消費者機構日本とは
第8回通常総会開催報告
消費者機構日本は、第8回通常総会を6月2日に開催いたしました。総会では、2011年度の事業報告・決算ならびに定款の一部変更をご承認いただくとともに、任期満了にともなう役員改選を行いました。
第8回通常総会の開催概要は以下のとおりです。
日時
2012年6月2日(土)13時00分から14時30分
場所
東京都千代田麹町5-1 弘済会館 4階 蘭
参加者(採決時)
- 実出席表決権数
- 52
- 委任状出席
- 6
- 書面表決者
- 66
- 出席表決権総数
- 124
(表決権総数148の過半数を超え、総会は成立しました)
議題
≪審議事項≫
- 第1号議案 2011年度事業報告承認の件
- 第2号議案 2011年度決算承認の件
- 第3号議案 定款の一部変更の件
- 第4号議案 役員選任の件
≪報告事項≫
- 2012年度事業計画
- 2012年度予算
議事次第
総会は、冒頭に狩野拓夫副理事長が12時55分現在の出席状況(表決権総数148個のうち出席表決権総数が104個)を報告、総会の成立と開会を宣言し、定款第30条に基づく議長発議を行い、芳賀唯史理事長が議長に就任しました。
続いて、青山 佾会長が下記概要の挨拶を行い、定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の玉本雅子氏が承認され、議事に入りました。なお、議事は、第1号議案から第4号議案までを一括提案し、議案ごとの質疑⇒議案ごとの採決⇒報告事項についての報告と質疑の順で進行しました。
【青山 佾会長の挨拶要旨】
消費者機構日本は、2011年度、2件の差止請求訴訟に対応し、事業者への改善要請等についても9件の事案公表を行った。ある意味、差止請求に関連する活動は定着してきたと言えるが、とりまく状況や内部の財政基盤等は依然として大きな課題を抱えたままである。制度的には、消費者契約法を実質化するための集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の国会審議が今もって開始されておらず、一方、我々の活動は多くの専門家のボランティア的な奉仕で支えられ、財政基盤も構成団体や個人会員の拠出でようやく支えられている現実がある。我が国でも、寄付税制はようやく国際的スタンダードに近づき、東日本大震災で寄付文化が定着したといわれているが、消費者機構日本のような社会活動にたいする寄付は広がっておらず、この分野の活動にはもっと公的部門からの支援が必要だ。にもかかわらず、逆に公的部門の支援が後退するような動きも見られる。消費者機構日本は、よってたつ消費者契約法等に基づく差止請求活動を地道に展開していく一方で、状況を改善するための市民活動も同時に展開していかなければならない。皆さんには、今までもたいへんなご協力をいただいてきたが、これからも協力し合って状況を改善する取り組みを進めていきたいので、引き続きよろしくお願いしたい。
1.議案の提案
磯辺浩一専務理事より、資料に基づき、以下の提案が行われました。
(1) 第1号議案 2011年度事業報告承認の件
2011年度は、消費者機構日本として第2号の差止請求訴訟を提起するとともに、9件の事案公表を行いました。2011年度に是正され、終了した事案は6件となり、設立以来の累計では、68件の申入れ等を実施し、44件で是正され、被害を未然に防止した金額は年間1億3千万円を超えたと推計されます。
また、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の検討に参加し、政策提言等を行うとともに、制度の早期創設を求める世論形成の取り組みを進め、併せて、制度を活用するための消費者機構日本の業務内容と体制についても、検討を開始しました。
~この後、2011年度の課題ごとの進捗状況について報告をしましたが、詳細は割愛します~
(2) 第2号議案 2011年度決算承認の件
経常収入全体は、前年比105%(約820千円増)、計画比98%(約274千円減)の執行となりました。その内、会費収入は、協力会員増による貢献で前年比101%(計画比101%)と微増で、寄付収入は、前年比298%(約871千円増)と大きく増加しましたが、計画比では約389千円減(計画比77%)に止まりました。寄付収入1,311千円のうち、1,111千円が消費者支援基金からの差止請求訴訟への助成金です。
