消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

消費者機構日本とは

第9回通常総会開催報告

 消費者機構日本は、第9回通常総会を2013年6月1日に開催いたしました。総会では、2012年度の事業報告・決算をご承認いただくとともに、2013年度の事業計画と予算の確認を行いました。

 第9回通常総会の開催概要は以下のとおりです。

日時

2013年6月1日(土)13時30分から14時10分

場所

東京都千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ 地下2階「クラルテ」

参加者(採決時)

実出席表決権数
34
委任状表決権数
2
書面表決権数
75
出席表決権総数
111

(表決権総数139の過半数を大幅に超え、総会は成立しています)

議題

≪審議事項≫

≪報告事項≫

  1. 2013年度事業計画
  2. 2013年度予算

議事次第

 冒頭に狩野拓夫副理事長が13時30分現在の出席状況(表決権総数139個のうち出席表決権総数が107個)を報告し、総会の成立と開会を宣言しました。そして、定款第30条に基づく議長発議を行い、芳賀唯史理事長が議長に就任しました。

 続いて、青山 佾会長が下記概要の挨拶を行いました。

 その後、議長より定款第34条に基づく議事録署名人として個人正会員の板谷伸彦氏を提案し、異議なく承認され、議事に入りました。

 議事は、第1号議案から第2号議案までを一括提案し、議案ごとの質疑、議案ごとの採決、報告事項についての報告と質疑の順で進行しました。

開会挨拶をする青山 佾会長
開会挨拶をする青山 佾会長

【青山 佾会長の挨拶要旨】
 消費者機構日本は、はや9回目の通常総会を迎える。この間の歩みは遅々としているようで着実に前進してきたと評価できる。

 集団的消費者被害回復に係る訴訟制度は、ようやく閣議決定され法案が国会に付された。その点では前進だ。内容的にやや譲りすぎとの懸念もあるが、制度を実現させることが先決だ。そして、シンポジウムでは民法改正について取り上げるが、消費者契約法は民法の一般規定の例外として成立したわけだが、その民法が消費者保護の観点ばかりでなく大きく変えられようとしている。我々の活動に大きく影響するものであり、しっかり注視していきたい。

 更に、我々の活動の中核をなす差止請求活動については、この1年、引き続き多くの方のボランタリーな協力をいただき、地道に成果を積み上げてきた。この点は自負しても良いと思う。これからも道は遠く、課題は山積しているが、ともに協力しながら邁進していきたい。

1.議案の提案

 議案書に基づき、磯辺浩一専務理事より、概要以下の提案が行われました。

(1) 第1号議案 2012年度事業報告承認の件

 2012年度は、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の制定のための取り組みと同制度の活用準備を課題として掲げていた。しかし、同制度に関する法案は政府内での検討にとどまり、閣議決定、国会提出には至らず、制度制定をバックアップするためのシンポジウム開催等の取り組みはすすめてきたものの、当機構の制度活用準備については、2013年度以降の課題となった。

 差止請求関係業務については、着実な取り組みをすすめた。留学あっせん事業者に対する差止請求訴訟については、約款の是正がはかられ和解となり、不動産賃貸借契約に関する差止請求訴訟は、一審での請求棄却の判決を経て、控訴したものの、控訴棄却となった。

 裁判外の取り組みについて、新たな申入れは13件となり、過年度の申入れ事案も含め、改善等された事案を9件公表し、設立以来の累計では、54件が是正された。

 検討体制については、事案別の検討チームを11月から立ち上げ、2012年度末現在5チームが活動中である。課題ごとの事業報告については、特に次の点について説明が行われた。

  1. ①差止請求関係業務では、事案別検討体制を11月からスタート。被害情報対応委員会のもとに確認ワーキンググループを立ち上げるとともに、2012年度内に5つの事案別検討チームが活動を開始した。
  2. ②三井ホームエステート(不動産賃貸借事業者)に対して提起した差止請求訴訟は、請求した5項目のうち3項目が是正されたものの、残る2項目について請求棄却。近時の最高裁の更新料条項や敷引条項に関する判決の傾向も考慮し、上告および上告受理の申し立ては行わないこととした。
  3. ③改正NPO法に対応した定款変更(第8回通常総会議決)、認定NPOの認定要件変更に対応した定款変更(第3回臨時総会議決)について、それぞれ東京都の認証を受けた。
(2) 第2号議案 2012年度決算承認の件
議案提案する磯辺専務理事と芳賀議長
議案提案する磯辺専務理事と芳賀議長

