申入れ・要請等
【2017年11月28日:掲載】
【2018年4月12日:更新】
【2020年4月3日:更新】
株式会社みずほ銀行によるカードローン規定の改定について
消費者機構日本は、消費者からの情報提供を受け、各銀行が販売しているカードローン(無担保のもの)の規定における「相続の開始があったときは、期限の利益を失ったとして相続人は被相続人の債務の全額を直ちに一括で返済する」旨の条項(以下「本件条項」)は、消費者の利益を一方的に害する懸念がある旨を、2016年3月、関係各所に伝えたうえで面談を行いましたが、上記懸念の払拭には至らなかったため、同年11月、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」)に対して、本件条項(※)には消費者契約法10条違反があるとして削除を求める申し入れを行いました。
- (※)みずほ銀行の本件条項とは「カードローン(無担保)規定」の第9条(5)です。現行の本件条項は、正確には以下の記載内容となっています。
第9条(期限前の全額返済義務)
借主について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、借主は銀行から通知催告等がなくてもこの取引にもとづく貸越元利金について当然に期限の利益を失い、ただちに債務全額を返済するものとします。
(1)~(4)及び(6)(7)は記載省略
(5)相続の開始があったとき。
協議結果
みずほ銀行からは、本件条項がただちに消費者契約法10条に違反しているとは考えておらず、かつ、現在でも相続開始時の債務承継や返済については柔軟に対応しているところだが、さらに顧客を保護し顧客本位で対応する観点から、以下の対応とするとの連絡を受けました。
- カードローン(無担保)規定より本件条項を削除する。
- 本件条項の削除により、相続開始のみでは相続人は期限の利益を喪失しないこととなる。
- 相続人が別の事由(例えば返済遅延等)で期限の利益を喪失しない限りは、当行が預金相殺や一括返済の請求を行うことはない。
当機構の評価
みずほ銀行が「カードローン(無担保)規定」から本件条項を削除することを決定しました。本対応により、相続人は相続の開始のみを理由とした期限の利益の喪失はしないこととなり、遅延損害金の発生や保証会社から代位弁済を受けることもなくなりました。
帳票改訂等にかかる一定規模の費用負担や相続時の対応に伴う人的負担が発生するなか、当機構からの申し入れについて対応されたみずほ銀行の企業姿勢を当機構は評価します。
なお、みずほ銀行は、2018年4月2日から、本件条項を削除したカードローン(無担保)規定の使用を開始しています。
追記(2020年4月3日)
2019年11月、消費者から、みずほ銀行が協議結果のとおりの対応をしていないとの情報提供を受けました。
当機構は、同年12月、みずほ銀行に対し、次の事項について各店舗及びお客様相談の部署に周知することを要請しました。
- 相続人は被相続人と同一条件で、債務を返済すればよいこと。
- 相続後に一定の期間を経過したとしても、残債について一括弁済を迫り、消費者にとって不利になる他のローンヘの借り換えを求めないこと。
みずほ銀行からは、当機構からの要請事項につき、各店舗及びお客様相談の部署に対して、事務手続きを遵守するよう改めて文書で周知する対応を実施した、との連絡がありました。