消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

株式会社伸栄に対し、「クリーニング表示のない商品・製造元が不明な商品は保証できません。」との記載及び「商品の保証はいかなる場合でもクリーニング料金の10倍までとさせていただきます。」との記載をやめるよう差止請求訴訟を横浜地方裁判所に起こしました。

1. 経緯

(1)申入れまでの経緯

被告事業者:株式会社伸栄(神奈川県大和市)

 2010年、「クリーニングハウスアップル」、「クリーニングハウス アップル」、及び「アップル」の名称で、神奈川県大和市、藤沢市、綾瀬市、及び横浜市においてクリーニング所及びクリーニング取次所を経営する株式会社伸栄(神奈川県大和市)が経営するクリーニング店を利用した消費者より、「衣類が返却されなかったので返却を求めたが発見されず、その後弁償を求めたが、回答・説明がない。」との情報が寄せられました。

 同消費者の方よりご提供いただいたメンバーズカードには、「商品の保証はいかなる場合でもクリーニング料金の10倍までとさせていただきます。」との記載があったことから、2012年5月13日に「クリーニングハウスアップル湘南Sマート店」から会員契約書を入手して確認いたしましたところ、同会員契約書には、「クリーニング表示のない商品・製造元が不明な商品は保証できません。」、「商品の保証はいかなる場合でもクリーニング料金の10倍までとさせていただきます。」と記載されていることを確認いたしました。

 そこで、当機構は、同社に対し、上記各記載が消費者契約法第8条第1項第1号ないし同第4号及び同法第10条に觝触し、無効であると考えられることから、①同社が使用する会員契約書にある「クリーニング表示のない商品・製造元が不明な商品は保証できません。」及び②同社が使用する会員契約書とメンバーズカードにある「商品の保証はいかなる場合でもクリーニング料金の10倍までとさせていただきます。」との記載につき、同各記載は、消費者契約法第8条第1項第1号ないし同第4号及び同法第10条に觝触し、無効であるとして削除を求める旨申入れました。

(2)申し入れ後の経緯

 その後、当機構の職員が、同社が経営するクリーニング店の店頭調査をしたところ、5店舗において会員カードから10倍を上限とする賠償条項は削除されていたものの、クリーニング表示のない衣類についての免責条項はそのままでした。また、店頭において賠償額の上限を10倍までとする旨の表示がある店舗や、衣類のお預かり証に同趣旨の記載がある店舗がありました。

 そこで、当機構は、消費者契約法第41条第1項に定める書面による差止請求をするとともに、2015年5月20日、同社を被告とする訴状を横浜地方裁判所へ提出しました。

横浜地方裁判所平成27年(ワ)第1943号