 法令改正により、今年度から収支計算書から活動計算書に変更された。

 消費者庁から受託した事業については、受託事業収入として未収金計上し、費用については、特定非営利活動の「(5)消費者に対する啓発事業」に区分した。収益事業として税務申告が必要であるが、「税引前当期正味財産増減額」は、マイナスであるため、法人税及び法人事業税の納税義務は発生しない。

 収益事業を開始したため、都民税の均等割にについての免除が受けられなくなり、納税が必要となるため未払い金として計上した。

 事務人件費・賃借料・印刷費・福利厚生費の事業費と管理費への区分について議案書別冊の基準で区分した。また、事業費に区分した上記各費用については、業務量に準じて配賦する趣旨から、それぞれの事業ごとの主要な会議の開催時間に応じて配賦した。

 議案書のとおり、本年度は2,911,565円の黒字、正味財産は19,361,827円となり、来年度は2000万円台が見込まれる。

《監査報告》
第1号議案、第2号議案提案の後、伊野瀬十三監事より、理事の業務執行は適正に行われ、日常の会計処理も適正で、決算諸表が正確に作成されている旨が報告され、監査意見として以下の3点の指摘がありました。

  1. ①行政による適格消費者団体への支援策の具体化として、消費者団体訴訟制度に関する広報活動の委託事業が実施され、2012年度は事業を受託することができました。引き続き、積極的に事業を受託していくことが必要です。
  2. ②受託事業が開始されたことにより、法人税の申告が必要となりました。今後は、税理士との顧問契約を含む対応を行い、申告の事務を円滑にすすめることが望ましいと考えます。
  3. ③消費者団体訴訟制度の安定的活用と集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の担い手となることも視野に入れ、財政基盤の強化を着実にすすめられるよう求めます。

2.議案の質疑

 議案の質疑では、「税引き後利益が291万円余のプラスで来年は正味財産が2000万円を超える見通しというのは、誠に良いこと。同慶の至りである。」旨の意見表明がありました。

3.議案の採決

採決で賛成票を掲げる出席会員
採決で賛成票を掲げる出席会員

 議長より、13時45分現在、表決権総数139個中、出席34個、書面議決75個、委任状2個の合計111個が出席し、定款第31条の要件を充足して総会が成立していることが改めて報告され、議場閉鎖を行って直ちに採決に入りました。

 第1号議案・第2号議案とも、挙手賛成多数、書面表決75個のうち、賛成が75個、あわせて出席総表決権数の過半数を超えており、定款第32条に基づき可決・承認されました。

4.報告事項の報告と質疑

 磯辺浩一専務理事より、議案書に基づき、2013年5月9日に開催された第11回消費者機構日本理事会で確定した2013年度事業計画及び2013年度予算について報告が行われました。報告の概要は以下のとおりです。なお、報告に対する質疑はありませんでした。

(1) 2013年度事業計画

 集団的消費者被害回復のための訴訟制度は、2013年通常国会での可決成立が期待され、同制度実現のための取り組みを多くの消費者団体と連携して積極的に展開するとともに、制度成立後は同制度の活用準備を本格的にすすめます。また、引き続き差止請求関係の事業を確実にすすめます。

課題1
集団的消費者被害回復に係る訴訟制度を実現し、同制度を活用するための準備を本格的にすすめるとともに、財政基盤の強化をはかります。
課題2
消費者被害未然防止・拡大防止のため差止請求関係業務を推進します。
課題3
政策提言活動をすすめます。
課題4
広報活動や消費者団体との連携を強め、消費者団体訴訟制度と消費者機構日本への理解と支持を広げます。
課題5
その他(適格認定の更新、10周年記念事業の検討、公開学習会や消費者志向経営セミナーの開催)。
(2) 2013年度予算

 経常収入全体は、会費収入をほぼ昨年度実績並みと固く見込み、消費者庁の受託事業については、競争入札ということから確実ではないので収支とも計上しないこととします。このため、全体として収支とも2012年度実績比では減となります。

 以上で全議事を終了し、議長が閉会を宣し、本総会を終了しました。