差止請求訴訟
【2024年7月19日:掲載】
芸能タレントのマネジメント業務を営む合同会社LeyLineGroup(レイライングループ)に対し、差止請求訴訟を起こしました。
合同会社LeyLineGroup(以下、「レイライングループ」といいます。)は、インターネットのオーディションサイトなどでミュージックビデオなど特定のオーディションを行うと告知して、応募した消費者を営業所に呼び出してレッスン及び出演業務等を提供する旨の「専属演者契約」を締結しています。
消費者との間で締結する「専属演者契約書」の契約条項に不当条項があるため、消費者機構日本は、東京地方裁判所に差止請求訴訟を起こしました。
1.差止請求の趣旨
- (1) レイライングループは、消費者に対し、専属実演家・芸術家として活動等をするために、消費者にレッスン及び出演業務等を提供する旨の専属演者契約の締結を勧誘するに際し、仕事を紹介する具体的予定がないのに、その予定がある旨を告げてはならない。
- (2) レイライングループは、消費者に対し、専属演者契約に基づく役務の提供が「訪問販売」(特定商取引に関する法律第2条第1項)に該当する場合に、クーリングオフができないとする意思表示を行ってはならない。
- (3) レイライングループは、消費者に対し、以下の意思表示を行ってはならない。
- ①契約期間の満了に際して連絡なく契約更新か解除の手続きを遅滞した場合には、積立金の受け取りを放棄したとみなす意思表示。
- ②契約期間の中途で契約を解除した場合には、保証金及び入会金(事務手数料)を返還しないという意思表示。
- (4) レイライングループは、上記請求の趣旨(2)および(3) の意思表示が記載された契約書その他一切の表示を破棄すること。
- (5) レイライングループは、従業員及び委託している勧誘者に対し、上記(1)の勧誘行為、上記(2)、(3)の意思表示を行ってはならないこと及び上記(2)、(3)の意思表示が記載された契約書その他一切の表示を破棄して使用しないことを周知徹底させる措置をとること。
2.差止請求訴訟を提起するまでの経緯
- (1)「専属演者契約」を締結した消費者から、勧誘方法について苦情が寄せられました。
【概要】インターネットのオーディションサイトなどでミュージックビデオに出演できると告知があり応募したところ営業所に呼び出された。オーディションに合格するには実績不足であると告げられ、「専属演者契約」を締結すれば、実績を積むための仕事を回すことできると勧誘され、事務手数料5万円を支払い「専属演者契約」を締結した。さらに、契約終了時に返金するので別途保証金(総額54万円税別)の支払いを求められた。しかし、実際には仕事が回ってこない。 - (2) 当機構において調査し検討した結果、勧誘方法および「専属演者契約書」の契約条項は消費者契約法、特定商取引法に抵触するものであることから、2023年11月10日付で申入れ(回答期限2023年12月11日)を行いました。
- (3) 上記申入れに対し、レイライングループから何ら回答が得られないことから、消費者契約法第41条に基づく差止請求書を送付し、2024年7月8日に相手方へ到達したことを確認しました。到達後、一週間経過した後も相手方から何ら対応が得られないことから、やむなく東京地方裁判所に提訴することとしました。
以上