消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

消費者機構日本とは

第16回通常総会報告

 第16回通常総会は、新型コロナウィルス感染防止の観点より書面議決または委任状上での出席をお願いし、理事等、最低限の人数に絞って開催いたしました。以下、第16回通常総会についてご報告いたします。

日時

2020年6月4日(木) 15時00分から15時30分

場所

東京都千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ5階第1会議室
※ Zoom(ウェブ会議ツール)による双方向参加を含む。

参加者

出席表決権総数103(実出席表決権数19、《Zoom参加による表決権数12を含む》、委任状表決権数1、書面表決権数83)。表決権総数128の過半数の出席で成立

議題

審議事項

報告事項

  1. 2019年度事業計画
  2. 2019年度予算
  3. 特定資産の取り崩しの件
  4. 正会員からの質問と当機構の回答

議事の経過の概要及び議決の結果

 冒頭に藤井喜継理事長が15時00分現在の出席状況(表決権総数128個のうち出席表決権総数が103個)を報告、定款第31条の要件を充足したため総会の成立と開会を宣言しました。そして、定款第30条に基づき藤井喜継理事長が議長に就任する旨を発議し、全員異議なく承認しました。

 続いて議事に先立ち中山弘子会長が挨拶を行い、その後議長より定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の並木静香氏の選任を提案し、異議なく承認され議事に入りました。

議案の提案

(1)第1号議案 2019年度事業報告承認の件

 2019年度は消費者裁判手続特例法第1号の訴訟となる東京医科大学を被告とする共通義務確認訴訟の第一審において、ほぼ請求が認容される画期的な判決を得ることができた。現在、簡易確定手続の準備に入っている。また、共通義務確認訴訟をあらたに2件提起した。裁判外の取り組みも推進し、1件で注文時申込金の返還を実現できた。

 差止請求訴訟1件を係争中であり、新たな裁判外の申入れは19件となった。今年度是正に至った事案は10件で、設立以来の累計として118件で是正をはかることができた。

 広報活動、消費者団体との連携として総会記念企画シンポジウム「集団的消費者被害回復の取り組み状況と課題」、訴訟についての記者会見、twitterアカウントの設置、東京都消費者月間への実行委員団体としての参加、「消費者スマイル基金」の助成事業の具体化の実務協力といった取り組みを行った。

 組織・財政の基盤の安定強化に取り組み、個人正会員数について120名の水準を維持してきた。寄付収入確保の施策として訴訟事案ごとのクラウドファンディングに関する調査を行った。

 消費者裁判手続特例法の見直しに向けた意見提出、株式会社かんぽ生命保険による不適切な保険販売に対する抗議と意見表明及び消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会報告書に関する意見提出を行った。

(2)第2号議案 2019年度決算承認の件

 2019年度は経常収益が14,926,813円(前年比65.2%、計画比82.0%)、経常費用が15,056,453円(前年比77.1%、計画比65.2%)となり、129,640円の赤字となった。経常費用が少なかったのは新たな受託事業や新たな差止請求訴訟がなく費用が発生しなかったこと、今年度は簡易確定手続も開始されなかったことが大きな要因である。

 当期経常増減額は198,268円の減となった。

 共通義務確認訴訟の新たな提起(2件)に伴って東京都の費用貸付制度から合計1,260,000円の新規借入を行った。現時点における残高残額は期首残高と合わせて1,710,000円となる。

 流動資産は33,089,460円、正味財産は30,719,922円となった。

(3)監査報告

 監事より、理事の業務執行は適正に行われ日常の会計処理も適正で決算諸表は正確に作成されている旨の監査報告が行われた。あわせて監査意見として以下の指摘があった。

  1. ①特定適格消費者団体として被害回復関係業務を着実に実施できるよう、さらに財政強化と体制整備を進められたい。
  2. ②引き続き、行政との連携強化を通じて消費者団体訴訟制度についての社会的理解、適格消費者団体への信頼を広げるよう努められたい。

(4)第3号議案 役員選任の件

 理事19名と監事2名は第16回通常総会終結時をもって全員任期満了となり、理事20名(18名再任、2名新任)と監事2名の選任が提案された。

議案の質疑

 第1号議案については、正会員より書面で質問が出されていることが紹介され、その質問に対する回答が下記概要にて行われた。

<質問>
クラウドファンディングについて、2019年度事業報告では「取組みを見合わせた」とあるが、クラウドファンディングへの事案掲載は資金面のみならず、消費者機構日本への社会的注目を集め問題意識を高める効果も期待できる。消費者とのチャネルを充実させるためにもクラウドファンディングの活用を進めてほしい。
〔回答〕
複数のクラウドファンディングについて検討したが、サイトへの掲載事案が少ない、あるいは特定の事業者を被告とする訴訟への取り組みについては消極的である、といった状況であったため、取組みを見合わせた。
質問者が調査していただいたサイトでは行政訴訟事案も取り扱われており、特定の事業者を被告とする訴訟でも公共性の高さによっては取り上げてもらえるかもしれないので、さらに検討する。

