イベント等
第19回消費者志向経営セミナー開催報告
- 1. 日時
- 2015年3月18日(水)13時30分~17時00分
- 2. 会場
- 主婦会館プラザエフ 5階会議室
- 3. テーマ
- 「改正景品表示法への対応セミナー」
- 4. 参加費
- 7,000円
- 5. 参加者
- 54名
- 6. 開催趣旨
2014年12月1日から同年6月に改正された景品表示法不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成26年法律第71号)による改正)が施行されました。この法律は、製造業や小売りの別や業種を問わず適用される法律です。
今回は、あらためて景品表示法の考え方と現在までに消費者庁より出された措置命令事例について、どこが問題だったのかを消費者庁の調査官よりご紹介、解説いただくとともに、2014年12月1日に施行された改正景品表示法の概要、内閣府告示の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」のポイント、今後導入される課徴金制度の概要についてもお話をしていただきます。また、広告表示や商品の表示の点検体制、点検業務の内容、今後の対応等について、通信販売事業を展開している日本生活協同組合連合会で実際に点検業務に携わっている方から、お話をしていただき、事業者として、どのような視点、体制で改正景品表示法の対応を行っていけばよいかを検討する上で、参考としていただく趣旨として開催しました。
7. 進行次第
- 13:30
- 開会挨拶
- 13:35~14:35
- 講演1「景表法の考え方と措置命令事例の紹介」
消費者庁 表示対策課
景品・表示調査官(弁護士) 関口 岳史 氏(講演50分、質疑10分) - 14:35~14:45
- ≪休憩≫
- 14:45~15:45
- 講演2「改正景表法と『事業者が講ずべき措置についての指針』のポイントについて」
消費者庁 表示対策課
景品・表示調査官(弁護士) 関口 岳史 氏(講演50分、質疑10分) - 15:45~15:55
- ≪休憩≫
- 15:55~16:55
- 講演3「媒体表示の点検体制・業務内容と今後の対応について」
(日本生活協同組合連合会 通販事業管理部)
品質2G リームリーダー 宮本 和洋 氏(講演40分、質疑20分) - 16:55
- 閉会挨拶
8. 次第概要
「開会挨拶」
本日はお忙しい所ご参加いただき感謝申し上げます。
2014年12月1日から施行されている改正景品表示法は、製造業や小売りの別や業種を問わず適用される法律です。
今回は、あらためて景品表示法の考え方と現在までに消費者庁より出された措置命令事例について、どこが問題だったのかを消費者庁の調査官よりご紹介、解説いただくとともに、2014年12月1日に施行された改正景品表示法の概要、内閣府告示の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」のポイント、今後導入される課徴金制度の概要についてもお話しをしていただく予定でおります。
また、広告表示や商品の表示の点検体制、点検業務の内容、今後の対応等について、通信販売事業を展開している日本生活協同組合連合会で実際に点検業務に携わっている方から、お話をしていただく予定です。
事業者として、どのような視点、体制で改正景品表示法の対応を行っていけばよいかを検討する上で、お役に立てることと存じます。
「景表法の考え方と措置命令事例の紹介」
消費者庁表示対策課景品・表示調査官(弁護士)関口岳史氏から、景品表示法は、当初は、牛肉の缶詰として販売されていたものが実際には馬肉が使用されていたいわゆるニセ牛缶事件を契機として、事業者の公正な競争を確保することを目的に独占禁止法の特例法として制定されたものが、消費者庁設置により同法の所管が消費者庁へ移管される際に、事業者の公正な競争を確保する目的から、一般消費者が商品又はサービスを自主的かつ合理的に選択することができるようにする目的に変更されたというお話がありました。
不当な表示には、優良誤認表示、有利誤認表示、誤認されるおそれのある表示の3種類があること、優良誤認表示かどうかを判断するために消費者庁は事業者に対し、約2週間以内に合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができること、事業者が合理的な根拠を示す資料の提出しない場合には、当該表示は優良誤認表示とみなされるという不実証広告規制があることの説明がありました。
また、不当表示は、事業者の故意又は過失を要件とはしていないという判決があること、不実証広告規制の約2週間の提出期間は、根拠を確かめてから表示をするということであるので、消費者庁から文書提出を求められてから根拠を探すのではなく、既にある根拠を書類にまとめて消費者庁へ提出するための事務作業等のための期間であることが説明されました。
これら不当表示の意味について説明されるとともに、実際に措置命令が出された優良誤認表示の例、不実証広告規制の例、有利誤認表示の例の解説がそれぞれありました。
質疑応答
- (質問)不実証広告規制について、事業者から合理的な根拠を示す資料が提出されたために、措置命令が出されなかった事案は、どれくらいあるのか。
- (回答)ご質問の点については公にしている数字はないので、明確にはお答えできない。もっとも、消費者庁も、やみくもに事業者に資料を提出させるというものではなく、不当表示ではないかと疑われる表示については、例えば、事前に専門家に聞くなどして、それ相応の下調べをしてから資料提出を求めている。
- (質問)防虫剤の表示で措置命令が出された案件で、当該事業者の表示の内、極一部を変えただけのものが見られるが、消費者庁はこれを是としているのか。
- (回答)いつの段階でどのように表示されたのかがわからないが、最終的な表示の変更は、再発防止策とセットでされることもあるので、それらをセットで考えて、不十分だと認められれば是正させることになる。
- (質問)一般消費者とは?事業者へも販売し消費者にも販売しているものは、どうなるのか?
