消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

被害回復訴訟

<(株)アカデミー・エンターテイメント 共通義務確認訴訟>
対象消費者の氏名や連絡先等の開示を命じる保全開示命令「決定」が出ました。

 消費者機構日本は2025年4月28日に(株)アカデミー・エンターテイメントを被告として、東京地方裁判所に共通義務確認訴訟を提起しました。

 そのなかで当機構は東京地方裁判所に対して、同社が保有する対象消費者の氏名や住所等が記載された連絡先文書の開示を求める保全開示命令申立(2025年8月15日付)を行っていたところ、当該申立を認める旨の「決定」(2026年6月18日付)が出されました。

 なお、同社は、この決定を不服として即時抗告を行いました。今後、保全開示については、共通義務確認訴訟の審理と平行して、東京高等裁判所で審理が行われます。

もう少し詳しく解説します

 消費者裁判手続特例法の2022年改正(2023年10月1日施行)で、同法9条に保全開示命令に関する規定が設けられました。

 これは、共通義務確認訴訟の段階において、特定適格消費者団体の申立てにより、事業者に対し、事業者が保有する対象消費者の氏名や連絡先等の文書の開示を求めることができるとする制度です。

 事業者は、特定適格消費者団体に対し、対象消費者等の氏名や連絡先等の開示義務を負っているところ(同法31条)、簡易確定手続の段階で情報開示命令(同法32条)が発令されるまでには相応の期間を要することから、その間に事業者が上記情報を廃棄してしまうことも考えられるため、情報開示の実効性を高めるために新たに設けられたものです。

 今回、当機構が行った保全開示命令の申立は同法9条1項に基づくもので、対象消費者を範囲として、同法31条1項をふまえて次の文書の開示を求めました。

  1. ①入学の際に提出した「受付表」
  2. ②入学の際に提出した「プロフィール」
  3. ③住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報が記載されている受講生管理簿ないしこれに類する文書(電磁的記録含む)

 当機構が、共通義務確認訴訟の係属中に上記文書の開示を求めた理由は、共通義務確認訴訟を提起する前に、差止請求訴訟の確定判決に基づいて、該当する芸能人養成スクールの中途退学者等に入学時諸費用(38万円)と7万円との差額を自主的に返還するよう求めたところこれを拒否されたこと、受講生の修業年限が1年とされていること等を考慮すると、簡易確定手続の段階で情報開示命令が発令されるまでの間に、上記文書が廃棄されてしまう可能性があると考えたからです。

 裁判所は、同社が対象消費者に対して一定の金銭の返還義務(共通義務)を負っていること(被保全権利があること)及びあらかじめ上記文書が開示されなければその開示が困難となる事情があること(保全の必要性)について疎明があったとして、同社が上記文書を保有していないと思われる事情も特段見当たらないことから、同社に対し、上記文書の開示を命じました。

 なお、同社は、この決定を不服として即時抗告を行いました。今後、保全開示については、共通義務確認訴訟の審理と平行して、東京高等裁判所で審理が行われます。