消費者機構日本とは
第20回通常総会報告
消費者機構日本では、第20回通常総会を2024年6月11日(火)に開催しました。
今年もオンライン会議システムによる双方向参加にて執り行いました。以下、第20回通常総会の概要をご報告いたします。
日時
2024年6月11日(火)17時30分~18時20分
場所
東京都千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ4階シャトレ
参加者(オンライン会議システムによる双方向参加を含む。)
出席表決権総数:109(表決権総数125の過半数で成立)
内訳 実出席評決権数:34(うちオンラインによる出席11)
委任状出席:6
書面表決者:69
議題
審議事項
- 第1号議案 2023年度事業報告承認の件
- 第2号議案 2023年度決算承認の件
- 第3号議案 役員選任の件
報告事項
- 2024年度事業計画
- 2024年度予算
議事の経過の概要及び議決の結果
吉備幸絵理事が17時30分現在の出席状況について定款第31条の定める成立要件を充足したこと、また、オンラインでの参加者についてはいずれも会場及び参加者相互での即時通信が可能であることを確認した旨報告し、総会の開会を宣言した。
そして、定款第30条に基づき菅波(二村)睦子理事長が議長に就任する旨発議し、全員異議なく承認した。
続いて議事に先立ち中山弘子会長が挨拶を行い、その後、議長より定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の磯辺浩一氏の選任を提案し、異議なく承認された。書記には事務局の森口直樹職員を指名し、議事に入った。
議事は、板谷伸彦専務理事より第1号議案と第2号議案を提案後、五味孝幸監事より監事監査報告を受け、その後第3号議案を板谷伸彦専務理事が提案した。一括して質疑を行った後、議案ごとに採決を行った。その後、報告事項を一括報告し質疑を行った。
Ⅰ.審議事項の提案と質疑
議案書に基づき、板谷伸彦専務理事より概要以下の提案が行われた。
1.第1号議案 2023年度事業報告承認の件
会長挨拶で述べられたようにワンメッセージ訴訟やエーチーム訴訟などで大きな成果を得ることができた。その他2023年度活動の特徴としては、消費者庁の補助金との関係で多数の臨時的な検討チームを置き、事案検討を進めたことが挙げられる。会議の回数は前年の5割増しとなり、検討委員にはご奮闘をいただいた。補助金の得られる期間は既に年度末で終了したが、そこで着手した事案への本格的な対応はこれから始まるところであり、今年度は新規提訴がかなり増えると見込まれる。
2.第2号議案 2023年度決算承認の件
会計期間は2023年4月1日から2024年3月31日、資金の範囲は現金・預金、商品券、未収金、未払い金、預り金等を含めたものである。
前期2022年度決算では順天堂訴訟の収入により正味財産が大幅に増加したが、訴訟費用の大部分は2023年度の支払いとなったため、当期は逆に大幅な減少となった。
他方で、消費者庁補助金の額が確定し、2023年度決算に未収金収入として計上したため赤字幅が縮小し400万円程度の赤字に収まった。補助金のうちシステム整備に使用した約8百万円については資産計上しているため、今後5年間かけて減価償却費として少しずつ費用計上していくことになる。この結果、今期決算では正味財産6,400万円程度となった。
監査報告
五味孝幸監事より、理事の業務執行は適正に行われ、日常の会計処理も適正で、決算諸表は正確に作成されている旨の監査報告が行われた。
3.第3号議案 役員選任の件
議案書に基づき、板谷伸彦専務理事より以下の名簿のとおり理事24名、監事2名の選任が提案された。
氏名 | 役職・経歴 | |
---|---|---|
板谷 伸彦 | 消費者機構日本 事務局 | |
岩田 修 | 弁護士 | |
大谷 聖子 | 消費生活相談員 | |
大冨 直輝 | 司法書士 | |
河上 正二 | 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 代表理事 会長 | 新任 |
吉備 幸絵 | 消費者機構日本 事務局 | |
郷野 智砂子 | 全国消費者団体連絡会 代表理事(事務局長) | |
小浦 道子 | 東京消費者団体連絡センター 事務局長 | |
後藤 巻則 | 弁護士、早稲田大学名誉教授 | 新任 |
近藤 麻子 | 日本生活協同組合連合会 組織推進本部長 | 新任 |
佐々木 幸孝 | 弁護士 | |
菅波(二村) 睦子 | 日本生活協同組合連合会 常務理事 | |
鈴木 敦士 | 弁護士 | |
瀬戸 和宏 | 弁護士 | |
谷合 周三 | 弁護士 | 新任 |
永沢 裕美子 | 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 理事 | |
長田 三紀 | 情報通信消費者ネットワーク | |
中野 和子 | 弁護士 | |
