消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

消費者機構日本とは

第10回通常総会報告

 消費者機構日本は、第10回通常総会を2014年6月14日に開催いたしました。

 総会の開催に先立ち、昨年11月に当機構の初代会長 根來泰周様がご逝去されたことをご報告し、当機構の設立以来5年間会長としてご指導いただいたことに感謝申し上げるとともに、ご冥福をお祈りし、黙祷をささげました。

 その後、総会を開会しました。第10回通常総会では、2013年度の事業報告・決算と、役員全員の再任が承認されました。そして、2014年度の事業計画と予算の報告を行いました。第10回通常総会の開催概要は以下のとおりです。

日時

2014年6月14日(土) 13時00分から13時52分

場所

東京都千代田区麹町5-6 弘済会館4階「蘭」

参加者

出席表決権総数109(実出席表決権数35、委任状表決権数4、書面表決権数70)
※表決権総数132の過半数を大幅に超え、総会は成立

議題

≪審議事項≫

≪報告事項≫

議事の経過の概要及び議決の結果

 冒頭に狩野拓夫副理事長が13時00分現在の出席状況(表決権総数132個のうち出席表決権総数が101個)を報告、定款第31条の要件を充足したため総会の成立と開会を宣言しました。そして、定款第30条に基づく議長発議を行い、芳賀唯史理事長が議長に就任しました。

 続いて、青山佾会長より下記概要の挨拶の後、議長より定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の小田川和恵氏を提案し、異議なく承認され、議事に入りました。

青山会長のあいさつ
青山会長のあいさつ

 10回目の通常総会を迎えることができた。消費者契約法は、消費者と事業者の情報力、交渉力格差を認めた画期的法律であり、その考え方に基づいて活動を積み重ねてきた。その結果、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度が成立した。みなさんの活動の成果である。東京都庁では昭和49年、消費者被害救済支援制度を都の消費生活対策審議会が答申した。それから40年で、国の制度となってきた。制度施行まで3年かかる。使い勝手の良い制度にしていく必要がある。都の消対審でも適格消費者団体支援が諮問されている。これらの動きをより確かなものにしていくため、会員の皆様のお力添えをお願いしたい。

1.議案の提案

 議案書に基づき、磯辺浩一専務理事より、概要以下の提案が、そして伊野瀬十三監事より監査報告が行われました。

(1) 第1号議案 2013年度事業報告承認の件

 2013年度は、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の制定のための取り組みと同制度の活用準備を課題として掲げていたところ、同制度に関する法案は、昨年末ようやく成立したものであるため、当機構の制度活用準備については、2014年度以降の課題となる。

 差止請求関係業務については、着実な取り組みをすすめた。

 裁判外の取り組みについて、新たな申入れは12件となり、過年度の申入れ事案も含め、改善等された事案を8件公表し、設立以来の累計では、60件が是正された。

 検討体制については、3つのワーキンググループと事案別の検討チームがあり、後者については2013年度末現在5チームが活動中である。

 政策提言活動については、冠婚葬祭互助会の解約手数料のあり方研究会、標準旅行業約款見直し検討会など省庁主催の検討会等へ参加して意見を述べるとともに、パブリックコメントや業界団体へも意見を提出している。

 2013年度は、消費者庁からの受託事業があり、差し止め請求事例集を作成するとともに、全国9か所で啓発セミナーを開催した。

 また、適格消費者団体の認定更新の時期であったため、更新認定を受けた。

(2) 第2号議案 2013年度決算承認の件

 法令改正により、2012年度から収支計算書から活動計算書に変更された。

 正式な決算書は、活動計算書であるが、対照しやすいよう収支計算書も作成している。

 消費者庁から受託した事業については、受託事業収入として計上し、費用については、特定非営利活動の「(9)その他この法人の目的を達成するために必要な事業」に区分した。収益事業として税務申告が必要であるが、「税引前当期正味財産増減額」は、マイナスであるため、法人税の納税義務は発生しない。都民税の均等割(70,000円)については納税が必要となるため、未払い金に計上してある。

 事務人件費・賃借料・印刷費(コピー代)・福利厚生費(年金・健康保険料・通勤交通費代・健康診断料)の事業費と管理費への区分について別冊[資料3]の基準で区分した。また、事業費に区分した上記各費用については、業務量に準じて配賦する趣旨から、それぞれの事業ごとの主要な会議の開催時間に応じて配賦した。

 議案書のとおり、2013年度末当期経常増減額は3,553,690円の増となった。

(3) 監査報告

 第1号議案、第2号議案提案の後、伊野瀬十三監事より、理事の業務執行は適正に行われ、日常の会計処理も適正で、決算諸表は正確に作成されている旨の監査報告が行われました。そして、監査意見として以下の2点の指摘がありました。

  1. ①行政による差止請求成果活用の委託事業が実施され、2013年度は事業を受託することができた。引き続き、積極的に事業を受託していくことが必要である。
  2. ②集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の担い手となることを目指し、組織・財政基盤の強化策が確立されることを期待する。
(4) 第3号議案 役員選任の件

