宮城県生活協同組合連合会の東日本大震災被災者支援の活動紹介
消費者機構日本(COJ)では、賛助会員としてご支援いただいている企業・団体の皆様の社会貢献活動やCSR活動等について、順次ご紹介させていただいております。
今回は、宮城県生活協同組合連合会(以下、「宮城県生協連」という)様から、宮城県内の生活協同組合による東日本大震災の被災者支援の活動について寄稿いただきました。
宮城県生協連とは
宮城県生協連は、県内各地にある地域生協、医療生協、大学生協、農協、共済生協など県民の生活に密着した協同活動をしている16の生協の連合体です。
各生協は「消費生活協同組合法」(1948年制定)の目的にそって、組合員の生活文化の向上を求めて生活者主体の協同ネットワークをつくり、民主主義に基づいた人間性豊かなくらしの創造を地域社会の各界各層の人々とともに取り組んでいます。宮城県生協連に加盟している生協は、それぞれの分野で組合員と役職員が力を合わせ、商品やサービスの供給・利用活動を広げるとともに、環境や福祉の活動をとおして社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
宮城県生協連は、環境NGO「MELON」や宮城県ユニセフ協会、介護ネットみやぎなどの県内の諸団体と力を合わせて、よりよい環境の保全と創造、平和と民主主義、人権が守られ、社会的・経済的公正が貫かれ、豊かな福祉社会の実現のために努力しています。
【設立】 1970年
【宮城県生協連の状況(2011.3.31現在)】
●会員数・・・・・・・・16団体
●会員生協組合員数・・・105万4千人
●会員生協出資金合計・・300.7億円
●会員生協事業高合計・・1,108.6億円(2010年度)
以下に、会員生協の東日本大震災における被災者支援の取り組みのいくつかをご紹介します。
みやぎ生協の東日本大震災への対応と被災者支援・被災地復興の取り組み
1.事業活動に関して
①店舗事業
- 震災当日は、27店舗で商品の供給を行いました。ほとんどの店舗は店頭での販売です。
2日目は44店舗で営業し、それ以降は、施設の安全性を確認した上で順次、店内での販売を拡大。3月11日から、4月6日まで平均39店舗で商品供給を継続しました。
4月1日から37店舗で、ほぼ、通常通りの営業に移行できました。 - 行政からの緊急生活物資支援要請を受け、物資の提供を可能な限り行いました。
- ガソリン供給が逼迫した状況から、職員の一部は、店舗に泊まりこんで就業しました。
②宅配事業(班配・個配)
- 震災当日は、配達を中断。できる範囲で高齢の組合員の安否確認などを行いました。
- 行政との災害時支援協定に基づく災害物資の配送に取組む。自宅が被災した職員も最大限出勤し、避難所への配送、店舗への商品の配送などを行いました。
- 3月14日から宅配事業登録者へのお見舞い活動を開始。最終的に147,552名の組合員を直接訪問し、飲料水や即食品を中心に60万点をお見舞い品としてお届けしました。ご高齢のメンバーは大変な不安を抱えており、支部職員が話し相手になることで地震による不安を和らげることもできたのではないかと思います。
- 灯油は、3月16日より1軒あたり18リットル制限で順次配達を再開。しかし、入荷が途切れ、3月23日から一律10リットルの給油制限を余儀なくされました。
③共済事業
- 共済事業のコールセンターは北海道に設置していたため、震災後も継続的な受付を行いました。
- 全国の生協の応援によって、4月4日から5月19日まで、共済加入者17,990人を直接訪問し、「異常災害見舞金」支給や「共済金支払い手続き」に関する説明を実施しました。
2.行政との災害時支援協定に基づく物資の提供
①みやぎ生協自体も大きな被害を受けた中で、生協にとって、店舗事業や宅配事業の営業継続と並ぶ災害時の大きな使命の一つである行政へ協力しての被災者支援を実施しました。
②大震災が発災した3月11日当日に、亘理町からの要請に基づき、パン2,000個と水2,000本をお届けしたのをはじめに、4月17日までの38日間、行政の要請に応じて物資を提供。物資は、1日も途切れることなく約352万点。最終的には6月20日現在、本部及び店舗から提供した物資は、有償・無償合計で3,970,542点(提供した自治体は宮城県及16市町村)となりました。
③これらの対応ができたのは、日本生協連、各お取引先、全国の生協からの大きな支援があったことによります。
3.みやぎ生協のボランティア活動の取組み
(1) みやぎ生協ボランティアセンター
5月より県内4箇所にボランティアセンターを設置し、被災者に寄り添うボランティア活動がスタートしました。他団体と連携しながら、おゆずり会やふれあい喫茶、子育てひろばなどの様々な活動に取り組んでいます。
