消費者のみなさんへ

  • 被害情報提供はこちらに 契約・解約に関する消費者トラブル情報を受け付けています。
  • 求情報!がん保険が無効とされたケース
    • 緊急のお知らせ
    • こんな契約や勧誘にご注意を
    • 消費者トラブルQ&Aリンク集
    • 消費者相談窓口紹介
    • 会員入会案内
  • 寄附金による活動支援のお願い:活動充実の為、寄附金を受け付けています。お振込みは郵便振替で。

事業者の皆さんへ

  • 消費者被害の防止の為に
  • 賛助会員制度のご紹介
  • 団体向け消費者教育 プログラム講師派遣のご案内

これまでの是正申入れ等の状況

~がん保険に関する生命保険会社(3社)への問い合わせとその結果について~

「責任開始期前に被保険者がガンと診断確定されていた場合には保険契約を無効とし、告知時以前に被保険者がガンと診断確定されていた事実を保険契約者および被保険者のいずれか一人でも知っていたときは払い込まれた保険料は返還しない」の条項が・・・

3社のうち2社については、告知義務違反による解除ケースと同等の返戻金水準に改められました。

問い合わせ事項

 消費者機構日本は、がん保険を販売している生命保険会社のうち、3社(A社、B社、C社)に対して、各社が、がん保険約款で使用している「責任開始期前に被保険者がガンと診断確定されていた場合には保険契約を無効とし、告知時以前に被保険者がガンと診断確定されていた事実を保険契約者および被保険者のいずれか一人でも知っていたときは払い込まれた保険料は返還しない」旨の条項(以下「本件条項」)に関し、消費者契約法第10条や保険法93条違反があるとして、削除あるいは改定すべきとの見解を伝え、これに対する各社の考え方を問い合わせました。

本件条項の問題点

 当機構は、本件条項には下記の問題点があると考えました。

消費者契約法第10条違反
  1. ①払込保険料を返還しないことは民法の不当利得の法理に反する。
    • ⇒保険契約が無効となった場合は、保険契約者が払い込んだ保険料は返還されるべきものである。
  2. ②保険契約者等が診断確定の事実を知っていたことは、必ずしも民法第705条の非債弁済、民法第708条の不法原因給付に該当しない。
    • ⇒本件条項は診断確定の事実を知っていたという事実だけを要件としているが、必ずしも非債弁済や不法原因給付のように、保険料を支払った者を保護する必要性がない場合に限定されない。
    • ⇒長年保険を掛けていれば払い込み保険料も高額に上る。返還を受けられないことによって保険契約者が被る不利益は極めて大きい。
  3. ③共同責任は私法の一般法理に反する
    • ⇒自己に生じる責任は、自己の意思表示あるいは事情を知っていたこと若しくは知らなかったことに基礎づけられるべきもの。決して他人がある事情を知っていたこと、若しくは知らなかったことにより決せられるべきものではない。
    • ⇒被保険者が、がんの病歴があることについて知っていた場合であって保険契約者が何も知らなかった場合に、保険契約者が支払い済み保険料の返還請求ができないという制裁を課しているのは合理性に疑問がある。
    • ⇒長年保険を掛けていれば払い込み保険も高額に上がり、返還を受けられないことによって保険契約者が被る不利益は極めて大きい。
保険法93条違反
  • ⇒保険法93条1項1号は、保険契約者または被保険者等の詐欺または脅迫により保険契約が取り消された場合、保険者は保険料を返還する義務を負わないとするも、保険者が保険料返還義務をのがれる範囲を制限している意味では保険契約者の保護に資している。同法94条3項は片面的強行規定で「保険契約者」に不利な特約を無効としているので、詐欺の場合に保険契約の取り消しではなく、無効としていることからも本件条項は保険契約者に不利。

問い合わせの結果

  • A社からは、下記の回答がありました。
    • ⇒問い合わせ対象のがん保険は販売を終了することとなっている。その後、新たに販売するがん保険では、「各保険会社が保険契約の無効を知った日に解約返戻金及び未経過保険料がある場合は、保険契約者に返還する」旨の取り扱いとすることを、既に決定している。
      その後、当機構で確認したところ、新たに販売されたがん保険では、上記回答の趣旨が反映された条項に見直されておりました。
  • B社からは、下記の回答がありました。
    • ⇒消費者契約法第10条及び保険法第93条違反はないものの他社の約款を確認し検討した。本件条項を「各保険会社が保険契約の無効を知った日に解約返戻金及び未経過保険料がある場合は、保険契約者に返還する」旨の内容に改定することを検討する。
      その後、当機構で確認したところ、上記趣旨が反映された条項に見直されていました。

 A社・B社の対応は、これまで、本件条項が適用された場合には、保険会社から保険契約者への返金が全くなかったことを考えれば、解約返戻金の範囲等であっても保険契約者に返還されるようになりましたので、一定の改定がなされたと評価できます。

 よって、当機構は、一旦、この間の経過を公表して問い合わせを終了することとしました。

 なお、C社は、本件条項に消費者契約法第10条等違反はないものの、今後、「保険契約を無効とした日に解約返戻金がある場合には、保険契約者に対して解約返戻金を支払う旨の規定を導入するなど、内容の改善に向けて検討していく予定」と回答しておりますので、早期の改定を求めるものです。

残された課題

~責任開始前に被保険者が、がんと診断確定されていたときは、保険契約は無効~
 保険法84条1項は、保険会社から契約を解除できる事由を、「保険契約者又は被保険者が、告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたとき」に限定していますが、本件契約無効箇所は、保険契約者と被保険者の両者が、がんの診断確定を知らなくても契約は無効とされてしまいます。

 また、保険法84条4項は、当該解除事由が存在した場合でも、「保険会社が解除の原因を知った日から1ヶ月以内に保険契約を解除しなかったとき」、または、「保険契約締結の日から5年を経過したとき」は、保険会社の解除権が消滅すると、除斥期間(※)を設けていますが、本件契約無効箇所は、保険会社が無効を主張する期間に制限はありませんので、保険契約者は、保険契約締結後、何十年たっても保険会社から契約無効を主張される可能性があるという不安定な地位におかれたままという問題があります。

 当機構は、消費者から、がん保険契約が無効となったケースの事例を取集、分析しながら、残された課題に取り組んでいく所存です。

(※)除斥期間については、保険法84条4項の期間を超えない範囲で、保険会社が任意に期間を設定しています。

参考