消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

2012年11月5日 裁判上の和解で終結した案件

留学あっせん事業者の「株式会社ワールドアベニュー」では、海外留学プログラム約款の改定作業等を現在進めています!!
―契約解約時(留学プログラム中断時)の申込金及びその他費用の返還規定の改定等―

 留学あっせん事業者である「株式会社ワールドアベニュー」(以下「ワールドアベニュー」という)は、海外留学に関する企画・販売や海外でのホームステイの手配・斡旋を主な事業内容としており、留学に関しては、一般的な語学留学のほか、看護師資格取得プログラム、ダイビングインストラクター養成なども設定されています。また、留学先は「アメリカ、オーストラリアをはじめニュージーランド」など幅広い諸外国を対象とし、海外オフィスもあるとされています。

 消費者機構日本(以下「当機構」という)では、消費者からの情報提供に基づいて、「ワールドアベニューの海外留学プログラム約款」(以下「本件約款」という)等を検討・検証したところ、消費者契約法の不当な条項等に該当する可能性が考えられたため、2010年5月17日及び同年8月9日付けで改善を求めた申入れを行ってきました。

 その結果、ワールドアベニューからは、申入れ趣旨を踏まえ、海外留学プログラム約款の改定をはじめ、改善等を進める旨の回答がありましたので、当機構からの申入れ及びワールドアベニューの現段階の回答内容を、以下のとおり公表します。

 なお、当機構では、ワールドアベニューにおける海外留学プログラム約款の改定内容等について、引き続き確認していき、同約款改定が完了した段階では、あらためて改定後約款等を公表していくこととします。

1.当機構からの申入れ内容について<※詳細は別紙申入れ書を参照ください。>

 当機構では、本件約款やワールドアベニューの勧誘行為において、消費者契約法の不当な条項・行為に該当する可能性が考えられたため、次のとおり不当条項等の是正を申入れました。

  1. ① 次の規定は平均的損害を超えて損害賠償を予定しているため、消費者契約法第9条1号により無効であるので、削除を求める。
    1. ア) 「お客様の都合による途中退校・帰国等によりプログラム実施を中断した場合、支払い済み費用は不返還」とする規定。
    2. イ) 「申込金は理由の如何を問わず不返還」とする規定。
    3. ウ) 契約締結日からの経過日数基準で、キャンセル料を一方的に定めている規定。
  2. ② 看護師資格取得プログラム契約で高レベルな語学力を要することに関して、不利益な事実(申込者のレベルによっては、平均的な努力では留学先学校に入学できない可能性や最終的に契約期間の1年半等には到達できないレベルである可能性)を告知せずに勧誘し契約締結させていたのであれば、消費者契約法第4条2項の不当勧誘に該当するため、その不当勧誘の停止を求める。

2.ワールドアベニューからの回答内容について<※詳細は別紙回答書等を参照ください。>

 当機構からの申入れに対して、ワールドアベニューからは、次の改定(改善)予定が直近で回答されました(以下は2010年12月5日付け回答書に基づく)。

  1. (1) 「契約取消時の申込金の返金規定」を次のとおり改定(改善)する。
     契約日から起算した経過日数(役務提供)に応じて取消手数料を設定し、それを除いた残額を返金する。取消手数料は契約日から起算して「7日目以内」・「8日目以降19日目以内」・「20日目以降29日目以内」・「30日目以降」に区分し、留学プログラムコースに応じて設定する。
    <例>:看護師資格取得プログラム(申込金は315,000円)の場合
    契約取消時期(契約日から起算した経過日数) 取消手数料の額
    7日目以内の取消 取消手数料は0円(全額返金)
    8日目以降、19日目以内の取消 取消手数料は105,000円
    20日目以降、29日目以内の取消 取消手数料は210,000円
    30日目以降の取消 取消手数料は315,000円の全額
  2. (2) 「申込金以外のプログラム代金の返金規定」を次のとおり改定(改善)する。
    1. ① 申込金以外のプログラム代金については、契約解約・取消(渡航前・渡航後のプログラム中断も含む)ともに次の返金取り扱いとする。
      1. ア) 入学・滞在等の諸手続きを開始している場合は、掛かる費用で取消ができないものを差し引いて返金する。
      2. イ) なお、渡航先での学校・滞在先等各現地受入れ機関に掛かる費用については、当該の現地受入れ機関の規定に基づく解約料金を差し引いて、残額がある場合に返金する。
    2. ② 現地受入れ機関の規定は各国・学校で異なるため、現地受入れ機関への諸手続き時に申込者へ個別に説明して確認いただくように事務取り扱いも改める。
  3. (3) 看護師資格取得プログラムにおける語学力については、申込予定者が理解できるように、この間も資料に基づき具体的な語学力内容の丁寧な説明を心がけていた。さらに今後は必要な語学力水準を説明した上で、申込予定者に現在の語学力との乖離状況を確認いただくように要請し、また関係資料を工夫し、その乖離状況も踏まえた相談と申込受付けを行う取り扱いに改め、必要な語学力水準を一層理解できるように丁寧に説明していく。  申込予定者の現在の語学力の確認は、英検等との一般的な対比資料に基づく概略説明の上で、IELTS等の語学力テストの受験を要請することとし、プログラム参加同意書においても、その受験案内等を明記する。
  4. (4) なお、上記内容に基づく「海外留学プログラム約款」等の改定作業は、2011年1月中を目途に進める。

★ 現在、ワールドアベニューでは、上記内容に基づいて「海外留学プログラム約款」等の具体的な改定作業等が進められていますが、同社では、上記改定内容について、2010年12月25日から先行して運用適用していくことがあわせて表明されています。また、当機構では同社の「海外留学プログラム約款」の改定内容について、引き続き確認・精査していきます。

<別紙、申入れ書・回答書等>