橋本 康正 | 日本消費者協会 専務理事 | |
平野 裕之 | 日本大学法科大学院教授 | |
宮城 朗 | 弁護士 | |
村 千鶴子 | 日本消費者協会 理事長 | |
森 哲也 | 弁護士 | |
唯根 妙子 | 消費生活専門相談員 |
氏名 | 役職・経歴 | |
---|---|---|
大木 茂敬 | 司法書士 | |
五味 孝幸 | 東京都生活協同組合連合会 事務局長 |
議案の質疑
提案された議案に対し次の質問があり、板谷伸彦専務理事より回答した。
- [質問]
- 団体正会員と個人正会員の拡大について(第1号議案関連)
①今年度も個人会員と団体会員が増えていない。会員拡大にどのように取組んだか。
②団体正会員AとBの違いについて - 〔回答〕
- ①会員拡大は慎重に進める必要がある。定款では会員を「この法人の目的に賛同し、この法人の活動を推進するために入会した」個人・団体と定め、入会希望があった場合には理事会で審査をして入会を承認する手続きをとっている。消費者団体訴訟制度を担うために設立された団体として、それに相応しい公正さを保つ必要があり、通常のNPO団体とは異なる特徴だと思う。
②団体正会員Aは設立時の3団体で、団体正会員Bは設立後にこの法人の目的に賛同し、この法人の活動を推進するために入会した非営利団体である。
議案の採決
議長より、表決権総数123個中、実出席34個(うちオンラインによる参加11個)、書面議決69個、委任状6個の合計109個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが報告され、議場閉鎖を行い直ちに採決に入った。
第1号議案から第3号議案は、実出席者(オンライン参加含む)の34個のうち賛成が34個、書面表決69個のうち賛成が69個。これら合わせて賛成が出席した表決権数の過半数を超えており、定款第32条第3項に基づき可決・承認された。
なお第3号議案で選任された役員のうち16名(板谷 伸彦、大谷 聖子、吉備 幸絵、郷野 智砂子、小浦 道子、後藤 巻則、近藤 麻子、佐々木 幸孝、菅波睦子、鈴木 敦士、永沢 裕美子、長田 三紀、中野 和子、平野 裕之、唯根妙子、五味 孝幸)は会場にて実出席しており、その場で就任を承諾した。
また、選任された役員のうち8名(岩田 修、大冨 直輝、河上 正二、瀬戸 和宏、橋本 康正、宮城 朗、村 千鶴子、大木 茂敬)についてはオンラインにて実出席しており、即時にオンラインを通じ就任を承諾した。
その余の選任された役員2名(谷合 周三、森 哲也)については、本議案の可決・承認を条件として役員就任を承諾する旨の書面が提出されている。
Ⅱ.報告事項の報告と質疑
板谷伸彦理事より、資料に基づき、下記事項について報告が行われた。報告及び質疑は以下の通り。
1.2024年度事業計画(2024年5月16日第9回理事会議決)
次の課題に取り組んでいく。
- 課題1
- 消費者団体訴訟制度に関する議論の喚起
- 課題2
- 専門NPOや業界団体、他の適格消費者団体との連携強化
- 課題3
- 消費者被害の現場目線での検討事案選定
- 課題4
- 情報受付強化と業務のシステム化
- 課題5
- 組織内での情報共有
- 課題6
- 差止請求関係業務、被害回復関係業務の推進
2.2024年度予算(2024年5月16日第9回理事会議決)
経常収益 15,395千円を計画。
経常支出 22,309千円を計画。
経常増減は6,913千円の減(赤字)を見込んでいる。
報告への質疑
- [質問]
- 適格消費者団体の知名度向上への取り組みについて(2024年度事業計画)
消費問題への関心は高く、消費者トラブルで困っている人も沢山いるが、適格消費者団体のことを知っているのは残念ながら専門家に限られている。適格消費者団体の知名度を上げる活動を進めていただきたい。例えば、一般向けのセミナーの開催や東京周辺の大学にパンフレットを送付するなどのPR活動をしてはどうか。 - 〔回答〕
- 既存の団体紹介リーフレットを活用したり、2023年度に改修したホームページを通じた情報提供を促進するような取り組みは考えられると思う。
- [質問]
- クラウドファンディングの活用について(2024年度事業計画)
重点課題を推進可能な組織基盤を獲得するためクラウドファンディングは重要なツールである。数年前に検討したものの、消費者機構日本の目的に合致するプラットフォームが見つからないということで実行できない状況が続いていた。今回、重点課題1で活用を検討するとあるが、具体的にどのように実現するのか。 - 〔回答〕
- 民事訴訟を取扱うプラットフォームが見当たらなかったため断念していたが、最近になって「公共訴訟」を専門に取り扱うプラットフォームが出てきた。消費者機構日本で山梨県に対する訴訟を行っているところ、活用を試みてみたい。
Ⅲ.議長の退任及び閉会
以上で全議事を終了し、議長の退任の後、村理事が挨拶を行い、18時20分、吉備幸絵理事が閉会を宣し、本総会を終了した。