消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

中途解約時に一定の場合を除き支払いの停止や返金の請求ができないとする趣旨の規定が削除される等、株式会社アイソルートの、isoroot Business Communication Training申込規定が、改訂されました。

 消費者機構日本(以下「当機構」という。)は、「コミュトレ」(コミュニケーション能力等をトレーニングする講座を運営している株式会社アイソルートに対して、当該事業者が使用していたisoroot Business Communication Training申込規定(以下申込規定という)の5.【解約・返金等】(2)が、実質的に平均的損害を超える違約金を定める趣旨であることから、消費者契約法第9条1号に該当し得ると判断し、同社に対して、下記契約条項の削除を求める申入れを行いました。また、WEBサイトの料金体系の改善要請及び申込規定の条項に関する問合せをあわせて行いました。

5.【解約・返金等】(2)

受講者は、本件業務申込み翌日から起算し、8日目以降においては、「本件業務提供期間終了前で且つ以下に該当する場合」を除き、契約解除等による支払いの停止、返金の請求をすることができません。

  • 受講者が死亡した場合
  • 当社が受講不能と判断した場合

申請は書面にて当社お客様相談室係へご郵送ください。

経済事情が悪化した、受講する時間的余裕がなくなった等の個人的理由によるものや、本件業務提供期間終了後のお申し出につきましては、応じられませんので予めご了承願います。

 これに対して同社からは、平成30年1月30日付で、お客様からの契約解除の申し出に対しては、自主的に「受講不能」として取り扱ってきたので、申入れの対象となった部分の削除には異存ないとの回答があり、直近事業年度およびその前の事業年度までさかのぼり調査した結果、平均的損害を超える違約金をお支払いいただいた事実も、申込規定5を理由にお客様の契約解除の申し出を拒絶した事実もなかったと補足されていました。また、申込規定を改訂した旨の連絡がありました。

 その後、2回の問合せを行い、回答を受領しました。

 このような経過を経て、当機構からの申入れや問合せをふまえて、申込規定が改訂された為、合意書の締結し、協議を終了しました。

 当機構からの「申入れ・要請・問合せ」の内容と当該事業者からの回答および改定後の申込規定は下表のとおりです。

  消費者機構日本の申入れ等の内容 アイソルートの回答
申入れ事項①
  1. ○下記条項の(2)および(3)の下線部分は、消費者が契約を解除する際の賠償額について、事業者に生じる平均的な損害の額を超えて定めていると考えられます。よって、消費者契約法第9条1号に該当する不当条項であることから、下記下線の条項を内容とする意思表示を行わず、申込規定からこれを削除することを求めます。
  1. ○お客様の契約解除の申出に対して、自主的に「受講不能」として取扱い、受理するという運用をしているので、当該条項を削除することは問題ありません。
    社内において、直近事業年度に加え、その前の事業年度までさかのぼり調査をした結果、お客様に対して「平均的損害を超える違約金」をお支払いいただいた事実も、申込規定5を理由にお客様の契約解除の申出を拒絶した事実もありませんでした。
5【解約・返金等】
  1. (2) 受講者は、本件業務の申込みの翌日から起算し、8日目以降に置いては、「本件業務提供終了前で且つ以下に該当する場合」を除き、契約解除等による支払いの停止、返金の請求をすることはできません。
  • 受講者が死亡した場合
  • 当社が受講不能と判断した場合

 申請は書面にて当社お客様相談室係へご郵送ください。
経済事情が悪化した、受講する時間的余裕がなくなった等の個人的理由によるものや、本件業務提供期間終了後の申出につきましては、応じられませんので予めご了承願います。