 理事20名、監事2名は、第10回通常総会終結時をもって、全員任期が満了となることから、理事20名、監事2名の選任(全員再任)が、下記一覧のとおり提案されました。

理事候補者(敬称略・五十音順)
氏名 役職・経歴
青山 佾 明治大学公共政策大学院教授 元東京都副知事
磯辺 浩一 事務局
伊藤 健一 (一財)日本消費者協会 教育啓発部長
岩田 修 弁護士
大冨 直輝 司法書士
大谷 聖子 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 消費者相談室副室長
狩野 拓夫 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 最高顧問
河野 康子 (一社)全国消費者団体連絡会 共同代表・事務局長
後藤 巻則 早稲田大学大学院法務研究科 教授
佐伯 美智子 (一財)日本消費者協会 専務理事
佐々木 幸孝 弁護士
瀬戸 和宏 弁護士
中野 和子 弁護士
長田 三紀 全国地域婦人団体連絡協議会 事務局次長
芳賀 唯史 日本生活協同組合連合会 参与
松岡 萬里野
(長見)
(一財)日本消費者協会 理事長
宮城 朗 弁護士
矢野 洋子 東京消費者団体連絡センター 事務局長
山内 明子 日本生活協同組合連合会 執行役員組織推進本部長
唯根 妙子 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事
監事候補者(敬称略・五十音順)
氏名 役職・経歴
稲村 厚 司法書士
伊野瀬十三 東京都生活協同組合連合会 会長理事

2.議案の質疑

 第1号議案及び第2号議案について、以下の2点について質問が述べられました。

  1. ①消費者庁の受託事業が、どのように財政に貢献したのか。
  2. ②集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の活用に向けて財政的にどうする予定なのか説明を求める。

 これに対し、磯辺専務理事から下記答弁がありました。

  1. ①消費者庁の受託事業については、一般競争入札で落札した経緯もあり、事業収入と事業支出という点からみると、わずかな黒字にすぎない。ただ、受託事業のために新たに人を雇用することなく現体制で対応したので、受託事業に要した事務人件費分は、財政に貢献したといえる。
  2. ②国が直接適格消費者団体へ財政支援をするのは難しいとのことである。地方消費者行政活性化基金については、地方公共団体による基金を活用しての事業を受託するということも考えられる。また新制度では、二段階目の手続きでは対象消費者から費用・報酬等を受けられることになっている。

 上記答弁を受けて、以下の意見が述べられました。

 景表法の不当表示について、課徴金制度を設けると聞いている。この課徴金を適格消費者団体へ交付するような意見を述べてはどうか。

 以上の質疑をふまえ、青山会長から下記答弁が行われました。

 一般補助金をもらうと、それに依存し経常化してしまう危険があり、そうなると補助金の交付元の意向に影響されてしまう危険がある。

 自治体の業務委託を受けることも一つの選択肢である。また、寄付税制も大分充実してきている。これらを活用することも重要である。

 特定の者の影響を受けないよう、なるべく多角的に収入を得ることが重要で、特定の収入に依存しないようにしなければならないと考える。

 第3号議案については質疑がありませんでした。

3.議案の採決

 議長より、13時25分現在、表決権総数132個中、出席35個、書面議決70個、委任状4個の合計109個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが改めて報告され、議場閉鎖を行って直ちに採決に入り、いずれの議案も賛成多数で可決・承認されました。

4.報告事項の報告と質疑

 磯辺浩一専務理事より、2014年5月8日に開催された第9回消費者機構日本理事会で確定した2014年度事業計画及び2014年度予算について報告が行われました。

(1) 2014年度事業計画

 集団的消費者被害回復のための訴訟制度が2013年臨時国会での可決成立したため、同制度施行のための取り組みを多くの消費者団体と連携し、積極的に展開するとともに、同制度の活用準備を開始する。

 また、引き続き差止請求関係の事業を確実にすすめる。

課題1
集団的消費者被害回復に係る訴訟制度を活用するための準備を開始するとともに、特に財政基盤の強化に取り組みます。
課題2
消費者被害未然防止・拡大防止のため差止請求関係業務を推進します。
課題3
政策提言活動をすすめます。
課題4
広報活動や消費者団体との連携を強め、消費者団体訴訟制度、集団的消費者被害回復のための訴訟制度及び消費者機構日本への理解と支持を広げます。
(2) 2014年度予算

 経常収入全体は、会費収入をほぼ昨年度実績並みと固く見込み、消費者庁の受託事業については、競争入札ということから落札を目指すが確実ではないので収支とも計画には計上していない。本年度は当機構設立10周年を迎えるので、10周年記念事業のための予算を組んだことから、例年にない事業費がある。

(3) 報告事項の質疑は特にありませんでした。

議長の退任及び閉会挨拶

 以上で全議事を終了し、議長退任の後、松岡萬里野副理事長からの閉会挨拶をもって、本総会を終了しました。