 第2号議案及び第3号議案については、いずれも質疑はありませんでした。

議案の採決

 議長より、表決権総数128個中、出席19個、書面議決83個、委任状1個の合計103個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが改めて報告され、議場閉鎖を行って直ちに採決に入りいずれの議案も賛成多数で可決・承認されました。

報告事項の報告と質疑

(1)2019年度事業計画

課題1
集団的消費者契約被害回復のための被害回復関係業務を推進する。
課題2
消費者被害の未然防止・拡大防止のため差止請求関係業務を推進する。
課題3
財政基盤を強化する。
課題4
情報提供受付と対応の円滑化をすすめる。
課題5
広報活動及び他団体との連携をすすめる。
課題6
消費者裁判手続特例法の改正課題、消費者契約法、預託法及び特定商取引法の改正論議などについて政策提言を行う。

(2)2019年度予算

 経常収益は24,109,000円で、前年度実績比161.5%という増加率になっている。東京医大訴訟の簡易確定手続により費用・報酬が見込まれるため。

 経常費用は23,333,000円で、前年度実績比155%という増加率になっている。東京医大訴訟の簡易確定手続のため事業費等が見込まれること、新たな共通義務確認訴訟提起、ウェブサイトレスポンシブル化に伴う管理料アップなどを見込んだものである。

(3)特定資産の取り崩しの件

 2018年度において差止請求関係業務に充てる特定資産を100万円計上していたところ、2019年度の差止請求関係業務に係る費用支出が想定を超える額となったため、特定資産を取り崩して当該業務に係る費用に充てた。

(4)正会員からの質問と当機構の回答

 個人正会員から総会議案について次のような質問が書面で出されていることの紹介あり、回答が行われた。

[質問①]
2020年度事業計画の経常収益に被害回復訴訟の費用・報酬が計上されているが、これは敗訴など当該収益が得られなかった場合の対策はあるのか。
〔回答①〕
2020年度に計上したのは共通義務確認訴訟ですでに勝訴判決が確定している事案のみである。簡易確定手続に参加する対象消費者の人数も安全を図ってシミュレートしており、リスクはないと考える。
[質問②]
会議費用について、特別な委託費を除けば変動費の最上位にあるものであり、オンライン会議などの活用で費用の削減、業務の効率化を図れないか。
〔回答②〕
オンライン会議はすでに実施している。会議参加者の交通費・謝金は決して高額ではなく、引き下げることは考えていない。会議室料の削減や事務局の時短等、経費削減・省力化には留意する。

③ その他、定款の附則の規定における年次表記について和暦と西洋歴が混在しているとの指摘があった。次回の定款改定時にあわせて整えるようにする。

報告事項の質疑

 報告事項のいずれについても質疑はありませんでした。

 以上のとおりすべての議題は承認され、その後、本総会をもって退任された青山副理事長よりご挨拶があり、閉会しました。

※ 総会終了後、第1回理事会が開催され、会長・理事長等の役職者及び代表理事の互選が行われ、下記名簿のとおり役員体制が確定いたしました。

<役員名簿(敬称略、役職順、同一役職においては50音順)>
役職 名前 所属・経歴
会長 中山 弘子 特別区人事委員会委員長 前新宿区長
代表理事
理事長
藤井 喜継 日本生活協同組合連合会 専務理事
代表理事
副理事長
佐々木 幸孝 弁護士
副理事長 永沢 裕美子(新任) (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 代表理事副会長
副理事長 松岡(長見)萬里野 (一財)日本消費者協会 理事長
常任理事 中野 和子 弁護士
常任理事 福長 恵子 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会常任顧問、消費者相談室副室長
常任理事 唯根 妙子 消費生活専門相談員
専務理事 磯辺 浩一 事務局
理事 岩田 修 弁護士
理事 浦郷 由季 (一社)全国消費者団体連絡会 事務局長
理事 大谷 聖子 消費生活相談員(港区)
理事 大冨 直輝 司法書士
理事 小浦 道子 東京消費者団体連絡センター 事務局長
理事 後藤 巻則 早稲田大学大学院法務研究科教授
理事 菅波(二村)睦子 日本生活協同組合連合会 執行役員 組織推進本部長
理事 瀬戸 和宏 弁護士
理事 長田 三紀 情報通信消費者ネットワーク
理事 橋本 康正(新任) (一財)日本消費者協会 専務理事
理事 宮城 朗 弁護士
監事 稲村 厚 司法書士
監事 上山 精一(新任) 千葉県生活協同組合連合会 専務理事