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第30回消費者志向経営セミナー「消費者法制の基礎セミナー」の開催報告

 当機構では、2019年11月8日(金)午後に「消費者法制の基礎セミナー」と題した第30回消費者志向経営セミナーを開催いたしました。

 講師は昨年と同様に、当機構理事で弁護士の瀬戸和宏さんと同じく理事で消費生活相談員の大谷聖子さんにお願いました。

 瀬戸和宏さんからは、消費者法制の概要、消費者契約法の解説と消費者団体訴訟制度について、先生の思いも含めて、お話しいただきました。

 また大谷聖子さんからは、地方消費者行政の現況、消費生活相談員の業務、2018年度の相談の傾向と特徴、事業者への要望等についてお話しいただきました。

 受講者の皆様からは、「具体例を示した説明でわかりやすかった」「事業者への要望は、参考になった」等、大変好評でした。

1.テーマ
消費者法制の基礎を学ぶ
2.日時
2019年11月8日(金)
13時30分~17時00分
3.会場
主婦会館プラザエフ 5階 会議室
4.参加費
お一人様 7,000円
5.対象者
企業・団体の法務部門、内部統制部門、コンプライアンス部門、顧客対応部門、消費者契約担当部門等の新任担当者、消費者法制の基礎を学習したい方
6.参加者
10名(実出席者数)

7.タイムスケジュールと内容

時間 内容
13:35~16:10 講義1 消費者法制の概要・消費者契約法の解説と消費者団体訴訟制度
講師:弁護士 瀬戸 和宏 氏(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会幹事、千葉大学大学院専門法務研究科 非常勤講師)
〇消費者法制の概要
〇消費者契約法の解説
〇消費者団体訴訟制度について
16:20~17:00 講義2 消費生活相談の業務と事業者への要望
講師:消費生活相談員 大谷 聖子 氏(港区立消費者センター)
〇2018年度の消費生活相談の傾向と特徴
〇事業者への要望

8.講義内容

(1) 講義1 消費者法制の概要・消費者契約法の解説と差止請求事例について
 消費者法制の概要について、歴史的背景や社会の価値観の変遷などを交えて説明いただきました。また消費者契約法については、契約条項が無効になるケースや、不当勧誘により契約が取り消しになるケース、特に平成30年改正で新設された契約が取り消しになる不当勧誘の類型について事例を交えて解説いただきました。消費者団体訴訟制度については、当機構がこれまでに行った「差止請求事例」や「被害回復事例」についてもご紹介いただきました。最後に先生が考える「消費者志向経営」について、三方よし(「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」)の経営をすることが重要であると述べられました。
 質疑応答の時間では、実際の業務に即した質問やアドバイスがほしいといった内容が寄せられました。

(2) 講義2 消費生活相談の業務と事業者への要望について
 地方消費者行政の現況、年度別の消費生活相談件数の推移、2018年度の消費生活相談の傾向と特徴について説明いただきました。2018年度の相談の傾向と特徴として、①「商品一般」と「通信サービス」に関する相談が全体の4割超を占めること②65歳以上の相談1件あたりの平均金額が大幅に増加していること③若者の相談は賃貸アパート、インターネット利用に関するものが目立つこと等が挙げられました。
 「劇場型勧誘」や「無料商法」など手口が消費者に少しずつ認知されることで被害の未然防止が図られ相談件数の減少につながったものもある一方で、詐欺であることも多い「利殖商法」、「当選商法」は再び増加に転じており、引き続き消費者への啓発等の対策を続ける必要があると指摘されました。
 最後に、消費生活センターからの申し出や斡旋に対して真摯に協力していただきたい等を話されました。