消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

消費者機構日本とは

第21回通常総会報告

 消費者機構日本は第21回通常総会を開催しました。以下、概要をご報告いたします。

日時

2025年6月10日(火)17時30分から18時25分

場所

東京都千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ4階シャトレ

参加者(オンライン会議システムによる双方向参加を含む。)

出席表決権総数:119(表決権総数124の過半数で成立)
        内訳 実出席表決権数:48(うちオンラインによる出席30)
           委任状出席:4
           書面表決者:67

議題

審議事項

  1. 第1号議案  2024年度事業報告承認の件
  2. 第2号議案  2024年度決算承認の件
  3. 第3号議案  役員補充選任の件

報告事項

  1. 2025年度事業計画
  2. 2025度予算

Ⅵ.議事の経過の概要及び議決の結果

 吉備幸絵理事が17時30分現在の出席状況について定款第31条の定める成立要件を充足したこと、また、オンラインでの参加者についてはいずれも会場及び参加者相互での即時通信が可能であることを確認した旨報告し、総会の開会を宣言した。

 そして、定款第30条に基づき菅波(二村)睦子理事長が議長に就任する旨発議し、全員異議なく承認した。

 続いて議事に先立ち後藤巻則会長が挨拶を行い、その後、議長より定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の磯辺浩一氏の選任を提案し、異議なく承認された。書記には事務局の森口直樹職員を指名し、議事に入った。

 議事は、板谷伸彦専務理事より第1号議案と第2号議案を提案後、大木茂敬監事より監事監査報告を受け、その後第3号議案を板谷伸彦専務理事が提案した。一括して質疑を行った後、議案ごとに採決を行った。その後、報告事項を一括報告し質疑を行った。

Ⅰ.審議事項の提案と質疑

 議案書に基づき、板谷伸彦専務理事より概要以下の提案が行われた。

1.第1号議案 2024年度事業報告承認の件

 会長挨拶で述べられた通り、昨年は創立20周年の節目の年で、6月と9月の記念シンポジウムをはじめとして、これまでの歩みをふりかえり、これからのビジョンを考える良い機会となった。また、事業面では差止請求、被害回復で様々な成果があった。運営面での特徴について3点を補足的に述べる。

 一点目は情報漏洩事故の発生についてである。団体内部限りとして提供を受けた資料を証拠資料として裁判所に提出してしまった。当機構内部で問題に気づき、直ちに消費者庁など関係機関に報告して対応をすすめた。個人情報そのものの漏洩では無かったが、今後同様の事故を発生させないよう管理体制の補強策を講じた。

 二点目は業務システムの運用開始である。業務事故を防止しつつ社会での役割を拡大していくため、システム整備は必須であり、今後も継続して改善を進めていく。

 三点目はクラウドファンディングの試みである。寄付金額自体は成果と言える程では無かったが、課題が認識されたことは収穫であった。

2.第2号議案 2024年度決算承認の件

 会計期間は2024年4月1日から2025年3月31日、資金の範囲は現金・預金、商品券、未収金、未払い金、預り金等を含めたものである。

 多くの裁判を並行して進めていることに加え、システム整備に係る減価償却を行っていくため、当面は赤字決算になり易い。予算段階では700万円程度の赤字を想定していたが、予定外の受託事業収入を得たり、いくつかの裁判で提訴時期が先送りされたりしたことにより、今期は約380万円の赤字に着地した。

3.監査報告

 大木茂敬監事より、理事の業務執行は適正に行われ、日常の会計処理も適正で、決算諸表は正確に作成されている旨の監査報告が行われた。

4.第3号議案 役員補充選任の件

 佐々木幸孝理事、近藤麻子理事および五味孝幸監事より役員辞任の申し出があったことから、この辞任に伴う理事・監事枠に下記のとおり補充選任することを提案した。任期は来年の総会までとなる。

<理事候補者(敬称略)>
氏名 所属等
本間 紀子 弁護士
多村 孝子 生活協同組合コープこうべ 常務理事
<監事候補者(敬称略)>
氏名 所属等
樽井 美樹子 東京都生活協同組合連合会 事務局長

