消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

イベント等

第9回通常総会記念シンポジウム開催報告

 消費者機構日本は、第9回通常総会を去る6月1日(土)に開催しました。総会では、2012年度の事業報告・決算をご承認いただくとともに、2013年度事業計画と予算についてご報告しました。通常総会の開催状況につきましては、当ホームページ「消費者機構日本とは」の「総会報告」欄に掲載されていますので、ご参照いただければ幸いです(総会報告はこちらから)。

 そして、第9回通常総会後に総会記念シンポジウムを開催しましたので、以下にその概要について報告いたします。

  1. 日 時 2013年6月1日(土)14時30分~16時30分
  2. 会 場 主婦会館プラザエフ 地下2階「クラルテ」
  3. 参加者 50名(事務局含む)
  4. 参加費 無料
  5. シンポジウム次第

 シンポジウムは、消費者機構日本の青山 佾会長の開会挨拶ではじまりました。その要旨は以下のとおりです。

開会挨拶をする青山 佾会長
開会挨拶をする青山 佾会長

【青山 佾会長の挨拶要旨】
 先程、消費者機構日本の第9回通常総会を開催した。当機構の活動も10年目に入ることになる。この間、消費者契約法の制定や関連法制の改正・整備などが実現するとともに、当機構の差止請求の活動も地道に重ねられ、着実に成果をあげてきた。

 シンポジウムでは、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続きの特例に関する法律案」をめぐる最新の状況を加納企画官から聴き、「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」について日弁連内での論議状況について群馬県弁護士会の吉野弁護士からご紹介いただく。

 思えば東京都が消費者条例に基づいて消費者被害救済委員会を作り、消費者団体に訴訟費用の助成を行えるようにしたのが1975年。あれから30年以上たつが、少額多数の消費者被害を救済する制度やシステムへの社会的理解はどの程度進んだのだろうか。今回の訴訟制度案に関しても経済団体からは事業を委縮させるとの懸念が出されているが、市場が適正に運営されれば良い企業は伸びるのであって、環境規制をめぐるマスキー法の企業対応の結果から見ても明らかだ。また、消費者契約法は消費者・事業者間の契約について民法の一般原則(契約自由の原則)の例外を規定したものだが、こうした文脈の上でどれだけ民法(債権関係)の今日的な改正が実現するのか、我々にとっても大いに関心のあるテーマである。我々は信用できる市場を育てるための一翼を担っているとの自覚のもと、お二人のご講演を聴き、これら課題をしっかり深めていきたい。

 続いて、芳賀唯史理事長が、第9回通常総会の開催状況を、シンポジウム参加者に簡潔にお伝えしました(報告内容は省略しますので、詳しくは上記「総会報告」でご確認ください)。

 そして、第1講演として消費者庁消費者制度課企画官の加納克利様から、制度の概要資料と法律案に基づき、この間の制度創設に向けた検討経過とその意義、「法律案」として付加整備されたポイントについて、限られた時間ながら簡潔明瞭にご説明いただき、併せて、参加者からの質問にもお答えいただきました。

ご講演いただく消費者庁加納克利企画
ご講演いただく消費者庁加納克利企画
ご講演いただく吉野 晶弁護士
ご講演いただく吉野 晶弁護士

 第2講演では、群馬県弁護士会の吉野 晶弁護士から、法務省の「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」に対する、日本弁護士連合会消費者問題対策員会の民法改正部会有志による消費者保護の観点からの意見集約方向について、「中間試案」そのものを示しながら、重要な15項目について、「中間試案」はどういう方向をめざしているのか、それに対する日弁連民法改正部会有志の評価、その理由などを、実際の消費者トラブルの実例もあげながら、60分という限られた時間の中で、たいへんわかりやすく解説いただきました。解説いただいた15の重要項目は、「格差契約と信義則」「情報提供義務」「暴利行為」「不実表示」「詐欺取消」「消滅時効期間」「法定利率」「約款規制」「保証」「債権譲渡」「複数契約」「消費貸借」「リース」「サービス契約」「立法化提案からもれた事項(押しつけられた利得、抗弁の接続)」です。それぞれの詳細については、ご講演レジュメを添付させていただきましたので、ご参照くださるようお願いいたします。