賛助会員の活動紹介

東都生活協同組合の事業と活動のご紹介

 消費者機構日本(COJ)では、賛助会員としてご支援いただいている企業・団体の皆様の社会貢献活動やCSR活動等について、順次ご紹介させていただいております。

 今回は、東都生活協同組合様から事業と活動についてご寄稿いただきました。

東都生活協同組合

基本理念

「産直」「協同」「民主」-いのちとくらしを守るために-

事業概要

名称
東都生活協同組合
設立
1973年6月10日
組合員数
232,268人
出資金
68億9,779万円
事業内容
供給事業(共同購入・店舗)、生活文化事業
総供給高
324億0,851万円
事業所
センター16 店舗1
職員数
正規職員409人
定時職員(アルバイト含む)535人

 東都生協は、“より安全でよりすぐれたものを”という消費者の願いから1973年に設立されました。基本理念「産直・協同・民主-いのちとくらしを守るために-」のもと、消費者と生産者とが直接手をつなぐ産直を基軸に事業と運動を進めています。日本農業と食料自給率向上に貢献する産直・国産商品をはじめ、安全で質の良い商品を安く安定して供給する共同購入事業を柱に、くらしの要求に応えた商品・サービスを提供しています。
 食とくらしが深刻な課題に直面する中、2008年には食の安心の次世代への継承と持続可能な社会の実現に向け「食の未来づくり運動」を提起。①消費者と生産者の信頼と協同による食の安心の確保 ②環境に優しい持続可能な農業の確立 ③大量生産・大量消費・効率優先の社会から消費者本位の社会への転換 -を目指しています。
 そのために、産地・メーカー交流・訪問2万人運動をはじめ、産直・国産商品の利用促進や商品づくりへの組合員参画など、生産者との交流・協同を通じた取り組みを積極的に展開。消費者・組合員が主体的に食とくらしに向き合い、生産・流通・消費のあり方を問い直し、食卓から国内農畜水産業を応援していく行動を進めています。

東都生協の産直は「産地直結」

 1950年代以降、高度経済成長による急速な工業化が進む一方、さまざまな公害問題が発生しました。生産効率が優先され、農薬や化学肥料の多投や食品添加物の多用など、食の安全をめぐる問題も次々に表面化。そうした中、「より安全ですぐれたものをより安く手に入れたい」という子どもの健全な発育を願う母親の願いが、東都生協の産直の原点でした。
 40年前、まだ「産直」という言葉が一般的でなかった頃から産直にこだわり、安全・安心な商品を組合員に供給してきました。できるだけ化学合成農薬や化学肥料に頼らない「土づくり」で栽培された青果物や米をはじめ、精肉、牛乳、卵は、今も全て産地直結で仕入れ、「いつ」「どこで」「だれが」「どのように」育てたかが明らか。調味料や加工品の原材料も国産にこだわるなど、日本の農業を守り、食料自給率向上と環境保全への貢献を見据えた活動を進めています。

 地球温暖化や人口増加などを背景に世界的に食料需給がひっ迫する中、日本の食料自給率は先進国中最低水準にあり、大量の食料とその生産に要する水資源を遠く海外から輸入しているのが現状です。国内の生産現場では、担い手不足、高齢化による離農、耕作放棄地の増加など、生産基盤の崩壊が加速度的に進んでいます。

 食とくらしが厳しい環境に置かれる中、東都生協もまた、活動・事業ともに大きな転換点にあります。引き続き食の安心を確保していくため、「食の未来づくり運動」を通じて産直を強め、国内農業を守り、組合員・役職員が一体となって、組合員のくらしに寄り添い、より一層くらしに貢献できる生協づくりに全力を傾けています。

安全・安心の取り組み

 高度経済成長がもたらした流通の複雑化によって、食の安全性に対する危機感が高まっていた設立当時から40年経った今も、広域流通による大規模な食中毒の発生や、有害物質の混入、相次ぐ食品偽装など、新たな食の危機が多発。組合員の食の安全にかける思いはなおいっそう強くなっています。
 東都生協では食の安全・安心をめぐる問題に対し、産直を通じ生産と消費の距離を縮め産地・メーカーとの信頼関係を築く一方、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故をきっかけに、食の安全性を確認することの重要性を認識し、1987年に商品検査室を設置し、土壌検査を開始しました。翌1988年には、ゲルマニウム半導体検出器を導入し残留放射能検査を開始しました。
 それ以降25年以上にわたり、組合員の「安全で安心な食品を」という願いに応えるため、商品の安全性や品質を科学的にチェックしています。

商品検査

 商品検査室では、食中毒や腐敗を未然に防ぐために一般生菌数や大腸菌などを調べる「微生物検査」や栽培状況・製造環境を確認するために残留農薬や残留放射能を調べる「理化学検査」を実施しています。検査の結果、問題があると判断した場合は、供給のストップや回収、廃棄の対応を行います。誰が何を購入したか分かる東都生協ならではのスピーディな対応と再発防止策で、組合員の安全で安心な食生活を守り続けています。