議案の質疑

 提案された議案に対し次の質問があり、板谷伸彦専務理事より回答した。

[質問1]
第1号議案関連
①情報漏洩事故の原因をどのように分析し、対策を講じているのか。
②クラウドファンディングで十分な結果が得られなかった原因は何か。
〔回答1〕
①「意識」と「仕組み」の両面で原因を分析し対策を講じた。前者についてはこの機会に情報を取扱う者への注意喚起を進めたことなど。後者については当機構の業務規定を改定し、それを実行できるよう業務システムの改修を行ったことなど。
②民対民の裁判を取扱うプラットフォームは見当たらず、今回は公共訴訟を専門に扱うサイトを使って実施した。団体の知名度不足に加えて、巨大な権力と闘う弱い個人を支援するサイトであり、団体の裁判を支援する動機づけが足りなかったと思う。
[質問2]
第2号議案関連
①キントーンの利用で資産に計上する必要があるのか。
②費用に占める割合が多い委託費(事業)の内容は何か、また、そこをコントロールしていく可能性はあるか。
〔回答2〕
①単にクラウドサービスを契約しただけではなく、そのクラウド上で動く業務システムを開発したため、その初期開発費用を無形固定資産として計上している。
②委託費(事業)の大部分は弁護士に裁判を委託する費用で、その他、裁判以前の事案の検討に係る専門家の費用もある。団体訴権を使った活動の根幹にあたるもので、活動規模や裁判の進行に大きく影響を受ける。

議案の採決

 議長より、表決権総数124個中、実出席48個(うちオンラインによる参加30個)、書面議決67個、委任状4個の合計119個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが報告され、議場閉鎖を行い直ちに採決に入った。

 採決方法は、議案ごとに反対・保留・賛成の順に挙手により行うこととした。オンライン参加者の意思表示は、カメラをオンにして画面上の挙手により行うこととした。  なお、採決結果は次のとおりとなった。

 第1号議案から第3号議案は、実出席者(オンライン参加含む)の反対・保留はなく出席者の挙手賛成多数、書面表決67個のうち賛成が67個。これら合わせて賛成が出席した表決権数の過半数を超えており、定款第32条第3項に基づき可決・承認された。

 なお、選任された役員のうち1名(本間紀子)は会場にて実出席しており、その場で就任を承諾した。

 また、選任された役員2名(多村孝子、樽井美樹子)については、本議案の可決・承認を条件として役員就任を承諾する旨の書面が提出されている。

Ⅱ.報告事項の報告と質疑

 板谷伸彦専務理事より、資料に基づき、下記事項について報告が行われた。報告及び質疑は以下の通り。

報告

1.2025年度事業計画(2025年5月15日第9回理事会議決)

 次の課題に取り組んでいく。

課題1
消費者団体訴訟制度を機能させる連携づくり
課題2
活動参加の魅力を高める事案検討部門の再編成
課題3
団体間連携を促進する業務システムのバージョンアップ
課題4
情報受付強化と業務のシステム化
課題5
差止請求関係業務、被害回復関係業務の推進、その他
2.2025年度予算(2025年5月15日第9回理事会議決)

経常収益 21,150千円を計画。

経常支出 23,176千円を計画。

経常増減は2,025千円の減(赤字)を見込んでいる。

報告への質疑

[質問1]
①2025年度も赤字予算だが、見通しをどのように考えているのか。
〔回答1〕
①消費者庁の委託事業をいくつか受託できることを見込んでおり、赤字幅は今年度よりも縮小できると考えている。正味財産は一定残っており、当面は積極的な構えで事業を継続して問題ないと考えている。
[質問2]
①各種助成金などの活用を検討してはどうか。
②団体の知名度向上に向けた取り組みが必要ではないか。
〔回答2〕
①クラウドファンディングに限らず資金集めの試みは今後も継続する。
②言うまでもなく知名度が不足している。消費者庁でもココリスというキャラクターを使って知名度アップに取組んでいるので協力しながら進めていく。
[質問3]
①事案検討部門の再編成とあるが、どのような目的で行うのか。
②社会的関心の高いテーマに団体訴訟制度を活用していくと良いのではないか。
〔回答3〕
①若い弁護士の加入が増えてきており、その方々が活躍する場面を増やしていくため、事案検討部門の再編を行い、ベテラン弁護士を含めて役割分担を見直す。
②一つひとつの事業者に対応するだけでなく、他機関と連携し、業界を丸ごと健全化するような動きができると良いと考えているが、なかなか実践事例を生み出すには至らない。しかし、例えば昨年、自由診療分野の医療広告に対して起こした裁判は、当該事業者の問題と合わせて、本来あるべき行政規制を促す問題意識で行ったものである。

Ⅲ.議長の退任及び閉会

 以上で全議事を終了し、議長の退任の後、村理事が挨拶を行い、18時25分、吉備幸絵理事が閉会を宣し、本総会を終了した。