- (回答)景品表示法上に一般消費者の定義はない。事業者以外の消費者生活のために商品・役務を購入するような者が一般消費者である。一般消費者が買えるものは、景品表示法の対象である。
「改正景表法と『事業者が講ずべき措置についての指針』のポイントについて」
引き続き、消費者庁表示対策課景品・表示調査官(弁護士)関口岳史氏から解説がありました。
一昨年に起きたホテルのレストラン等の食品不当表示事件を契機に、なぜこのようなことが起きたのか、再発を防止するにはどうしたらよいかを検討した結果、メニューを作成する部門、仕入れ部門、営業部門などの部門間の情報共有がうまくいかなかったことなど、事業者のコンプライアンス意識の問題、行政の監視や景品表示法の周知が不十分であった等の行政の問題などが挙げられたことから、景品表示法を改正して、調査権を所管省庁へ消費者庁から委任できるようにしたり、都道府県知事が措置命令を出せるようにしたりするなどの対策を講じたこと、事業者に対しては、表示等に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備等の必要な措置を講ずることを義務付けることとしたことなどの改正に関して解説がありました。
留意すべき点として、大きな会社と中小零細企業や個人事業主でやり方が異なってもよいが、中小零細企業であれば必要な措置を講じなくともよいという意味ではないこと、例えば、部門間の情報の共有について、個人事業主の場合はその代表者が知っていれば共有しているといえるので、大会社のように社内ネットを構築したり、朝礼で周知したりしなくともよいという意味で、情報共有しなくともよいという意味ではないというものでした。
また、指針別添に示されている例は、あくまでも例の一つに過ぎないので、ここに記載されているとおりにやらなければならないものではないこと、指針の内容は普通の会社であれば、既に講じているであろう事柄なので、既に講じている会社にあっては、特にやらなければならないことが増えるというものではないとのお話でした。
- (質問)表示等に関する情報の確認(その1)(指針3ページ第4の3)では、確認がされたといえるかどうかについて、「全ての場合について、商品の流通過程を遡って調査を行うことや商品の鑑定・検査等を行うことまでを求められるものではありません。」とあるが、カタログ通販事業者の場合、根拠の確認は卸業者までで良いのか、メーカーまで求められるのか。
- (回答)例えば、小売業者については、製品のパッケージに記載されているものや卸業者からの情報の限度で表示するのであれば、メーカーにまで調査したり、鑑定・検査をしたりする必要はないが、それらの情報を超えて、販売業者が独自の表示をする場合には、その根拠はそれなりに用意しておかなくてはならないという趣旨である。
- (質問)先ほどの説明では、不当表示には故意又は過失は要件とされていないとのことだが、メーカーや卸業者に騙されたような場合の販売業者はどうなるのか。損害賠償は騙した者へできるとしても、措置命令の対象となると、返金をする必要があるなどの対応が求められることとなる。
- (回答)製品のパッケージに記載されているものや卸業者からの情報の限度で表示されているものについては、この確認はなされていると評価されるが、そのことと不当表示の有無の問題は別である。理論的には、騙された場合であっても、不当表示と評価されるので、措置命令の対象とはなり得る。だからと言って、必ず措置命令を出すかと言えば、様々な事情も踏まえて措置を判断していくことになる。
- (質問)建材メーカーだが、建材は、基本的には事業者向けに販売しているが、一部DIYショップなどでも売られているものがある場合、その表示は対象となるのか。
- (回答)事業者以外を一般消費者というので、事業者以外の者が買うことができるものは全て対象となると考えている。
「媒体表示の点検体制・業務内容と今後の対応について」
日本生活協同組合連合会通販事業管理部品質2G表示チームリーダー宮本和洋氏からは、主にご自身が担当されている通販部門におけるカタログの表示の点検業務について、お話がありました。
日本生活協同組合連合会(以下、「日本生協連」)では、商品の品質や内容について仕様書と照合は、品質管理部門の仕様書担当が点検を行い、品質管理部門の表示チームは、編集部門が作成したカタログ上の媒体表示等について、景品表示法や公正競争規約だけでなく、旧薬事法(医薬品医療機器等法)などの関連法規について点検業務や事前相談をされているとのことです。また、カタログ上の表示の点検ばかりでなく、商品を購入した組合員さんから寄せられる口コミ投稿の内容についても広告となり得ることから、インターネット関連部門と連携して点検や相談対応をされているとのことです。日本生協連では、QMS(クオリティー・マネジメント・システム)というISO基準に基づいた業務品質管理体制を構築しており、策定した業務工程管理により、仕様書の点検、媒体表示点検工程、手順書等の文書管理を行っているとのことでした。そして、カタログの表示の点検の結果、不適切のおそれがある表示、修正した方がよいと思われる表示の指摘内容、行政等への広告相談結果、業界団体からの情報などは、データーベースに登録し、掲示版等で情報管理を行っています。また、教育・研修についても、景品表示法を中心に、要改善指摘事例の情報共有や学習会を実施し、受講記録を取っているとのことでした。今後の課題として、指針に基づいた表示等管理担当者の明確化、資料保管・挙証資料の保管、データベースの検索機能の更なる整備、他社との情報交換や情報共有、情報発信や学習会の開催、わかりやすい広告表示のための第三者からのアドバイスを受けることなどを検討しているとのことでした。