経常支出全体は、前年比91%(約1,606千円)、計画比90%(約1,818千円)の執行となりました。その内、事業費配賦前の実績で、事業費は前年比103%、計画比83%です。差異要因は、差止請求訴訟の提起を2件予定していましたが、2011年度中に提訴に至った案件が1件であったこと、第5ワーキンググループを新設したこと等にあります。管理費は前年比88%、計画比92%です。事務人件費が前年比88%(約1,063千円減)、計画比95%(約435千円減)と縮減しました。
以上の結果、経常収支差額は、昨年度の赤字から一転し、1,554,860円の黒字となりました。
第1号議案、第2号議案提案の後、稲村 厚監事より、理事の業務執行は適正に行われ、日常の会計処理も適正で、決算諸表は正確に作成されている旨の監査報告が行われました。
(3) 第3号議案 定款の一部変更の件
総会運営を明確化するため、並びに「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律」(以下「改正NPO法」という)の施行に伴う措置として、以下の定款一部変更を実施したい。
- 議長の委任を含めた議決権行使を明確にするため、可否同数の場合の議長のキャスティングボート権を規定している定款第32条第3項後段を削除する。
- 改正NPO法により、所轄庁が内閣府から東京都に変更され、従たる事務所を設置しておく必要がなくなったため、関連規定(定款第2条第2項)を削除する。
- 改正NPO法で、収支計算書が活動計算書に変更されたため、収支計算書に関連する規定(定款第27条第1項4号、定款第36第1項第1号、定款第55条、定款第56条第1項)を適正な表記に変更する。
- 改正NPO法の定款変更時の届出のみで足りる事項の規定変更に伴い、定款第60条を法規定に則して変更する。
- 改正NPO法で、定款変更は所轄庁の認証を得なければ効力を発しないことから、附則に規定する改正定款の施行日を、所轄庁の認証を得た日(空欄)とする。
(4) 第4号議案 役員選任の件
現任理事19名、監事2名の任期満了に伴い、理事数を1名増の20名とし、監事2名を選任いただきたい。退任理事は中村年春副理事長、新任理事は個人正会員の松岡(長見)萬里野さん、宮城 朗さんの2名です。
~新任役員名簿は総会後の第1回理事会で互選された役職名もあわせ、末尾に掲載いたします~
2.議案の質疑
第1号議案・第2号議案については質疑がなく、第3号議案、第4号議案についても質疑はありませんでした。
3.議案の採決
議長より、13時45分現在、表決権総数148個中124個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが改めて報告され、議場閉鎖を行って直ちに採決に入りました。
採決結果は以下のとおりです。
- 第1号議案は、挙手賛成多数、書面表決66個のうち、賛成が66個、あわせて出席総表決権数の過半数を超えており、定款第32条に基づき可決・承認されました。
- 第2号議案は、挙手賛成多数、書面表決66個のうち、賛成が66個、あわせて出席総表決権数の過半数を超えており、定款第32条に基づき可決・承認されました。
- 第3号議案は、挙手賛成多数、書面表決66個のうち、賛成が66個、あわせて出席総表決権数の3分の2を超えており、定款第60条に基づき可決・承認されました。
- 第4号議案は、挙手賛成多数、書面表決66個のうち、賛成が66個、あわせて出席総表決権数の過半数を超えており、定款第32条に基づき可決・承認されました。なお、選任された役員全員が、その場で就任を承諾する旨の意思表示を行いました。
4.報告事項の報告と質疑
磯辺浩一専務理事より、資料に基づき、2012年度事業計画及び2012年度予算について報告が行われました。報告の概要は以下のとおりです。
(1) 2012年度事業計画
2012年度は、2012年臨時国会で可決成立が期待される集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について、同制度実現のための取り組みを消費者団体と連携して積極的にすすめるとともに、同制度の活用準備を本格的にすすめます。また、引き続き差止請求関係業務を確実にすすめます。
- 課題1
- 集団的消費者被害回復に係る訴訟制度を実現し、同制度を活用するための準備を本格的にすすめるとともに、財政基盤の強化をはかります。
