消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

【被害回復】 株式会社ジョンマスターオーガニックグループに対する被害回復の要請を行い、一定の条件を満たせば返金も選択できるようになりました。

 当機構宛に、2017年10月以降、複数の消費者の方から、「ジョンマスターオーガニックが販売しているシャンプー類の成分表示が誤っていて、そのことは事業者側も認めている。にもかかわらず、事業者側の対応は、正しい成分表示のラベルを貼った商品との交換のみで、現金での返金は受付けないとしており不満である。現金での返金が本来されるべきではないか。被害回復が図られることを要望したい。」といった情報提供がありました。

 当機構で、寄せられた情報内容を確認、検討した結果、被害回復裁判手続を念頭に、事業者に要請を行う必要があると判断し、2017年11月1日付で、株式会社ジョンマスターオーガニックグループ宛に「要請・問合せ」を送付しました。

 「要請と問合せ」の趣旨は以下のとおりです。

【要請】について

  1. 貴社ウェブサイトにおいて10月5日に表示された「自主回収対象製品」のシャンプー、コンディショナー、整髪料、頭皮料、洗浄料等(以下「対象商品」という。)を購入した消費者の内、返金を希望する消費者(すでに自主回収により交換品を受け取った者も含む)に対しては、直ちに返金措置をとること。
  2. Amazon、楽天、Yahoo等のショッピングサイトやその他の販売業者による販売については、当該商品を卸した販売業者に対して、対象商品を購入した消費者が返金を求めた場合には、当該販売業者が消費者に対して返金措置が取れるように販売業者との関係でも貴社が責任をもって対応する措置をとること。
  3. 返金を行う場合には、返金を行うことと返金を受けるため手続等の内容が、購入者に周知されるよう適切な措置をとること。

【問合せ】について

 自主回収の対象製品について、「2016年9月8日から2017年9月21日までに販売された対象製品全ロット」と特定されているが、どのような根拠を持って、自主回収の対象製品を上記の範囲で特定されたのか教えていただきたい。

 当機構が送付した「要請・問合せ」に対して、株式会社ジョンマスターオーガニックグループ代理人より、要請内容の確認を含め、面談をしたいとの申し出があり、以後、複数回の面談を重ねる中でも、当機構からは返金の早期実施とそれに関わる条件等についての要請を行ってまいりました。

 その結果、2018年2月26日に株式会社ジョンマスターオーガニックグループ代理人より、当機構に対して、「自主回収に関する追加対応として、クーポンへの交換又は返金を追加する」旨の連絡があり、同日、ジョンマスターオーガニックの公式ウェブサイトでその旨が公表されました。

 なお、「問合せ」事項に対する事業者側の回答は以下のとおりです。

  1. ○「John Masters Organics Inc.が誤表示について調査を行ったところ、上記期間に販売された自主回収対象製品について誤表示があったことが確認されたためです。」との事でした。

当機構の考え方

 当機構では、今回の株式会社ジョンマスターオーガニックグループの措置について、次のように考えています。

  1. 購入した経路を問わず、返金を望む消費者に対しては、返金が認められることになり、またそのことについて事業者のウェブサイト上で周知していることは、当機構からの要請に沿った内容であり、一定の評価はできると考えます。
  2. 但し、次の点において、今回の措置は消費者の被害回復として不十分な内容と思われます。
    1. ①返金の条件として、旧ラベル(誤った表示ラベル)の貼られている製品が必要となる点については、既に自主回収対象期間から相当な時間が経過し、使用後の空となった旧ラベルの製品を現在も保管している消費者は少ないと思われ、こうした旧ラベルの製品を既に廃棄してしまった消費者は、返金が受けられないこと。
    2. ②2017年9月21日の事業者HPに掲載された「製品の自主回収に関するお詫びとお知らせ」以降、既に多くの消費者が正しい成分表示の貼られた同商品と交換されていると思われますが、その時点では交換以外の他の選択肢は無く、やむを得ず交換に応じた消費者もいると考えられ、そうした消費者は、今回の返金の対象とはならないこと。
  3. 従って、当機構としては、今回の株式会社ジョンマスターオーガニックグループの対応をもって当機構の要請事項が実現したとするのではなく、購入者の反応を引き続き注視したいと思います。