◇仙台ボランティアセンター(仙台市・多賀城市・塩竈市・七ヶ浜町)
◇県北ボランティアセンター(気仙沼市・南三陸町)
◇仙南ボランティアセンター(名取市・岩沼市・亘理町・山元町)
◇石巻ボランティアセンター(石巻市・東松島市・女川町)
亘理町でのふれあい喫茶
(2) ボランティアセンターの活動の中心
「コミュニティーづくりや、孤立化防止のための活動」
①ふれあい喫茶
1) 県内の仮設住宅集会所や被災地の生協店舗で開催し、これまで89回、835名のボランティアが活動し、4,707名が参加しています。
2) お茶を飲みながらゆったりする時間を提供し、お話相手をする、手芸で楽しい時間を過ごす、くらしのスキルの学習(家計・消費者被害・冬を暖かく過ごす工夫など)をすることで日常の暮らしを取り戻すお手伝いをしています。
3) 医療関係者と連携し、ふれあい喫茶で健康相談を行っています。健康に関する心配事が相談できると好評です。また、民生委員さんや各地の災害ボランティアセンターと共同で開催している会場もあります。
4) 全国の生協の支援を受けて、ふれあい喫茶を開催しています。
②子育てひろば
1) 仮設住宅の集会所や被災地の生協店舗で、48回326名のボランティアが活動し、2018名の親子が、身体を動かしたりプレイセラピーで心のケアの学習会を行っています。
2) 狭い仮設住宅の中で子どもが自由に遊べないという声に応えて、仮設住宅集会所でミニミニ運動会の開催や、親の子育ての不安に応えるため専門家を他団体と連携し派遣しています。
3) ふれあい喫茶と子育てひろばを同時開催しました。異年齢の交流もあり、「孫と遊んでいるみたい」と喜ばれています。
(3) 物資の提供
全国の生協や「ふうどばんく東北AGAIN」、メンバー(組合員)から寄せられた支援物資は、おゆずり会を16回・150名のボランティアで開催し、提供しました。
石巻での「明日へのコンサート」
(4) イベントの開催
3.11を忘れない、被災された方が元気になるためのきっかけ作りとして、文化イベントを合計9回開催し、2192名が参加しました。
6月11日(石巻)SONGS from ISHINOMAKI~石巻発音楽便
6月28日(石巻)明日へのコンサート
8月27日~29日(名取市・気仙沼市・岩沼市)落語
9月11日(石巻)好田タクト音楽祭
9月11日(亘理)梵天太鼓コンサート
11月11日(仙台)チェンミンコンサート
11月26日(亘理)打打打団太鼓コンサート
4.「食のみやぎ復興ネットワーク」の取り組み
東日本大震災により、多大な被害を受けた宮城県内の農業・漁業関係者や食品関連産業者が、互いに励まし合いながら地域復興を目指すことを目的として、「食のみやぎ復興ネットワーク」が7月2日に結成されました。2011年11月20日現在の参加は156団体です。
数多くのプロジェクトを立ち上げ専門家にもアドバイスをいただきながら、商品づくりや商品利用を広げる取り組みを行います。今後、復興へ向けて経営基盤の安定化を目指す地元メーカーを励まし、地域経済活性化や雇用確保を応援する取り組みにつなげます。また商品づくりと連動した農水産物の安定生産の道を開くなど、県内農水産業を支える生産者の経営強化、地域活性化へつながることも目的としています。
- 仙台白菜プロジェクト
全農宮城県本部とみやぎ生協による東日本震災復興、園芸振興プロジェクトです。
大震災による甚大な被害から一日も早い復興を果すために、沿岸地域の野菜の栽培促進を図ることを目的に、比較的栽培しやすく、8月から作付け可能な「仙台白菜」を作付けし、栽培・販売・消費の一体化をはかるプロジェクトです。
仙台の伝統野菜の復活と、沿岸部の地域の復興に寄与するものです。
また、明成高等学校・宮城農業高等学校も「白菜物語プロジェクト」に参加しています。
生活協同組合あいコープみやぎのとりくみ
~石巻の水産工場に「復興の火」が灯りました~
あいコープみやぎが魚肉練り製品等で長年提携してきた高橋徳治商店は、石巻港から程近い本社工場と第二工場が大津波でほぼ全壊。工場はたくさんのヘドロと瓦礫に覆われ、呆然と立ち尽くすしかない状況でした。
一度は再建を諦めかけたのですが、高橋徳治商店を慕うあいコープ組合員をはじめ全国の生協から、続々と励ましの声、支援物資、義援金が届き、多くのボランティアが駆けつけ、清掃活動が始まりました。あいコープの役職員や組合員も、継続して清掃ボランティアに取り組みました。震災後しばらくはライフラインが復旧せず、水は川から汲み上げ、暗くなる前に終わらせる等なかなか先が見えない中、根気のよい作業を続け、推定50トンのヘドロをすべて人力で掻き出したのです。
津波で被災した高橋徳治商店に駆けつけた
