間も、期限の利益を喪失させない運用とのことです。

 これにより、相続人は相続の開始のみを理由として、イオン銀行から直ちに貸越元利金等の一括弁済を求められる等はなくなりました。

(※)イオン銀行の本件条項とは「カードローン規定」の第12条1項(6)です。

第12条(期限前の全額返済義務)

  1. 借主について次の各号に定める事由が一つでも生じた場合には、借主は当行から催告通知等がなくても本取引に基づく貸越残高について当然に期限の利益を失い、直ちに本債務の全額を返済するものとします。
    (1)~(5)省略
    (6)借主について、相続の開始があったとき。
    (7)~(8)省略

申し入れ

 消費者機構日本は、2019年12月12日、イオン銀行が無担保カードローンである「イオン銀行カードローン規定」で使用している本件条項には、消費者契約法10条違反があるとして削除を求める申し入れを行いました。

回答

 イオン銀行からは、本件条項が消費者契約法第10条に抵触するものとは考えていないものの、顧客本位の観点から、以下の対応とするとの回答(2020年1月16日付及び3月23日付)がありました。

  1. ①「カードローン規定」から本件条項を削除する。今後、帳票改訂並びにこれに先立つ保証会社等の関係者との間で諸調整及び、システム対応等が必要となるため、概ね2020年9月末までに本件条項を削除する。
  2. ②暫定的な運用に関しても、現在急ぎ各準備、調整等を進めている。本件条項を削除するまでの期間は、相続人に意向を確認のうえ、「カードローン規定」の定めにかかわらず、期限の利益を喪失させることのない運用とする。
  3. ③「カードローン規定」以外の当行において取り扱うローン商品に係る規定においても、本件条項と同趣旨の条項が定められているところについては、上記①②の対応を検討する。

評価

 当機構は、イオン銀行が帳票改訂等の対応に伴う負担が発生するなか、本件条項の削除を決めた企業姿勢を評価します。