消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

品川美容外科(医療法人社団翔友会) に対して、優良誤認表示、二重価格表示及び退去妨害の差止を求めました!!
~消費者のみなさん、情報提供をお願いします。~

 当機構は、「品川美容外科」を経営している医療法人社団翔友会(代表者 綿引 一)(以下「当該法人」という。)に対し、以下の3点について、その差止を申し入れました。

  1. フェイスリフト(フェザーリフト、ロイヤルリフト、フェイスアップ)について、つり上げ、たるみ解消等の効果が強調されている表示の差止
  2. BMC(Beauty Members Club)会員は、料金が非会員価格に比して20%OFFになるとする表示の差止
  3. 退去妨害行為の差止

また、以下の4点について各その意味内容について問い合わせをいたしました。

  1. 症例実績について
  2. 安心保障制度について
  3. ロイヤルリフト、フェイスアップの「切らない」との表現について
  4. 「当院独自」「世界レベル」との表現について

情報提供・相談について

 当該法人に関するお問い合わせやご相談、情報のご提供については、その内容に応じて下記へご連絡くださいますようご案内申し上げます。

  1. ①退去を妨害受けた(例えば帰りたいと言ったのに帰らせてもらえず更に説明が続けられ契約してしまったなど)方や、その他の当該法人に関する情報を提供されたい方(但し、具体的な損害賠償のご相談、具体的な返金交渉のご相談など、差止請求に関する情報提供以外には応じかねますので、ご了承ください。)

 当機構のホームページの情報提供ページまたは当機構へ直接お電話ください。

  1. ②手術前の説明と結果が異なる、料金や支払い、返金交渉、その他診療契約に関するご相談

 独立行政法人国民生活センターまたはお近くの消費生活センター等

 ご自身で検索される方(お近くの自治体の窓口を検索できます)

 消費者ホットライン(お近くの自治体の窓口をご案内します)

  1. ③健康被害による損害賠償請求のご相談

 03-5698-8544(平日午前10時~午後4時)

 具体的な申入れ内容及び問い合わせ内容については、下記のとおりです。

1.つり上げ、たるみ解消等の効果が強調されている表示の差止について

 当該法人のホームページでは、以下の表示がされています。

①フェザーリフト

「他の若返り術との組み合わせで、さらに効果アップ!」

「糸の周囲でコラーゲン生成がおこり、肌にハリがでたり、今後のたるみ予防にも効果を発揮します。」

② ロイヤルリフト

「当院特注の溶ける繊維で高い引き上げ効果!」

「切らない施術ですので、お顔に傷あとは残らず、より長い効果の持続を期待できます。」

「切らずに効果と安心をしっかりと求めたい方に!」

「施術後すぐに効果を実感いただけます。」

「当院特注の繊維で、より高い持続効果が期待できます。」

「立体的に溶ける繊維を注入する方法なので、より自然な仕上がりで、強力に引き上げ、高い持続力が期待できます。」

③フェイスアップ

「フェイスアップは今までの外科的処置によるリフトアップでは不可能だった、お顔全体のつり上げを可能にした処置です。メスで切らずに溶ける繊維を注入してホホやフェイスラインを自由自在につり上げ、タルミを解消することができます。」

「フェイスアップは、お顔の正面・ホホ側面・フェイスライン、あらゆる面を自由自在にリフトアップすることが可能です。これにより、リフトアップ・小顔効果が得られます。」

「お顔の正面もホホもフェイスラインも思いのままに変化!」

「輪郭とアゴを同時に整えることでより小顔効果が生まれます。」

 景品表示法第4条1項1号の優良誤認表示とは、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示 ~略~ す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」と規定されています。

 フェザーリフト、ロイヤルリフト、フェイスアップは、いずれも吸収糸を用いたスレッドリフトと呼ばれる手術であるところ、スレッドリフトの効果については、文献によると、「従来の方法と比べ、患者が想像しているよりも効果が弱いこともある」「皮膚の下垂が強い症例に対しては有効ではない」「手術による変化はそれほど大きなものではないことを十分に説明しておく必要がある」等とされています。

 それにもかかわらず、当該法人のホームページでは、具体的な数値を示さず抽象的・感覚的に高い効果があるとの情報のみを記載する表示は、各手術により得られる効果について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものですので、不当表示(優良誤認表示)であると考えられることから、差止を請求しました。

