消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

お知らせ

美容医療機関のウェブサイト等の表示にご注意ください
≪医療機関のウェブサイトについて規制が強化されます≫

 近年、美容医療サービスに係る宣伝媒体として、美容医療機関のウェブ上での表示や広告が認知される中で、美容医療に関する相談・苦情の数が増加する傾向にありました。

 こうした状況を踏まえて、消費者委員会より建議が出され、厚生労働省では「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を開催し、医療機関のウェブサイトにおける医療情報の取り扱いを議論してきました。

 消費者機構日本も検討会に意見書の提出を行うなど、消費者の立場から様々な提案・意見を述べてきたところです。

 上記厚生労働省の検討会報告書を踏まえて、次のような取り組みや法改正が行われましたのでお知らせいたします。

1.行政においてネットパトロールが開始されました。

 ウェブサイト等の情報収集を行い、不適切な表示が認められた場合には、その医療機関に対して規制を周知し、自主的な見直しを求めること、また、見直し(改善)が認められない場合は、都道府県等への情報提供を行うこと、などを主な活動とする医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業としてネットパトロールが開始されました。

 都道府県等は提供された情報に基づき、報告徴収権限等を活用し、医療機関に指導し規制の遵守を求めていくことになります。

 ネットパトロールによる監視体制の強化は、医療機関のウェブ上の不適切な表示の削減に大きな成果が期待されます。

2.消費者・患者向け注意喚起チラシが医療機関に据え置かれます。

 厚生労働省・消費者庁で美容医療サービスを受けるにあたって注意すべき事項や相談窓口を記載したチラシが作成され、消費生活センターや医療安全支援センター等を通じての配布が行われます。

 消費者の皆様は、施術を受ける前に、今一度チラシの内容を確認してみてください。

3.「医療法等の一部を改正する法律」が成立しました。

 医療機関のウェブサイト等について、消費者トラブルの相談件数の増加を踏まえ、虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令および罰則を課すことができるよう措置する内容を含む「医療法等の一部を改正する法律案」が、2017年3月に国会に提出され、2017年6月に成立しました。

 この法改正により、現在規制の対象外となっているウェブサイト上の表示についても規制の対象となり、虚偽・誇大な広告については禁止となります。

 なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で、政令で定める日とされています。また、規制の詳細は今後議論される予定です。

 なお、上記厚生労働省の検討会報告書とは直接関係はありませんが、2017年6月に特定商取引に関する法律施行令が改正され、一定の美容医療契約については「特定継続的役務提供」として特定商取引に関する法律(特定商取引法)の対象となることとなりました。具体的には以下のとおりです。

役務の提供期間が1か月を超え、かつ支払総額が5万円を超える美容医療契約のうち、①脱毛、②にきび・しみ・そばかす・ほくろ等の除去、③肌のしわ・たるみ取り、④脂肪の溶解、⑤歯のホワイトニング等について、主務省令で定める方法(例:光の照射、薬剤の注射)による役務を提供する場合は、特定商取引法の特定継続的役務提供として以下の規制の対象となります。(2017年12月1日施行)

<行政規制>

  • 契約時等の書面の交付義務
  • 虚偽・誇大広告の禁止
  • 勧誘に際しての不実告知等の禁止 など

<民事ルール>

  • クーリング・オフ制度の適用
  • 中途解約の際の損害賠償額の上限の設定 など