意見・提言
消費者被害の拡大防止のために全力を尽くします。
~消費者団体訴訟制度の成立を受けて~
2006年5月31日、「消費者契約法の一部を改正する法律」が全会一致で成立しました。消費者機構日本では、この消費者団体訴訟制度の実現を歓迎し、声明を発表しました。
消費者被害の拡大防止のために全力を尽くします。
~消費者団体訴訟制度の成立を受けて~
2006年5月31日
特定非営利活動法人
消費者機構日本
会 長 根來 泰周
理事長 品川 尚志
本日、参議院本会議において消費者団体訴訟制度を内容とする「消費者契約法の一部を改正する法律」が、全会一致で成立しました。消費者団体訴訟制度は、消費者契約法に照らして不当な約款・勧誘行為の差止請求権を消費者団体に認めるものであり、消費者被害の拡大防止ならびに公正な市場の実現に資する画期的な制度です。また、国会審議の中で、裁判管轄について、事業者の本店・支店所在地に加え、「事業者等の行為があった地」での提訴も可能とする修正がされました。これは、悪質な事業者が遠隔地で不当な行為を行う場合がある実状にそったものであり、評価できるものです。消費者団体訴訟制度の実現を歓迎するとともに、この間制度実現に努力された関係各位に深く感謝申し上げます。
消費者機構日本は、今後、消費者団体訴訟制度の運用実績を重ねる中で、より実効性のある制度への改善提案をすすめます。また、本制度を積極的に活用し、消費者被害の拡大防止をはかることを通じ、制度と適格消費者団体への社会的信頼を広げてまいります。そのことが、次のステップとしての、独占禁止法・景品表示法・特定商取引法などへの消費者団体訴訟制度の導入、ならびに消費者団体訴訟制度における損害賠償請求権の実現へとつながるものと考えます。
消費者機構日本は、消費者団体訴訟制度の実現と活用を目指し、一昨年9月に発足し活動をすすめてまいりました。この間、予備校等に消費者契約法に照らして疑義のある約款の是正申入れを行ってきましたが、「どのような資格で申し入れをしているのか」といった反応であり、真摯な検討がなされていないのが実状です。この度の制度成立を契機として、申入れを受けた事業者は、同制度への認識を深め真摯な対応に努めるべきです。
消費者団体訴訟制度が有効に機能するには、消費者団体の力量強化が鍵です。消費者被害の拡大防止と公正な市場の実現という同制度の公益的役割を理解いただき、事業者や市民各層に広く支援していただくことが必要です。加えて、消費者行政による情報面・財政面での支援も重要です。
消費者機構日本としては、消費者被害の情報収集や分析と申入れの活動をいっそう積極的にすすめるとともに、組織・財政基盤の強化をすすめながら、消費者行政各機関とも連携を強めてまいります。さらに、適格消費者団体間の協力が、同制度の効果的運用にとって重要であることをふまえ、他の団体とのネットワークの形成を積極的にすすめます。
一年後の消費者団体訴訟制度の施行に向けて、消費者被害の拡大防止という同制度の目的を実現できるだけの実力を培っていく所存です。