2.BMC会員価格と非会員価格の二重価格表示の差止について

 当該法人の広告において、BMC(Beauty Members Club)会員には、料金が20%OFFになるとされ、非会員価格と会員価格が対照表示されています。

 BMC会員は、当日入会が可能で、入会金・会費は全て無料であるとされているため、容易に会員になることが可能であって、さらに、会員になるに当たって当該法人に知られていない個人情報を追加登録する必要もないことに鑑みると、会員にならずに施術を受けることは考えられないことから、非会員価格で契約した者はほとんど存在しないと考えられます。

 景品表示法第4条1項2号の有利誤認表示とは、商品・役務等につき、その取引条件が実際のもの又は他の同種若しくは類似の商品・役務を供給している他の事業者のものと比較し著しく有利であると誤認される表示であって、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものと規定されています。

 そして、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、平成18年1月4日改定)によると、会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格に用いる場合、容易に会員になることが可能であって、その価格での購入者がほとんど存在しないと認められる販売価格を非会員価格として比較対照価格に用いる「二重価格表示」は、不当表示に該当するおそれがあるとされています。

 よって、BMC(Beauty Members Club)会員には、料金が20%OFFになるとされ、非会員価格と対照して表示されている会員価格表示は、不当表示(有利誤認表示)であると考えられことから、差止を請求しました。

3.退去妨害行為の差止について

 消費者契約法第4条3項は、消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して、当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させない行為(2号)をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる旨規定しています。

 ここにいう「退去させない」とは、「退去の意思があったのに、当該消費者を当該場所から退出させるのを困難にさせた場合を広く意味し、物理的なものであると、心理的なものであるとを問わず、当該消費者にとって退去させない状況になっていれば足りる。」(名古屋簡判平17・9・6)と解されます。

 当該法人の経営する診療所においては、クラークと呼ばれる従業員が、退去して検討する旨表明した消費者に対し、その日だけ手術代金を割引する、支払は後日でよいなどと言って退去させず、密室で長時間にわたって説得してクレジットを組ませるなどして当日のうちに手術を行う例が見られます。

 このような行為は、上記第4条3項2号に該当すると考えられることから、差止を請求しました。

4.症例実績等の問い合わせ

 当該法人のホームページでは、2014年4月現在、品川グループ全院において、「症例実績400万件以上」「紹介・リピート約90%以上」と記載されています。

 これを裏付ける客観的なデータについて問い合わせました。

5.安心保障制度についての問い合わせ

 当該法人のホームページでは、「安心保障制度」があるとされており、貴法人の医師の診察により再治療が必要ないし可能と判断された場合に、無料で再治療すると謳われています。患者が再治療を希望した場合、実際に無料での再治療はどの程度の割合で行われているのか、再治療を断ったり、無料での再治療ではなく、他の手術を有料で施術したりする割合はどの程度あるのかについて問い合わせました。

6.ロイヤルリフト、フェイスアップの「切らない」との表現についての問い合わせ

 当該法人のホームページでは、ロイヤルリフト、フェイスアップの術式について、「切らない」との表現が使用されています。「切らない」とはどういう意味で使用されているのか、これらの手術については、一切の切開を行わないということなのか、「切らない」という表示に接した消費者は、「出血しない」というように理解するのが一般的であると考えられますところ、出血しない施術なのかについて、問い合わせました。

7.「品川美容外科独自」「当院独自」「世界レベル」との表現についての問い合わせ

 当該法人のホームページでは、「ライトリフト」のページには、「この技術は品川美容外科独自のリフトアップ技術が生み出したオリジナルの新しい施術方法になります。」とあり、「二の腕の脂肪吸引」のページ等には、「当院のプレミアム脂肪吸引なら当院独自のダブル効果により」という表現がされています。

 この「品川美容外科独自」とか「当院独自」とはどのようなことを意味するのか、そのような施術方法については、客観的エビデンスに支えられた医療水準による裏付けは存在するのかについて問い合わせをしました。

 また、「世界レベルで認められたバストクリニック」であると標榜し、「複数の医師がアメリカの専門機関で研修を受け、認定証を交付され」たとの表示もあるところ、この「世界レベルで認められた」とは何を意味するのか、そのように標榜する根拠は何か、もし、上記のアメリカの専門機関での研修、認定証を根拠にするのであれば、その内容及びそれが世界レベルであることを示す事実は何かについて問い合わせました。