日本共済協会の事業内容と社会的活動のご紹介
消費者機構日本(COJ)では、賛助会員としてご支援いただいている企業・団体の皆様の社会貢献活動やCSR活動等について、順次ご紹介させていただいております。
今回は、一般社団法人日本共済協会様から、協会が行っている事業内容と社会的活動の取り組み状況についてご寄稿いただきました。
1. 日本共済協会の概要
戦後、日本では数多くの共済団体が生まれ、発展してきました。協同組合共済も着実に助け合いの輪を広げ、数多くの組合員の生活を支える存在として、社会的に認知・注目される存在になりました。こうした中で、事業の理念や基盤を共通にする協同組合共済どうしの連携や交流を深めるとともに、共通する課題に対応するための意思結集を行う場が求められるようになりました。
こうした状況を踏まえ、1992年4月、協同組合共済団体間の連携と協調を促進する場として、社団法人日本共済協会が発足しました。
協会の発足以来、共済事業をめぐる環境はめまぐるしく変わってきました。特にここ数年は、各協同組合法が整備されるとともに、保険法やADR促進法が制定されるなど、共済事業に関連する法制度が大きく変わり、また、組合員のくらしに関わる様々な社会問題への対応にあたって、協同組合や共済事業の存在意義や今後のあり方が改めて問われるようになっています。こうした環境変化のなか、協会には従来以上に政策対応機能が求められおり、2011年に「日本共済協会のあり方」が取りまとめらました。日本共済協会は「協同組合共済の連携強化を図っていく組織」として位置付けられ、事業活動の重点を「会員のための共益活動におきつつ、必要に応じて共済事業の社会的理解を促進する公益活動を行う」こととし、2013年4月に公益法人制度改革への対応として一般社団法人へ移行しました。
2013年3月末現在、会員団体は1つの賛助会員を含めて、15団体となっています。
2. 日本共済協会の主な活動
現在、日本共済協会は主に次のような活動を行っています。
- (1) 調査・研究活動
- ①法制度改正への対応など、会員団体共通の課題に対応するための調査・研究活動
- ②研究者を中心とした「共済理論研究会」による共済基礎理論の研究
- ③業界動向の把握と情報交換
- (2) 教育・研修活動
- ①会員団体等の共済団体役職員のスキル向上と情報提供のための教育・研修会の開催
- ②会員団体の研修会等への支援
- (3) 広報・出版活動
- ①月刊誌「共済と保険」誌や統計資料「共済年鑑」等の発行
- ②会員団体共通の課題に関する意見表明
- ③協同組合・共済事業について、広く社会に理解を深めるとともに、さまざまな社会問題を考えていくことを目的とした「日本共済協会セミナー」の開催
- (4) 交流促進活動
- ①会員団体間の協力と連携の促進
- ②共済関連団体等との連携
- (5) 国際活動
- ①国際協同組合保険連合(ICMIF)など海外の共済団体等との交流と連携の促進
- ②海外の保険・共済をとりまく環境変化等についての調査・研究
- ②海外への情報発信
- (6) 相談活動
- ①ADR促進法に基づく法務大臣の認証を受けた「共済相談所」における契約関係者からの相談業務・苦情解決支援業務・紛争解決支援業務
3. 日本共済協会と会員団体の事業や活動
(1) 2011年度の会員団体の事業規模は、次の通りとなっています。
組合員数 | 6,852万人 | 受入共済掛金 | 7兆9,201億円 |
---|---|---|---|
契約件数 | 1億4,403万件 | 支払共済金 | 5兆3,154億円 |
共済金額 | 939兆7,004億円 | 総 資 産 | 52兆3,441億円 |
(2) 東日本大震災と協同組合共済が果たした役割
一昨年3月に発生した東日本大震災は、広範な地域に甚大な被害をもたらしました。協同組合共済を実施する各団体は、迅速で確実な共済金の支払いに向けて、全国の役職員の総力を結集して精力的に損害調査活動等をすすめ、2012年9月末までに各会員団体がお支払いした共済金の合計は、1兆1,191億円に達しました。
共済金 | 見舞金 | |||
---|---|---|---|---|
生命系 | 10,437件 | 645億円 | ||
建物系 | 823,116件 | 1兆537億円 | ||
その他 | 52,410件 | 9億円 | ||
合 計 | 885,963件 | 1兆1,191億円 | 268,342件 | 426億円 |
また、各会員団体は契約者訪問活動をはじめ、救援物資等の提供、ボランティアの派遣、募金活動、被災者専用「心とからだのサポートダイヤル」の設置、商品等の移動販売、被災地の農畜産物の販売支援など被災者支援活動に幅広く取り組んでまいりました。
1兆円を超える共済金は、これまでの長い事業活動と組合員の理解の積み重ねが結実したものであり、被災された方々の生活再建と地域の復興に役立てていただけたと考えています。協同組合共済は、国と損保会社の運営する地震保険制度と並んで、組合員の安心で豊かな暮らしを支える欠かせない存在であることが、改めて確認されました。
(3) 共済相談所の設立と取り組み
2003年7月、司法制度改革や消費者保護の社会的な要請の高まり等を受け、日本共済協会は共済契約者等の苦情・紛争解決支援のため、中立・公正な第三者機関として「共済相談所」を設立しました。
その後、2010年1月にADR促進法に基づく法務大臣の認証を取得しました。
共済相談所の相談・苦情受付状況や紛争案件受付状況は、次の通りです。なお、紛争案件を審査する委員は、弁護士5名、学識者4名、消費者相談員等3名の計12名で構成されています(2013年3月末)。
年 度 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
相談件数 | 453 | 481 | 742 | 613 | 1090 | 1037 | 909 | 998 | 1348 |
苦情件数 | 297 | 457 | 452 | 676 | 1069 | 1042 | 1225 | 1208 | 1438 |
合 計 | 750 | 938 | 1194 | 1289 | 2159 | 2079 | 2134 | 2206 | 2786 |
裁定件数 | 3 | 8 | 6 | 9 | 16 | 27 | 23 | 22 | 18 |
仲裁件数 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
4. おわりに
日本共済協会は、2012年4月に結成20周年を迎えました。そして、2013年4月には一般社団法人という新たな組織としてスタートを切り、会員団体のために事業を行う組織として、円滑な運営・活動を行い、今後の発展の礎を築くための重要な節目の年です。
また、2013年は、国連が定めた「国際協同組合年(IYC)」を継承する「ポストIYC」の年でもあります。2012年の国際協同組合同盟(ICA)臨時総会では、世界の協同組合が今後10年にわたって取り組むべき行動目標の草案が提起されました。国連の掲げたIYCの目標である「協同組合の認知度の向上」、「協同組合の成長の促進」および「適切な協同組合政策の確立」への継続的な取組みの一環として、わが国の協同組合と共済事業の発展に資する活動が求められています。
このような節目を迎え、日本共済協会は、今後さらに会員団体・友誼団体等と連携を深め、協同組合共済の存在意義を社会に訴える活動を一層強化していきたいと考えています。