残留放射能自主検査

 福島第一原子力発電所事故発生直後の2011年3月16日から、関東・東北の農畜水産物を重点に自主検査を行い、その結果を全て公開し、安全・安心を求める組合員の声に応えてきました。自主検査では、検出限界値を1ベクレル/kg程度まで下げ、ゲルマニウム半導体検出器で正確かつ高精度に測定しています。併せて簡易測定器であるNaI検出器を2台導入し、対象品目・検体数を拡大して自主検査を強化しています。

点検・指導の仕組み

 産地や工場の点検・指導や商品仕様書の点検など、商品の生産・製造から消費までの各段階で、独自の「食の安全性を確保するための仕組み」を整えて食の安全を守っています。

商品仕様書点検
原材料や製造法、農薬の使用等東都生協の基準に合っているかを点検

商品検査
微生物検査、理化学検査で品質・衛生を科学的にチェック

安全監視
商品検査やお申し出分析から問題の発見と対策

産地・メーカーの点検・指導
商品検査や安全監視の結果、品質上の問題が予測された場合に実施

行動が変えていく未来

 生産の現場「農」と消費の現場「食」をつなげる産直だからこそ、食の未来に向けて、生産者と消費者が手を携えてできることがあります。組合員は、商品の利用や、産地・メーカー交流訪問への参加、あるいは青果物に添付される「生産者カード」や、組合員の声を伝える「ひとこえ生協」へのメッセージ記入などを通して、生産者を応援してきました。
 組合員の願いに応え、産地・メーカーでは使用農薬や栽培方法、商品の改善に工夫をこらしています。食と農の危機的状況に対し、生産者と消費者が共に手を携えて食の未来を確かなものにしていこうと、産地・メーカーと協同した取り組みも進んでいます。

「魚つきの森」

 「魚つきの森」は、地球環境と生命の源である川と海を守り、次世代に豊かな環境・資源を残していくため、枝幸(北海道)で2007年に始まった「海づくり」の取り組みです。組合員が参加すること・食べることでつながる「海づくり」では、植樹活動など生産者と協同した森づくりや、ほたて稚貝や鮭の稚魚放流などの活動を行っています。また、資源管理型漁業によって生産される水産物の利用普及や産地と消費者の交流を進めています。
 2009年からは三陸・牡鹿半島の表浜(宮城県石巻市)でも、この取り組みが始まっています。

「トマト倶楽部」

 トマトを搾るとジュースとピューレが得られ、ピューレはトマトケチャップの原料となります。しかし、国産のトマトピューレは慢性的な不足傾向にあり、ジュースの生産量・消費量を底上げする必要に迫られていました。
 そこで、東都生協は、ユニオンソース(株)、(株)ナガノトマトと共に、加工用トマト生産者を応援し、消費者には安全で安心な国産トマト製品を供給していくための協議会「トマト倶楽部」を2009年に立ち上げました。
 トマト収穫の最盛期、毎年7月下旬~9月上旬には、組合員がジュース用トマトの朝摘み作業を手伝う援農・交流を実施しています。

被災地支援活動

 近年、地球温暖化に伴う気候変動により、豪雨の増加や台風の激化など自然災害が頻発・激甚化しています。地震災害も国内外で数多く発生しました。東日本大震災は未曽有の被害をもたらし、それに伴う福島第一原子力発電所事故による放射能汚染は、依然としてくらしに広範かつ深刻な影響を及ぼしています。
 東都生協が目指すのは、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会。くらしの安全と安心を守り、広く地域社会に貢献していくことは、生活協同組合としての大切な使命です。大規模災害が発生した際には、他団体と連携し、国内外を問わず緊急募金の実施など被災地の復旧・復興を支援する活動に積極的に取り組んできました。

東日本大震災では組合員と生産者などが協同して対処

 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、発災直後から災害対策本部を立ち上げ、商品調達をはじめ放射能検査の強化など、組合員の食の安全・安心確保や被災地支援の活動に、全力で取り組んできました。 東都生協の数多くの取引産地・メーカーも甚大な被害を受けました。組合員のくらしと、食を支える生産現場を覆った不安。「安全・安心なくらしを取り戻したい」「産直のつながりを通じて、何かできることはないか」―3月17日には第1次支援隊として職員が供給車両で現地入りし、被災地のみやぎ生協・いわて生協と共に活動。その後も組合員からの募金をもとに、被災地への炊き出し・物資提供をはじめ、商品企画を通じた被災産地・メーカー応援、人的支援など、さまざまな形で支援活動を続けています。

東日本大震災支援募金
累計 85,826,425円(2013年10月15日現在)
2011年度 78,059,198円
2012年度 5,943,823円
2013年度 1,823,404円(2013年10月15日現在)

1点1円募金
産地・メーカーの協力により、義援金付供給促進を実施。商品1点につき1円が東北への支援募金となりました。2012年度 957件 2,389,319円

利用で東北応援!
東北の被災産地・メーカー商品の利用を通じて応援になります。