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申入れ・要請等

株式会社AMBITION(不動産賃貸)の建物賃貸借契約書において、賃貸人(事業者)が無催告で契約を解除できる条項の一部見直し等の改定がなされました。

 当機構は株式会社AMBITIONに対して、2018年2月より、同社の使用する「定期建物賃貸借契約書」において賃貸人(事業者)が無催告で契約を解除できることとされている条項等について削除や見直しを行うよう申入れ・要請を行い、以後、同社との間で協議を重ねてきました。

 今回の協議における当機構の申入れ・要請と株式会社AMBITIONの対応は下表のとおりです。

表1【申入れ:賃貸人による無催告の契約解除について】
当機構の申入れ内容 株式会社AMBITIONの対応
(現時点での最新の契約書の内容)
 定期建物賃貸借契約書において、次の場合に賃貸人による無催告の契約解除を可能としている部分を削除すること。
  • ※現時点での最新の契約書(2019年8月23日に提供していただいたもの)はコチラ
  1. ①賃借人に対して差押・仮差押・仮処分・強制執行があったとき。
  1. ①「賃借人が法人または事業者としての個人の場合に限る」という規定になりました。
  1. ②賃借人が死亡、破産・民事再生手続開始の申立、後見・補佐・補助開始の審判決定を受けたとき。
  2. ③賃借人が実刑と執行猶予を問わず禁固刑以上の刑の言い渡しを受けたとき。
 ②と③は削除されました。なお、賃借人が死亡した場合については別途契約終了の規定が設定されました。(表2参照)
  1. ④賃借人が共同生活の秩序を乱し、又は近隣住民の生活の平穏を妨害すると合理的に判断されるとき。
  1. ④下記のように改定されました。
    「賃借人が共同生活の秩序を乱し、又は近隣住民の生活の平穏を妨害する(賃借人が、貸室内で振込詐欺等その他の犯罪行為を行っている場合、鉄砲、刀剣その他凶器等持ち込む場合、若しくは反社会的勢力の事務所として貸室を使用している場合等を含む。以下同じ。)と合理的に判断されるとともに、これらの是正等に関する催告を行うまでもなく、信頼関係が破壊されたと合理的に認められるとき」
  1. ⑤賃借人が当該契約による通知義務に違反したとき。
  1. ⑤無催告解除ではなく「賃貸人が賃借人に対して是正等に関する催告を行ったにもかかわらず、必要な対応が取られない等によって信頼関係が破壊されたと合理的に認められるときに解除できる」という趣旨の規定になりました。
表2【申入れ:賃借人の死亡に伴う契約終了について】
当機構の申入れ内容 株式会社AMBITIONの対応
(現時点での最新の契約書の内容)
 定期建物賃貸借契約書において、次の場合に賃貸人による契約解除を可能とし、または契約が当然に終了すると規定している部分を削除すること。  
  1. ①賃借人またはその承継人が死亡の通知を怠った場合又は承継人が契約の継続を望む場合で賃料の支払能力に関する資料(年収、預金残高等に関する資料)を提出しないときは、催告を行なった上で契約を解除することができる。
  1. ①左記の規定から「承継人が契約の継続を望む場合で賃料の支払能力に関する資料(年収、預金残高等に関する資料)を提出しないとき」が削除されました。
  1. ②賃貸人が承継人から資料の提供を受けた後に契約の承継を認めなかった場合、契約は決定を通知した日から2か月後に当然に終了する。
  2. ③賃貸人は、承継人の属性や資力その他の事情等に鑑み、契約を継続することが困難であると合理的に認められるときは、2か月の予告期間をもって契約を解除することができる。この場合、予告期間の満了と同時に契約は終了する。
 ②と③の規定は削除され、替わって「賃借人の相続人が不在のとき、又は賃貸人による合理的な調査によっても承継人を確知できなかったときは、契約は死亡日から3か月後に当然に終了する。」という規定が設定されました。
表3【要請:賃貸人による期間内解約について】
当機構の要請内容 株式会社AMBITIONの対応
(現時点での最新の契約書)
 定期建物賃貸借契約書において、賃貸借期間中であっても賃貸人が賃借人に6か月前までに書面による予告をすることで契約を解約できるという趣旨の規定を削除すること。  当機構の要請のとおり、賃貸人による期間内解約を可能とする規定が削除されました。

 なお、普通建物賃貸借契約についても、同様の趣旨で改定がなされました。

 当機構と株式会社AMBITIONの協議の詳細は次の書面のとおりです。

 また、協議終了にあたり当機構からの申入れ事項および要請事項の一部について改善内容を双方で再確認することを目的とした「合意書」を締結しました。