意見・提言
厚生労働大臣等に有料老人ホームの初期償却等に関する意見を提出しました!
現在、有料老人ホームの多くが、入居時に入居一時金等の名目で前払い金を徴収しており、その額は、数百万円から2000万円くらいの施設が多いようです。現在、入居一時金(前払い金)については、居住権や施設利用権の対価といった説明がされ、入居した時点で20~30%程度の初期償却が行われています。
施設から提供されるサービス内容が不満、施設の雰囲気に馴染めない、他の入居者との人間関係の悪化等何らかの理由から施設の退去を希望したときに、初期償却によって前払い金の返還金が大きく減少してしまうと、高齢者は転居費用を準備できず、不本意でもその施設に留まることを余儀なくされます。また、転居費用を用意できても、その後の生活の維持が困難になります。
今通常国会で審議されています「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」における老人福祉法改正案において、事業者が入居者から受領可能な前払い金は「家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価」(以下「家賃等」)であり、「権利金その他の金品の受領を禁止する」(改正案第29条第6項)旨が明記されています。
この改正法の趣旨に沿えば、少なくとも入居一時金(前払い金)の初期償却は、不可能になると考えられます。一方、事業者等の間には、初期償却制度の維持を求める声もあることから、法改正の趣旨に沿って初期償却を容認しない方向で施策の具体化がすすむよう、関係省庁の担当大臣に意見書を提出しました。〔なお、本意見書の中で、初期償却の存続を求める事業者側の理由(長生きリスクへの対応のため)への反論部分で、現在の入居一時金制度と同様の制度であることを仮定した記述がありますが、法改正後においても現在の入居一時金制度が維持されるべきと結論付けているものではないことを申し添えます。〕
また、この意見書の中では、あわせて、入居一時金(前払い金)の保全措置の拡充についても要請しております。
提出した意見書については、【「有料老人ホームにおける前払い金の初期償却を容認しないこと」及び「保全措置を強化」を求める意見書】を参照ください。