あいコープの職員やボランティアの皆さん
そして10月、あいコープみやぎ他、全国の生協と共に「火入れ式」を執り行い、練り製品の製造を再開。7ヶ月前には誰も想像できなかった奇跡の復活を果たしました。
あいコープみやぎは、今後も生産者と共に「地産地消」を復興し、地域再生に取り組んでいきます。
みやぎ県南医療生活協同組合
~山元町での被災者支援活動をこれからも続けます~
1月から、みやぎ生協仙南ボランティアセンターや地元NPO団体の皆さんと、山元町仮設住宅集会所での支援活動を共同でおこない、医療生協として健康チェックや健康体操などを毎月定例で4回開催しています。
特に毎月第2土曜日には、兵庫県の医療生協からの支援を受け、仮設住宅での支援活動の他に、在宅被災者のみなさんへの支援として、支援物資配布や茶話会、健康チェック、脳いきいき教室など被災されたみなさんと話し合いをしながら活動を継続しています。
2月11日の茶話会の様子
2月11日(土)には、震災直後、泥かきなどの支援に入った方の家(今はすっかりきれいにりました)をお借りして、近所のみなさんと茶話会を開催しました。後期高齢者医療保険料の値上げ問題、確定申告、消費税についての意見や、今後の地域づくりへの要望などがたくさん出されました。
今後は、税金に詳しい専門家の参加を要請したり、医療生協としてできる健康づくり、地域づくりを進めるために、これからも全国の医療生協の仲間の力を借りながら、被災者の皆さんの生活再建に少しでも応えていけるようにしていきたいと思います。
大学生活協同組合東北事業連合
~震災復興テーマ「未来の大学生を応援したい」~
学習支援ボランティアの様子
全国大学生協連では、震災直後の4月から七ヶ浜ボランティアセンターに、学生ボランティアを派遣してきました。2012年2月まで19回にわたり派遣をすすめ、全国の大学から、のべ700人の学生が参加しています。
当初は瓦礫撤去作業が主な内容でしたが、現在は小中学生の学習支援ボランティアを中心に行っています。
学習支援の傍ら、被災した小中学生から当時の状況を伺うことがあります。小中学生にとっては、家族や近所の方には話せない被災した心境を、他県からの参加している大学生に話すことで、心のケアにもつながっているようです。
今後、大学生協東北事業連合では、「未来の大学生を応援する」という視点を震災復興のテーマとし、学生ボランティア活動支援や小中高校生とふれあうとりくみを進めていく予定です。
宮城労働者共済生活協同組合
~「緑の基金」東日本大震災復興事業に1100万円贈呈~
全労済宮城県本部(宮城労働者共済生協)では、被災された組合員の1日も早い生活再建を支援するべく現場調査および給付処理を最優先に対応を進めてきています。
1月31日現在、受付件数40,660件、給付金額は約424億円という状況です。引き続き1日も早い共済金の支払を目指し、調査要員体制を構築しながらの対応を進めていきます。
梶谷辰哉国土緑化推進機構専務理事(左)
田原憲次郎全労済理事長(右)
また全労済としては、「社会貢献付エコ住宅専用火災共済」の2011年5月末の契約実績にもとづき、「公益社団法人 国土緑化推進機構」の実施する「緑の基金」使途限定募金~東日本大震災復興事業へ寄与することを決定し、2011年12月9日(金)に全労済会館において、1,100万円を贈呈いたしました。
この「緑の募金」では、大きな被害を受けている被災地の復旧・復興に向けて、地域の防災林の森林整備や学校周辺の緑化等の被災地域復興事業が実施される予定です。
▲国土緑化推進機構の活動風景
【公益社団法人 国土緑化推進機構】
「緑の基金」使途限定募金~東日本大震災復興事業
概要
- 海岸防災林等の森林整備
- 地域周辺や学校周辺の緑化
- 避難所や仮説住宅などの被災者向けの間伐材等による「組手什」等の寄贈
宮城高齢者生活協働組合
~石巻市渡波仮設住宅における支援活動~
11月27日(日)石巻の渡波仮設住宅において、岩手、山形、埼玉の各高齢協、そして東京大田区のみなさんなど、総勢80人を超える参加者で支援活動を行いました。
当日は、地域の味を生かした芋煮、鍋、力餅などを味わっていただきました。また歌や笑いで元気になっていただきたいと、キーボードやハーモニカ演奏による合唱、腹話術、マジック、健康面への支援として歯科医師による口腔ケア、看護師による健康相談、座布団や青竹を使った身体ケアや体操、更にミシン講習、ブリザードフラワー教室なども開催しました。それぞれのコーナーで多くの皆さんに参加していただきました。
心と体をリフレッシュ
被災者された方々の笑顔や元気な歌声に触れ、私たちにとってもありがたい一日をいただきました。今後も継続した活動を実施してゆきたいと思います。