- 課題2
- 消費者被害未然防止・拡大防止のため差止請求関係業務を推進します。
- 課題3
- 政策提言活動をすすめます。
- 課題4
- 広報活動や消費者団体との連携を強め、消費者団体訴訟制度と消費者機構日本への理解と支持を広げます。
- 課題5
- その他(定款変更、公開学習会、消費者志向経営セミナー、適格消費者団体連絡協議会)。
(2) 2012年度予算
経常収入全体は、会費収入をほぼ2011年度実績並みと固く見込み、消費者支援基金の助成金を見込まず、2011年度実績比83.5%、16,405千円とします。
経常支出全体は、「差止請求権を行使する事業等」を、新規2件の差止請求訴訟を見込んで2011年度実績比373.7%と大幅に増額し、管理費を削減して2011年度実績比101.3%、16,198千円とします。
この結果、経常収支差額は2011年度実績比13.3%、207千円となります。
2012年度事業計画に関連して、「適格消費者団体が差止請求関連事業を推進する上で、行政機関や独立行政法人が持っている情報に直接アクセスし、自ら情報を分析し問題指摘することが、新しい訴訟制度を活用するためにも求められている。少なくともPIO‐NET情報に直接アクセスできるようにする取組みを強力に推進すべきだ。」「消費生活に関する専門的な知識経験を有する者として現在は3つの資格が施行規則に明記されているが、これについて消費者庁と国民生活センターとの統合問題に関連して、新たな上位の資格を作ろうという議論が進行している。これは消費者機構日本にとっても無関心ではいられない大問題だ。消費者機構日本としても、何らかの発言をしてもらいたい。」との2つの意見・要請が出されました。理事会側からは、これらの意見・要請へのこれまでの取組み状況や考え方などについて補足説明があり、いずれについても「ご指摘を受け止め、今後の進め方等については理事会で改めて検討をしていきたい」との議長まとめがなされました。
5.議長の退任及び閉会挨拶
以上の議事終了後、議長より退任挨拶があり、最後に、阿南 久理事から閉会挨拶がなされ、本総会を終了しました。
(補足)消費者機構日本の新役員体制
消費者機構日本第8回通常総会で選任され、その後に開催された第1回理事会において互選された消費者機構日本の新役員体制は以下の通りです。
役職 | 氏名 | 所属・役職 | 備考 |
---|---|---|---|
会長 | 青山 佾 | 明治大学公共政策大学院教授 元東京都副知事 | |
理事長 | 芳賀 唯史 | 日本生活協同組合連合会 専務理事 | |
副理事長 | 狩野 拓夫 | (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 副会長 | |
副理事長 | 松岡 萬里野 (長見) |
(財)日本消費者協会 会長 | 新任 |
副理事長 | 阿南 久 | 全国消費者団体連絡会 事務局長 | |
副理事長 | 佐々木 幸孝 | 弁護士 | 副理事長に新任 |
常任理事 | 中野 和子 | 弁護士 | |
常任理事 | 唯根 妙子 | (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事 | |
常任理事 | 佐伯 美智子 | (財)日本消費者協会 専務理事 | |
専務理事 | 磯辺 浩一 | 消費者機構日本 事務局 | |
理事 | 伊藤 健一 | (財)日本消費者協会 事務局長 | |
理事 | 岩田 修 | 弁護士 | |
理事 | 大谷 聖子 | (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 消費者相談室 副室長 | |
理事 | 大冨 直輝 | 司法書士 | |
理事 | 後藤 巻則 | 早稲田大学大学院法務研究科 教授 | |
理事 | 瀬戸 和宏 | 弁護士 | |
理事 | 長田 三紀 | 全国地域婦人団体連絡協議会 事務局次長 | |
理事 | 宮城 朗 | 弁護士 | 新任 |
理事 | 矢野 洋子 | 東京消費者団体連絡センター 事務局長 | |
理事 | 山内 明子 | 日本生活協同組合連合会 執行役員組織推進本部長 | |
監事 | 稲村 厚 | 司法書士 | |
監事 | 伊野瀬 十三 | 東京都生活協同組合連合会 会長理事 |