  1. (3) 本件業務提供期間終了前で且つ(2)の正当事由が存在し、受講者からの支払い停止~(略)~
5【解約・返金等】
  1. (2)受講者は、本件業務の申込みの翌日から起算し、8日目以降に本契約を解除したい場合、本件業務提供終了前に限り、以下の基準に従った金額(以下、「解約金」という。)を支払うことにより中途解約をすることができます。
    解約金に対し、当社が受講者より既に受領済の料金が多い場合は、当社は受講者に対し、差額を返金するものとし、解約金に対し、当社が受講者より既に受講済の料金が少ない場合は、受講者は当社に対し差額を支払うものとします。
    申請は当社お客様相談室係へご郵送ください。
<解約金基準>
~(略)~
((3)については、全文削除)
  • ※解約基準については、変更はありません。改定後の申込規定をクリックしてください。
要請事項①
  1. ○コミュトレWEBサイトの「料金体系」のページに、標準的なコースについて明示した上で、総額についても表示してください。
  2. ○コミュトレWEBサイトの「料金体系」のページの中の「受講プランによって異なりますが、月々20,000円~30,000円となります。」の表記を削除するか、誤解のないように表記することを要請いたします。
新年度にWEBサイトの改修予定があるので、これに合わせて、お客様が料金をわかりやすくシュミレーションできるようにします。現在は、お客様の個別のニーズに合わせて受講内容、受講期間など異なる提案を行う為、お客様に誤解が生じないよう担当者がきちんと説明し、十分理解した上で、お申し込みいただくことを重視しています。直近2事業年度について、調査をしたところ、「お申込みいただいたお客様と「料金に対する認識の相違」がトラブルになったケースは1件もありませんでした。
(10/26付で、修正したとの回答がありました。「お客様の申込日により、個別に金額、期間、提供内容が異なるため、ご要請いただいた表記が誤解を生む可能性もございます。これまで以上に丁寧な説明に努めたいと存じます。」)
問合せ事項①
  1. ○下記の条項は、貴社に責めがあった場合でも適用されるのでしょうか。また「不知」があった場合とは、具体的にどの場面を想定しているのでしょうか。

【契約の成立】
 申込書または本規定についての不知・誤解釈があったとしても、これによる不利益について、当社は責任を負いかねます。
  1. ○「申込時に十分理解したと明らかな意思表示をしているにもかかわらず、後になって故意に『知らない』と主張するような行為」などには、この規程が適用されます。あくまでもお客様に対して契約自体の意義を再確認していただくものであり、当社の過失等により、お客様に損害を与えてしまった場合は、当然、事業者としての法的責任を免れるものではありません。
問合せ事項②
  1. ○【免責事項】(3)に記載の個人の氏名、肩書および経歴というのは、何を指すのでしょうか。例えば募集時に講師の名前や肩書が間違っていたとして、間違っている名前や肩書を見て契約に至ったとしても、なんら責任をとらないといった趣旨でしょうか
  1. ○講義中、ケース学習などで事例紹介された個人の氏名や肩書き、会社名などは、不定期に変更されることがあるため、その正確性、完全性などを、当社が保証できるものではありませんと確認しているものです。当社の過失等により、お客様に損害を与えてしまった場合は、当然、事業者としての法的責任を免れるものではありません。
問合せ事項③
  1. ○【遅延損害金】について。消費者契約法で定めている年14.6%の他に、手数料として300円を徴収しているのでしょうか。遅延損害金と別に手数料300円を徴収しているのであれば、どのような理由によるものでしょうか。
  1. ○年14.6%とは別に300円を徴収した事実はありません。14.6%が300円を超えた場合には、300円を上限にお支払いいただいていました。しかし、今回の改定で遅延手数料を求めることは、なくなりました。
問合せ事項④
  1. ○【公正証書】について。貴社が必要と認めた場合に、受講者の負担で、本契約につき強制執行認諾条項を付した公正証書の作成に応じ、必要書類を貴社に提出することを定めていますが、貴社が必要と認めた場合というのは、どのようなケースを想定していますか。
  1. ○お客様がご自身の都合で支払いの条件変更をご希望し、ご本人が公正証書の作成に同意し、弊社がこれに応じる場合です。
問合せ事項⑤
  1. ○【変更権】について、貴社が必要と認めた場合は、いつでも申込規定を変更できるとしていますが、これは受講生に不利益が生じる場合に対しても適用されるのでしょうか。
  1. ○そのようなご心配には及びません。今回の改定で、変更によって受講者に不利益が生じる場合は、当社は受講者の同意を得るものとしますという文言を追加しました。
問合せ事項⑥
  1. ○貴社は、返金保証制度を定めていますが、条件を満たしてはいれば、受講料全額が返金されるということでしょうか。
  1. ○そのようなご心配には及びません。条件を満たす全てのケースについて、受講料全額を返金しています。
    このルールに反して返金に応じなかったケースは、1件もありません。